15.義手の真価
説教後ギルドの訓練場にきた。城の中の訓練場よりも簡素な作りだった。周りにはさっきの衛兵団のメンバーとおばさんがいた。団長背中にある大剣とは、別の大剣を持ってきた。柄や装飾はなく剣というより鉄塊の方がしっくりくる。
「一撃俺に入れてみろ。入れられたら衛兵団に入れてやる」
「別に俺入るつもりは……」
言い切る前に団長がオーラを込めて剣を振る。その攻撃は斬撃とは言えるのかわからない打撃に近い攻撃。左腕の義手でガードしながら、聖剣を抜いて横から攻撃をする。
当然オーラを纏っていて攻撃が通らない。すぐに腹に蹴りが入る。剣が落ちる。
「かはっ」
「その程度か?」
連続攻撃が続く。サンペリウスは猛攻の中義手で防御することでダメージを軽減している。目をつぶり集中して魔力を練り続ける。
「戦闘中に目を瞑るとはな」
団長が義手を振り払い、サンペリウスの腹を殴る。顔を蹴る。今の舐め腐っているサンペリウスに剣を使う価値などないと思い、剣を放り投げ殴り続ける。
「な…」
卓越した魔力操作でバレないように魔力の糸を団長の足を縛る。思いっきり糸を引っ張り団長の腹に突進する。
一瞬団長の重心がズレる。
たった0.5秒程度の隙に練っていた魔力を足に込めて腹に蹴りを入れる。オーラで攻撃は通らないが、纏っていたオーラが少し乱れる。
その時宝石が光る。
ギルドの時に溜めていた魔力。分散して少し量は減っていたが練っていた残りの魔力を全て宝石に込める。
「受けてくれると信じてますよ」
宝石が青く光る。
団長が急いで剣を持ち防御に入る。周りのメンバーも防御魔法やオーラで防御し始めた。
魔力増幅装置で増幅された魔力と卓越した精度。普通の人なら逃げたくなるほど強大な力が溜まっていった。
「これはやばいな…」
団長が呟く。竜の魔法は他の魔法と違い詠唱し終わったらどれだけ邪魔をされても必ず発動する。そして義手は詠唱の代わりにチャージすることで発動できる。そして今この瞬間、チャージは終わった。
「こい!」
団長はオーラをより強固に纏い、防御姿勢にでる。俺を試すために防御するつもりだ。
宝石が赤黒く光る。
「倣龍ノ咆爆ォォ!」
打った瞬間反動を軽減するために義手を抑えてたのが意味が無かったかのように、義手が反動で明後日の方向に吹っ飛んだ。
だが団長のオーラの防御を破り、左の頬に傷をつけた。かすり傷程度の傷だっただが、団長の防御を破ったのだ。
「やっ……た…ぜ…」
魔力も空っぽになって体のダメージが限界に達してたせいかすぐ倒れてしまった。
「ふぅさすがに最後のはキツかったな」
オーラやマナを取り込むことで休むことなく肉体を強化し続けた人間が青年の魔力だけで傷を負うなんて滅多にない。
「団長大丈夫ですか?」
ノーズが呑気に呟く。その他の人はサンペリウスを不思議そうに見ている。
「ひとまずゼクルムこいつを見てみろ」
ゼクルム
影に隠れていた人で特性持ちである。特性は眠っていたり、気絶している人の頭に手を置くことで魂や色、潜在能力を見ることできる。
だが発動中に見てる人が起きてしまったり、他の人に邪魔をされて解除されると特性を失う。一週間に一回しか発動できない特性で、使用時間は五分。
「はい」
サンペリウスの魂にゼクルム干渉する。まずは魂の色や大きさを確認する。大きければ、力を受け止める器があるということになり、色が濃ければ濃いほど潜在能力が高いことになる。
「なんだこれ……」
サンペリウスは強くなかった。身体の筋肉も大してなく。魔力量もそこまで多くなかった。なのに魂の大きさや濃さは団長の何倍、何十倍、何百倍もあった。
おかしいこんなに強い魂なんて見たこともない。異常だ。こんなに潜在能力があるのにこんなに弱いなんてまるで何者かに力を縛られているようだ。だがこんなに強大な魂の力を封印できる人なんてこの世にいない……




