10.訓練
扉の奥に行くと真ん中に巨大な魔法陣がある以外は何も無く真っ白で風も感じない特殊な空間に出た。
その瞬間吐き気が起き倒れ込んでしまった。気持ち悪く立てずに腹を抱えて耐えていると入ってきた扉が無くなっていた。
『少し待て』
少しした後、急に吐き気は無くなった。立ち上がり周りを見渡すと魔法陣の中央に聖剣が刺さっていた。魔法陣は輝いており部屋中が魔法陣の光に包まれた。
「これは?」
『これは時空ノ拘束勇者が作った空間の時間を止める魔法だ』
「空間の時間を止めるだと……?」
『あぁ勇者は自分が考えたことを現実に起こせる力があるからな。それを使って作り出した唯一無二の時空間魔法だ』
『今この空間では歳も取らないし眠くならない腹も減らなければ肉体も成長しない。』
だが魔力は魂に宿るお陰で使えるらしい。
『この魔法陣を維持でき使えるのは5000年だ』
「5000年も?」
5000年はおよそエルフの寿命だ。それを歳を取らずに永遠に訓練できるそれは誰もが羨むことである。
座り込んで訓練しようとするが何をすればいいのかわからなくなった。肉体が成長しないということは剣を振り続けても体が覚えず筋肉も増えないつまりやる意味が無いのだ。
考え込んでいると聖剣が呆れるようにため息をつく。
『はぁまずは魔力を全身に流し込む訓練からだな』
それから何百年も続く魔力の訓練を始めた。
まずは魔力が宿る魂から、魔力を常時全身に常時流す事によって魔力を効率的に使えるようにする訓練から始めた。
弱いものは普通体の一部に常時流し込むだけでもできないのがほとんどなのにいきなり訓練が始まって最初は戸惑っていたが聖剣の話を聞きづつ訓練を続けた。
毎日休まず魔力を全身に流し込もうとするが、成功したと思っていても必ずどこかが流せていなかった。
およそ20年かけてようやく一瞬だけ魔力を全身に流すことができた。そして常時発動はもう10年かかった。
その後も魔力や魔眼の制御や使い方その他にも魔力の物質化、魔法の習得など様々のことをやっていたら魔力のことだけで3000年経っていた。
『ようやく様になったな』
聖剣は当たり前かのように話すが、少し嬉しそうな感じもした。
「他のやつならもっと早かったのか?」
聖剣は少し考えて話す。
『まぁ勇者なら100年程度だな』
「まじかよ」
もはや凄すぎて何も感じない。
『とりあえず次は剣術だな。教えてやる』
「わかった」
俺は訓練で使えるようになった魔力を物質化を使って半透明の剣を作り握って聖剣の説明を聞きながら訓練し続けた。
剣の術を全て覚えるのは500年程度かかった。その後も時間があるからほかの武術も教えてやると聖剣が言い始めて槍や盾などこの世のあらゆる武術を半強制的に学ばされた。
そうして5000年はあっという間に過ぎていった。
『あと少しでこの空間は終わりだ』
「やっとか」
色んなことを学んで強くなった。感謝はしているだが、もうこんな空間には居たくない。
「てかなんで5000年しか魔法陣を維持できないんだ?」
聖剣が言うには、5000年以上使っても崩壊しない魔法陣作ろうと模索したがどれだけ頑張っても5000以上使えるようにすると魔法陣が暴走して爆発してしまうらしい。
その後も5000年が経つまでの残り少しの時間を聖剣と気ままに話していると、この空間に入った時に使った扉が目の前に現れた。
「これで本当に終わりか」
『あぁ』
少し名残惜しい気持ちを、胸に抱きながら聖剣を抜いて扉を開ける。




