9.遺したもの
柄を掴んだ瞬間、俺の視界が七色に輝く光で覆われた。なにかが繋がる感覚がした後、光が収まり目の前にあった王座が崩れていく、まるで役目を終えたように。
『これで修行ができるな!よろしくな契約者よ』
そう言いながら聖剣が、俺の手元から離れ、俺の目の前に来て浮いた。
「あぁよろしく。それより修行なんてどこでするんだよ。場所なんてないし、少しの修行で俺は強くなれないぞ?」
今更、意地を張ったり、強がったりしても意味が無いそう思い素直に言った。
『安心しろ。とびっきりの場所がある』
そう言いながら聖剣は崩れた王座の奥にあるカモフラージュしている扉を開けて中に入っていった。ついて行くと、中は薄暗い倉庫のような部屋になっていたが、ホコリは一切なく部屋は、とても綺麗だった。部屋の中には小さな机があり、その上には1冊の日記と義手そして小さな箱があった。部屋の奥には鎖で封じられてる大きな扉があった。
「ここは?」
『ここは勇者が作った部屋だ。そんなことよりやらなければいけないことがあるな』
そう言いながら聖剣は左腕を止血するために縛っていた布を切って、断面を治癒していく。
「この力は?」
神聖力とも違う。神聖力のような派手な輝きはなく、ただ静かに淡く美しく輝いてる。
『神気だ』
そう言いながら断面を綺麗に治癒していく。
『今の我の力では腕を再生できない。切れた腕がさえあれば繋げられたんだがな……』
左腕を見ると土埃や血で汚かった断面はすっかり綺麗になっていた。
『これを使え』
そう言いながら左腕の義手を刃で突いていた。黒光りしてる金属に、手の甲には宝石が埋め込まれている特殊な義手を言われた通り、つけると左腕が再生したかのように動かせた。そして硬く、軽かった。
「本物の腕みたいだな」
『だろ?使い方を教えてやる。ここの手の甲の宝石を押すと…』
聖剣が柄頭で突くと空気のように軽い刃が出てきた。長さは30cm程度で漆黒の刃で出来ていた。
『あと手の甲の宝石に魔力を込めることでチャージ出来て、無属性の魔法が打てるからな』
反動もでかいしオーバーヒートするから、打つなよと忠告を受けた。だが人間というのは、ダメだと言われたらやりたくなるそういう生き物なのだ!バレないように少しずつチャージしてるとすぐバレた。
『何してんだ!』
「バレた?」
『バレたも何もないバレバレだ』
そう言いながら剣の柄頭で頭を叩かれた。
『あとこれだ。開けてみろ』
そう言いながら箱を渡してきた。開けてみると誰かの目玉?が入っていた。思わず箱を投げてしまった。仕方ないだろ怖すぎたんだ。
『少し痛くなるぞ』
「へ?」
そう言いながら俺の右目が切られた。一瞬すぎて痛みがないというか何が起きたのかわからなかった。
「何をするんだよ!」
『落ち着け』
落ち着けるわけないだろ、睨みつけるように叫びながら目を手で抑えていると、突然口に何かを入れられた。吐こうとしても吐けずにもがいていると、血が急に止まった。手を離すと目が復活していたが、何かが変だ。まるで俺の目じゃないような異物を入れられた気持ち悪さがある。
『それは魔眼だ。右目に魔力を込めてみろ』
「は?何を言ってんだよ」
意味もわからずに、右目に魔力を込めてみると、義手の手の甲にある宝石が、何か得体の知れない膜のようなものが覆っていた。掴もうとしても掴めない。
『その魔眼はオルディンという。魔力の流れを見れる魔眼だ』
聖剣の説明だと、魔法を使う時の魔力の流れや体に流れてる魔力の流れなどが見れるらしいが、強大すぎる魔力やオーラなどは見れないらしい。
「こういうのは先に説明してからにしろよ」
睨みつけながら静かに告げる。突然目を切られるなんてもう二度と経験したくないからな。
『まぁまぁ落ち着け。これで準備は終わりだ』
そう言いながら聖剣は鎖で鎖されている扉に近ずき、鎖を切る。扉が開くと渦を巻いている謎の入口が現れる。
『ここに入ったらお前は普通の人間じゃ経験しない途方もない時間を過ごす。それでも行くか?』
静かに淡々と告げる。まるで地獄に行くような感覚に襲われる。俺はここに来てから契約してから覚悟はできている。もう諦めたくない。もう誰にも蔑まれたくない。
「俺は王になるためにお前と契約したんだ!」
そう叫び歩き出す、渦の中に入る。入り終わった瞬間、扉が閉まった。
そうして5000年の修行が今始まった。
魔眼
生まれ持った人がほとんどで、その他にも所有者の目をくり抜いて移植したり、アーティファクトを飲み込んだりして魔眼を獲得することもできる。




