12.魔獣
『それでどこに向かっているんだ?』
腑抜けた声が脳内に響き渡る。慣れて違和感は感じないそれどころが普通の人間の声を聞いてないせいかこっちの方が普通だと思ってしまっている。
「まずは城塞国家ゼルガルドそこから行ってみようかなって」
この世界は平面で出来ており中央には神聖国家があり、神聖国家から東にあるのがアーサリア王国があってそこから少し南に行くと城塞国家ゼルガルドがある。
そして城塞国家は6つある聖法武器の中の1つである斧を保有している。
『そこに行くとして何をするんだ?確かあそこは何も無い朽ち果てた国だったぞ?』
「安心していいよ。確か数千年前に冒険者や衛兵を沢山呼び寄せた影響で、年々勢力を拡大してる国なんだよ」
城塞国家、別名荒くれ者が集う国。力や称号で強さを証明する国であり、力さえあれば貴族にすら簡単になれる国である。
聖剣と脳内で呑気に話していると、魔獣の鳴き声がした。
「ギャギャッ」
近ずいてみると、ゴブリンを見つけた。数は三体。一体は槍を持っており、もう一体は盾と剣、最後の一体はスタッフを持っていた。
『気をつけろ。ゴブリンは頭がいい、油断してると死ぬぞ』
・ゴブリン
見た目は腹が出ている個体やガリガリな個体などいるおり、ほとんどは全員は小さく約120cmである。鼻は高く目はでかい耳もでかく緑色の肌である。
頭がよく対人戦に関しては人間よりも頭が切れるのではないかと言われている。だが素の能力は人間よりも弱いので基本的には人間の方が強い。
そしてゴブリンなどの魔獣と言われるものは核があり、核に宿る情報を核に宿る魔力を使うことで転写することで具現化出来る。
倒す方法は核を破壊して情報を破壊するか、核に魔力を流し機能を停止させるかの2択である。そして核はゴブリンなどの弱い魔獣でも手に入れにくいという観点から高く売れる。だが核の位置はランダムなので核を綺麗なままにするのはとても大変である。
木の上に静かに登り、様子を伺う。焚き火で何かを焼きながら、なにかを話している。盛り上がっていることだけはわかるがそれ以外は一切わからない。静かにバレないように木を移動しながら、糸のトラップを仕掛ける。
魔力を物質化する時に初めに習う魔力の糸。魔法ではなく、ただ魔力で作った鋭い糸。だが魔法ではないのと細いので魔力消費量が他のと比べて少ない。
魔力精度をあげた今の実力なら魔力の糸の強さは下級の剣士がオーラを込めた剣撃よりも鋭く、鉄で作った武具よりも頑丈だ。
空中には設置できない魔力の糸を太さ一ミリ以下にして蜘蛛の巣のように木にくっつけながらゴブリンの周りに1分かけて設置する。元の位置に戻り糸の上に指を置く。これで糸を押せば、糸が引っ張られてゴブリンは切り刻まれて死ぬ。
「よしできた」
『やれ』
初めて生き物を殺すと考えて一瞬萎縮するが体がいつの間にか糸を押していた。ゴブリンが糸に絡まり、緑色の血を撒き散らしながら細切れになる。スタッフを持っているゴブリンはスタッフの宝玉に刻まれてる防御魔法でガードしていた。
『構えろ…くるぞ』
ゴブリンが仕掛けてあったトラップ魔法火ノ罠が発動する。火が木を燃やし、木が燃えカスになって無くなっていく。周りは野原になり草木は燃え続けていた。
足元の木が燃え始めて半ば逃げるように剣を構えて木を踏み台にして飛ぶ。魔力を剣先に込めて体をねじって勢いを増して威力を上げて回転斬りをする。
「ハァッ」
剣を振ると、ゴブリンの片腕は落とせたがゴブリンの防御魔法のせいで致命傷にはならなかった。返り血で服が汚れゴブリンの片腕は火の方へ吹っ飛んだ。
「ギィィ!」
ゴブリンが怒りに任せて残った片腕で魔法陣を作るだが、当然阻止するために魔力を込めた斬撃で手首を切り落とす。
「はぁっ!」
魔力をチェンソーのようにギザギザに回転させてゴブリンの頭を真っ二つに切る。返り血が全身にかかる。臭い腐敗した死体の臭いみたいだ。
真っ二つにした時、僅かに右肩に見えた核に向かって連続攻撃を仕掛ける。ゴブリンが這いつくばるように逃げる当然追いかけて一歩進むと、ゴブリンが仕掛けたトラップ魔法の雷ノ罠が発動した。
「誘導されたか」
そう考えていると体全身が麻痺した。その場に倒れ込む。ダメージはそんなにないが体が全然動かない。魔力で体を守ってなかったせいでもろに食らったのだ。
無駄に魔力を温存しとこうという考えで魔力を纏うのを躊躇していたのだ。ゴブリンが逃げようと走る。ここで逃がすと大変なことになる。
魔力でできた球体を自身の上に作りそこから魔力の糸を伸ばし自分の体につけて操作する自分自身が自分の人形になる。
オリジナル魔術自躯傀儡マリオネットとは違い他者は動かすことができないが、自分を操作することができ痛みは伴うが関節を気にせず動かせる。
「はぁぁ!」
魔力を込めた剣を全力で投げる。剣がゴブリンの右肩に刺さりそのままゴブリンが霧のように消滅した。
「ふぅ」
『大丈夫か?だから言っただろう。油断は禁物だって』
脳内に声が響き渡る。確かにそうだった。力は弱かったが頭がよかった。俺が油断していなかったら簡単に勝てたんだ。
「そうだな。気をつけるよ」
『あぁ』
燃えている所を水魔法で消火した。周りの木はすっかり焼けてなくなり茂みもなくなってしまった。
「いくか」
歩き始めて5時間、夕方に森を抜けた先にある大きな村に着いた。
「だれだ」
騎士のような重厚な武装ではないが、兜と甲冑がしっかりしており、立派な槍を持った門番が話しかけてきた。
「城塞国家に行きたくてここに寄った。泊めてくれ」
おそらくこの先には村などの休めるところがあるのはここだけなのだろう。そのおかげか街みたいに大きいし、人も多いし、活気もある。
「通行料を貰おう」
「いくらだ?」
この国の通貨は金貨、銀貨、銅貨、に分けられている。銅貨百枚が銀貨一枚で銀貨百枚が金貨一枚になっている。これは神聖国家が誕生してからの制度である。パンがだいたい銅貨十枚である。
「銀貨一枚だ」
「わかった」
親父から貰った小遣いから銀貨1枚を取り出し、門番に渡して入る。中には冒険者らしき人や色んな人がいた。家は百軒ほどあり、豪華ではないがなかなか立派な家が沢山あった。
「宿屋は真っ直ぐ行った先にある」
門番はそういいながら道を指差した。
「助かる」
門番に礼をした後宿屋に向かった。
魔法は地面に魔法陣を予め設置して発動したり、空中に展開して発動する。
魔術は魔力で魔法陣を使わずに発動する技のこと。明確に定められてるわけではない。魔法陣を使ってない技は好きに魔術と名乗っていい。




