11.旅立ち
外に出ると入ってきた時と同じ薄暗い部屋に出た。小さな机を撫でながら懐かしんでいると急に吐き気とめまいがしてきた。
「なん…だよ……またか…ようぇ、っ……」
最初の頃に比べたらマシにはなったがまだ慣れず吐いてしまった。吐いても気持ち悪さは収まらないそれどころかさらに吐き気は増して上下左右の感覚が掴めなくなってきた。
『これはマナがない空間にいた者がマナがある空間に戻った時に体がマナを大量摂取してしまうせいで起きるやつだな』
「あれ…とは別モン…かよ…」
『まぁ少しすれば慣れる』
何が少しすれば慣れるだ…ふざけんな……
「ちく…しょう……」
そのまま倒れ込んでしまった。
その頃、城の中にある玉座に1人の男が座っていた。その男の前で1人の騎士が跪いている。
「あいつは…息子は、死んだのか」
「左様です」
「そうか」
少し笑みを浮かべた後、別のことを淡々と話し続ける。まるで息子の死が無かったように。
『起きたか』
「どれくらい…寝ていた?」
『2日だ。そこそこ時間がかかったな』
マナを取り込むスピードが遅いせいで普通の人より何倍も時間がかかったらしい。でも気絶する前にあった気持ち悪さはすっかり無くなっていた。吐いていた跡も無くなっていた。おそらく綺麗に拭いてくれたのだろう。
周りを見渡す。久しぶりの感覚だ。今までは呼吸をしていなかったからか不便すら感じる。
「これからどうするんだ?」
『お前はどうしたい?』
俺は今まで城という檻に囚われていた。外では俺は死んだものとして扱われているだろう。こんな無能なんて真面目に探さないからな。それなら…
「旅に出てこの世界を知りたい…」
『なら決まりだな』
部屋で外に出る準備をした。部屋にあった日記を持って、ボロボロの服に着替えて金貨が入ってる小袋を持って外に出た。色んな生き物の鳴き声、風の音など不愉快に感じるほど色んな音が聞こえる。
『我の神気を使ったらバレるから気をつけるんだぞ』
そう言いながら聖剣は美しい剣から平凡な剣に見た目を変えていた。おそらく何らかの能力で変えたのだろう。
聖剣が言うには神気と魔王はお互いに力を使うと遠くにいようと共鳴するように感じ取れてるらしい。
『いくぞ契約者よ』
「あぁ」
雨が降ってたせいか少し湿っていて歩きずらいが、そんな地面を歩きながら新たな地へ向かう。




