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白竜さんが飛んで行ってから僕はウォルタードを迎える準備をしていた。
「・・・何をなさっているのですか、ロビー殿?」
「え~っとね、人間の王様・・・縄張りの主って言うのは大抵少し高い所にあるちょっと派手な椅子に座って面会を受けるもんなんだ」
「ほう・・・・・」
「彼の中で僕は魔王、悪い奴の王様って事になってるからね、それに合わせてこう・・・なんかいい感じに怖そうな椅子にでも座っておこうかなって」
土魔法で三段のひな壇の上に、羽とか角?とかが背凭れから生えた椅子を作った。
「・・・申し訳ありません・・・我には良く理解出来ません・・・・・」
「あ~いいのいいの、どうせすぐ片しちゃうから。おっと、そうだった後はっと・・・・・よし」
椅子の正面から10m程離れた所に直径1m程の魔法陣を設置した。白竜さんが帰ってきたらここにウォルタードを置いて貰うのだ。
「む・・・この魔法陣の効果は?複雑過ぎて我には理解出来ませんが・・・・・」
「あ、皆はこの魔法陣には触らないようにね」
「は?はい・・・・・」
「はぁ、解りました」
訝しげな顔をした皆が一応了承の返事をて首を傾げた。
いやあ楽しみだとニヤニヤと頬が緩むような感じがしたが金属製の僕の顔は表情が変わる事は無い。
「おっと、白竜さんが帰って来たね。悪いけど皆はもう少し離れててね」
準備が終わって少ししたら白竜さんが帰って来るのが見えたので用意した椅子に足を組んで座った。
「只今戻りましたロビー殿・・・あ、あの・・・それは一体・・・・・」
「白竜さんご苦労様。久しぶりだねウォルタード。と言ってもこの姿じゃ僕が誰だか解らないだろうけど」
「・・・・・」
白竜さんの問いに答えずに彼に掴まれたウォルタードへ声を掛けたが、少しだけ頭を上げて此方を見ただけで言葉は発しなかった。
一見すると心を折られて抵抗する気も無くなったように見えるがこいつはそんなヤワじゃない。
「あ~白竜さん、そいつをそこの魔法陣の中に置いて貰えるかな?ああ、白竜さんは絶対に魔法陣に触らないようにね」
僕が白竜さんに投げ掛けた言葉にウォルタードがピクリと反応する。
「は、はい・・・解りましたが・・・その、この魔法陣は一体・・・・・」
「その魔法陣はね、触れた者の魔力を吸い続けるんだ。完全に魔力が枯渇しても止まる事は無い。そいつは不老不死を喧伝しているからね、二度と生き返れないようにその魔法陣で封殺するのさ」
「「「「「うっ!」」」」」
僕の説明に皆が目を見開いて息を飲む。魔力が完全に枯渇したままになると言う状態が如何言う事か皆解かっているからだろう。
魔力が枯渇すると強烈な眩暈と嘔吐感に見舞われ、四肢は脱力し立つ所か這う事すら困難になる。
要するに動けなくなって餓死するまでそのままでいる事しか出来なくなると言う事で、当然転移なんて出来る訳がない。
「じゃ、白竜さん、魔法陣に触らないように気を付けて置いてね」
「は、はい・・・・・」
白竜さんが恐る恐る魔法陣へと近付いて行く。そして魔法陣を踏まないようにウォルタードを握った右腕を伸ばした。
「・・・・・や、やめろおおぉぉぉおおぉぉぉ!!」
それまで大人しくしていたウォルタードが暴れ出し、喚き散らし取り乱す。だが白竜さんは止まらずに魔法陣の中央でウォルタードを放した。
「うわあああぁぁあ!!・・・・・あ?」
魔法陣の上に置かれたウォルタードは恐慌状態になりながらも必死に魔法陣から這い出した。
「クックックックックッ・・・・・ハハハハハ!!どうだい騙された気分は?ん?その魔法陣はそれっぽくでっち上げた出鱈目なんだよ。魔導工学を齧った者なら簡単に見抜けるような物なんだけど・・・君には難しかったかな?ハハハハハ!」
まぁ、勿論魔法陣の事は嘘な訳だ。僕がこいつをそんな簡単に殺す訳がない。
「・・・・・き、貴様あああぁぁぁ!!」
馬鹿にされたウォルタードが怒りの咆哮を上げたが僕は涼しい顔・・・表情は変わらないが・・・まぁあれだ、お遊びはここまでで、ここからが本番だ。
「これで少しは騙された側の気持ちが解ったんじゃないかな?君が百年以上も付き続けた嘘の犠牲になった人達は一体何人だい?それから比べれば可愛いもんだろ?それにだ・・・子爵家の五男坊如きが聖王だと?笑わせるな!!」
僕が眠っている間にもこいつは自分の意に沿わない者を排除してきたのだろう。当然百人や千人では足りない犠牲者が出た筈だ。
「貴様・・・一体何者だ!」
「言葉を慎めウォルタード!我が名はサヴァン・ノーティスが第三子ロベルト・ノーティスなり!ノーティス王家唯一の生き残りだ!頭が高いぞ、控えんか!嘘付きウォルタード!!」
「なっ!・・・い、生きていたのか・・・・・」
いい顔だ・・・だが、その程度じゃまだまだ足りやしない―――
「ああ、御覧の通り紛い物の君とは違う本物の不老不死を得てね。君のソレはベルモンド所長から教わった物だろう?所長が何を考えて君に力を貸したのかは解らないけど、僕にとっては嬉しい誤算だよ・・・・・この手で君をこの世から消し去る事が出来るんだからねぇ・・・・クックックッ・・・・・」
さぁ、始めようじゃないか
不老不死同士の楽しい殺し合いをさ―――
ここまで読んで頂き有難う御座います。




