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組んでいた足を解き、ゆっくりと椅子から立ち上がりながらウォルタードを見据えたまま白竜さんに声を掛けた。
「白竜さん、その左手の剣をウォルタードに返してあげて」
「え、よ、宜しいのですか?」
「ああ、構わないよ。って言うか人間って言うのはね、戦う時にそう言った物が無いと戦えない人が居るんだ。それにね、生身のまま金属の身体の僕と殴り合いをしたら彼が不利でしょ?ましてやこれから殺し合いをするんだから何も言い訳出来ないようにしておかないとね」
「は、はぁ・・・解りました」
白竜さんが左手の剣を地面に片膝を付いたままで僕を睨むウォルタードの横に置くと、ウォルタードは剣を手にした。
「立てウォルタード。ここに来た時点で君に生き残る術は無い。が、せめて心残りの無いよう全力で抗って見せろ。皆は手を出さないように、そして・・・僕が負けた時はこいつを一瞬で消し去る事。赤竜さんと白竜さんなら出来るよね?」
「仰せのままに」
「はい。解りました」
「後は~・・・そうだ、マリアちゃん」
元より負ける気は無いが万が一の時のためにと赤竜さんと白竜さんに対処をお願いし、更にマリアちゃんに声を掛けた。
「は、はい!」
「君には僕の後を継いで貰うつもりだからこれを」
戸惑いながら返事をしたマリアちゃんに右手の中で生成した親指の爪程の大きさの赤い木の実のような魔力の塊を投げ渡した。
「こ、これは・・・・・」
「僕の力の源になっている魔導核・・・の小型版、かな?まぁそれを食べれば君はもう一段階上の存在に、今の僕に近しい存在になれるから後は頼むよ。元人間の君なら人と皆の仲介役を任せられる。まぁ、僕も負けるつもりは無いから出番は無いかもしれないけど」
「・・・頂きます・・・・・」
僕が説明を終えるとマリアちゃんは手の中の木の実のような魔力の塊を見つめた後に意を決した表情で口の中に放り込んだ。
マリアちゃんがゴクリと音を立てて魔力の塊を飲み込むと、少しの間をおいて魔力の奔流がマリアちゃんを包み込み全身から真紅の光を放った。
「おお・・・・・」
赤竜さんが感嘆の息を吐きマリアちゃんから放たれた光が収まると、そこには二十歳位に成長したマリアちゃんが居た。
「うん、予想通りの結果だね。さて、ウォルタード君も食べてみるかい?おそらくだけど君の身体の中にある核と反発して君の核が破壊されて死ぬんだろうけど・・・試してみるかい?もしかしたら彼女みたいに進化するかもしれないよ?」
マリアちゃんの結果に予想通りだと頷き、ウォルタードの足元に魔力の塊を投げた。ウォルタードは魔力の塊を取る事無く踏みつけた。
「・・・・・ふざけるな・・・誰が王家の亡霊なんぞの力を借りるものか!この私を舐めるな!!」
「ははっ!亡霊とは言ってくれるじゃないか、爵位を持つ事すら許されていない五男坊が!」
僕はウォルタードの煽りに返すと同時に下半身と頭部をウォルタードに向けたまま上半身を一回転させて裏拳でさっきまで座っていた椅子を破壊した。
「クックックッ・・・見ての通り俺は人型だが人じゃない。人間には絶対に不可能な動きも可能だ。だが、安心して欲しい・・・今使える装備はこれだけだ」
ウォルタードが驚きを隠せぬまま俺を睨みつける。
俺はゆっくりとひな壇を降りながら左腕の魔法陣に魔力を流して地下から作っておいた盾を転送した。
所長、皆、ごめん・・・これしか作る事が出来なかった・・・いや、こんなの言い訳にもならないな・・・・・
「・・・さあ、始めようじゃないか!殺し合いを!ウォルタード・グランバート!私利私欲のために虚言、妄言により人々を謀り世を乱した罪としてロベルト・ノーティスが貴様を処断する!大人しくその首を差し出せ等とは言わん!精々抗って見せるがよい!」
左手の盾を構えて右掌をウォルタードとの間に向けて開戦の狼煙だと魔法を放つ。
着弾した魔法が破裂し地面を抉り爆煙と砂塵が視界を覆うが俺の〝目〟にはウォルタードがこちらへ向かって来る姿がはっきりと見えていた。
いいね・・・そう来なくっちゃ―――
「楽しくねぇよなぁ!ウォルタードさんよおぉぉ!!」
「死ねええぇぇ!ロベルトオォォ!グハッ!」
ウォルタードが放った横薙ぎの剣を盾で反らして右拳を顔面に叩き込むとウォルタードは踏鞴を踏んで下がった。
「いい顔だウォルタード!貴様の言う聖地で戦えるんだ光栄に思え!」
鼻血を流したウォルタードへ盾を構えたまま体当たりを喰らわすとウォルタードは3m程吹き飛ばされた後ゆらりと立ち上がり怨嗟の籠った瞳で俺を睨んだ。
「・・・貴様さえ・・・貴様さえ現れなければ・・・・・」
「ああ、そうだ・・・もう解ってんだろ?てめぇは終わりなんだよ!北の国を巻き込んで何人死んだ?戻れる訳ねぇよなぁ!一人だけ生き残った理由なんて誤魔化しようねぇもんなぁ!この世界にてめぇの居場所なんざ残っちゃいねぇえんだよ!!」
「ガアアアァァアアァァァ!!」
「おらあっ!!」
俺とウォルタードは唯々憎しみをぶつけ合った。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




