14.狼魔傭兵団
ノーズとサンペリウスはゼルガルドが見えるところまで来た。
城塞国家と言われているだけあって周りは巨大な塀で囲われており、外からは中の様子が一切わからないようになっている。
サンペリウスは別の国に行くのが初めてなのか、ノーズの話が聞こえなくなるほど目を光らせて夢中になっていた。
「ここがゼルガルドか……」
サンペリウスは走ってゼルガルドの正門へ向かった。まるで小さな子供のようにはしゃぎながら
「おい待てよ」
ノーズも急いで後を追う。息が荒くなって立ち止まると、正門の前に立っていた。正門の扉は巨人よりも大きく、ひとりでは門を開けられないほどの重厚感がある。
二人は門の前に出来てる列に並んで順番を待った。列に並んでる人は、商人や護衛をしている騎士や冒険者、衛兵など様々いる。列には既に二十人ほどいた。
三十分ほどしてようやく番が回ってきた。騎士たちの審査を終えた後、残りの金の銀貨三枚のうち二枚を支払って入国する。ノーズの衛兵団はこの国に拠点をひとつ置いているらしく、金を払わずに入国した。
壁の中はレンガで出来た建物が無数にあり、道をアーチ状で建物が囲うように建っていた。
周辺には様々な鍛冶屋があり、辺りは金属を叩く音が響いていた。
道なりに進んでいると、向かい合うように左右に傭兵ギルドと冒険者協会が建っていた。傭兵ギルドは、傭兵になりたい者に傭兵団を紹介するために建てられているので、こじんまりとしていた。
それに対して冒険者協会は、冒険者を責任もって死ぬまでサポートするためとても大きく、人も沢山いた。
冒険者は魔物や魔獣など人間やエルフ、ドワーフなどの種族にとって脅威になる存在を倒すのに対して衛兵は依頼されたら基本なんでもやる職業であり、冒険者はランクで組み分けして安全第一考えるが、傭兵はそんなのはないので、年間死亡者も冒険者の十倍以上もいる。
だが傭兵は身分を確認しなくても怪しくなければ簡単に入れるし、活動する上で縛りもない。良くも悪くも責任は本人に委ねるのが傭兵である。
「サリバーンもこっちに行くの?」
「あぁ」
サンペリウスが扉を開けると、人はほぼいなく真ん中のでかいテーブルで五人の男女が話していた。一瞬みんながサンペリウスに視線を移す。
覗き見るような舐め回す視線にあのゴブリンロードを思い出し、無意識にサンペリウスは周りを見ずに剣に手をかける。
『おい落ち着け!』
ゴブリンが使ってた剣の鞘に入れてた聖剣の刀身を半分ほど出したあたりで、カリバーンの声で急いで焦るように鞘に収める。
「すまな…」
謝ろうとした瞬間目の前に剣が飛んできた。騎士からの教育がないと使えないと言われてるほど使いにくく、鍛冶師が作るのを渋るほど難しいレイピアを投げてきた。
サンペリウスは急いで左腕の宝石を顎で押して刀身を出す。オーラを込められているのか勢いが強すぎて抑えきれない。義手を回転させて軌道を逸らす。左耳に少しかすり剣は隣の冒険者協会の看板に刺さる。
「ほう…」
更に視線は強くなり睨みつけられているような視線になる。サンペリウスは剣をしまって、宝石に魔力をチャージする。この宝石は魔獣の核の原理を利用しており、竜の魔法を再現した魔法が刻まれている。
「皆さんしてるんですか!」
ノーズがサンペリウスを庇うように両手を広げて前に立つ。少しの沈黙があった後、さっきの殺伐とした空気が静まった。サンペリウスは魔力のチャージをやめて両手を上げる。
「剣を抜いてすまなかった…」
サンペリウスが落ち着こうとした瞬間、自分の影から何者かの気配を感じ、即座に振り向いて床を殴る。
「このギルドに今人間は俺を含めて七人だけか?」
『お前の影にいたやつ今あの男の影に入ったぞ』
緊迫した空気がまた流れる。誰も話さない。サンペリウスは静かに剣を抜く。
「答えろ!誰がいる!」
魔眼でここにいる人の魔力を視る。一人の女以外は魔力は多くないが、サンペリウスは本能で察する勝てないと。
ノーズはこの状況を読めてないのか困惑して動けていない。こいつだけでも連れて逃げるか?それとも……
「なにしてるんだい?」
ギルドのカウンターの奥にある扉からおばさんが出てきた。杖を持って煙草を吸っている。一見強くなさそうに見えるが、目は鋭く俺を見つめてくる。
「ばぁさんなにしてんだよ」
「そうだよ!これからだってのに!」
「まぁまぁ落ち着いて〜」
五人の表情が急に柔らかくなる。影にいた六人目も姿を現しておばさんと話す。リーダーらしき男が急にこちらに振り向いて歩いてくる。
「ノーズこれがお前の言ってたオーラを使わずにゴブリンを40体殺したやつか?」
「はい!団長!」
ノーズが団長と言ったのならこいつは浪魔衛兵団の団長ってことか。
浪魔傭兵団はかなり有名の傭兵団だがサンペリウスは城から出たことがほとんどなく、人と話してもなく本の知識しかないせいでこの時代の有名人を一人も知らないのである。
「そんなに強くなさそうだがな」
オーラは肉体に宿っている関係でひと握りの強者以外は必ず微弱だがオーラが漏れてしまう。それが強者の雰囲気を際立たせるがサンペリウスはオーラがないこで、弱者として見られて当然なのである。
「ならテストすればいいじゃないっすか!」
ノーズが空気を読まずに大声を上げる。
「それもそうだ…」
サンペリウスの手を団長が掴み引きずりながら、強制的に裏にある訓練場に連れていこうと運んでいると…
「おまえら…」
後ろから男の声ととてつもない気配を感じる。
「またか!」
冒険者協会から役員が看板に刺さったレイピアを持ちながら、二時間説教させられた。




