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壁の内側に入ると兵士達のほぼ中央へと進んで立ち止まった。
魔物達は後退を続けているようだが、万が一を考えて前に行き過ぎないようにしませんとね。
「流石ですな、聖王殿」
「まぁ、私と言うより全能神様の御力ですけど。それよりも拠点構築の方は如何ですか?」
「今の所は問題無く進んでおります。壁の外に居る残り1/3の兵が物資を運び終えれば後方の陣地から更に物資が届く運びとなっております」
「それは重畳。ですがここは既に敵地だと言う事は忘れないように願いますよ」
「はい。あの腰抜け共より強い魔物が来ないとも限りませんし、最低でも防塁を敷き終わるまでは気を抜かぬよう兵士達に伝えておきましょう」
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「なぁ、まだ駄目なのかよ」
「まだだ。あいつ等俺達が下がる事で油断して壁みたいなもん作ってんだろ?あれが出来次第外に居た奴等全員入って来る筈だ・・・お前等、あんな弱い連中数匹倒した位で収まるのか?」
「そりゃねぇわ」
「成程、そう言う事か」
「流石班長頭良いわ」
「だな」
兵士達は角蜥蜴達監視班の数が少ない上に攻撃もせずに後退している様を見て完全に油断しきっていた。
そして慌ただしく駆け回る兵士達の中を悠然と歩いて来る男を見付けた角蜥蜴が口角を上げて牙を剝いた。
「解ってるとは思うが黒狼さんが来るまではあいつの相手は俺がする。お前等は手出し無用だ」
「「「「「了解」」」」」
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一万人近い人間が余裕を持って入れる陣地の構築が早々終わる訳もなく、場が整う頃には太陽は真上に昇っていた。
そしてその頃には青豹からの伝令は白竜を通してロビーへと伝えられていた。
「漸くお出ましか」
ここ数日に渡る混成軍による壁への攻撃の知らせは当然ロビーに届いていた。
それに対してロビーは『壁が壊されて侵入して来るまでは手を出さないように』とだけ告げていた。
「のようです。今頃は黒狼が向かっていると思いますし、問題無く取り押さえられるかと」
正直一般の兵士に壁を壊せると思っていなかったし、壊せる者が居るとすれば、それは一定以上の『魔導知識を持った者』だけ、即ち魔導研究所の所長から知識を授けられたウォルタードだけだろうと予想もしていた。
「ん~・・・ちょっと見てみるか・・・・・白竜さん、一応行って貰えるかな?壁に穴が開けられて兵士が入って来てるみたいなんだ」
ロビーが探査魔法で北部を調べると壁の一部が破壊されて内部に兵士が侵入している様が読み取れた。
「壁が?・・・解りました、俺が行って捕まえて来ます」
「いい?無理と油断は禁物だよ?僕の我儘で誰かが怪我をしたーなんて嫌だからね?」
「解ってます。ですが俺達にも意地と言うか矜持は有るんでその辺はお許しを」
「ハァ・・・まぁ、それも解かるからこそ無理はして欲しくないんだ。捕らえられそうにないなら殺しちゃってもいいよ、不老不死とか喧伝してるみたいだし?赤竜さんが投げ飛ばした時は消えちゃったって話だから多分嘘だけど」
赤竜やクライブから聞いた話から推測するに一定以上の攻撃を受けると転移して治癒ないし再生をしているとロビーは予測していた。
「解りました。では行ってきます」
「行ってらっしゃい・・・・・まぁ、問題はその魔力を何処から引っ張って来てるかなんだけど・・・・・」
白竜を見送ったロビーの呟きを赤竜が拾う。
「魔力を引っ張ってくる、ですか?」
「そそ。僕の作った壁を壊したのも借り物の力だし、奴の言う不老不死も借り物の力の筈なんだよ。唯の人と言う器にそれだけ大量の魔力を内包する事も操る事も出来る訳が無いんだ」
「言われてみればあ奴に会った時に感じた魔力は他の者と大差ありませんでしたな」
「だから別の何処かに魔力を供給している施設がある筈なんだ。それを破壊しない限りあいつは簡単には死なないって訳」
「・・・そしてロビー殿ならそこを突き止められる、と言う訳ですな」
「そうそう。あいつの身体の何処かに刻まれている筈の魔法陣を解析出来れば隠れ家を発見出来る筈なんだ。だから『生かして連れて来て』って頼んだんだけど、まぁ無理そうなら殺しちゃってもいいかな・・・もう、家族から犠牲が出る所なんて見たく無いし・・・・・」
「ロビー殿・・・・・」
「あ、壁の穴塞いどかないと・・・逃げ道は少ない方が良いに決まってるしね」
ロビーが魔導科学研究所で学んだ知識からの推測はほぼ当たっていた。
だが、流石にその魔力を供給しているのが姿を変えた所長本人だとは微塵も頭に浮かばなかった。
ロビーからしてみれば、所長が何故ウォルタードに力を与えたのかが全く理解出来なかったからだ。
ロビーと魔導工学研究所所長、ベルモンドとの邂逅の時は近い。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




