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まただ
また些細な違いがでてきた
ロビー様の行動が未来を変えてしまっている
それ程までの存在だと理解はしたけれど、私が如何したらよいのかが解らない
今はまだ大きな変化は見られない
でも私が気が付かない内に未来が私達にとって悪い方へと変わってしまったら?
そう思うと胸が苦しくなる
私は・・・私は何のために生まれ変わったの―――
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「聖王様、国王陛下からお届け物が来ておりますが」
「ああ、私の部屋に運んで下さい。その後私は瞑想に入りますので誰も近付けないように頼みますよ」
「はい、畏まりました」
国王に頼んでいた鎧とブーツが届いたので信者達に部屋まで運んで貰い人払いをした。
このままではとてもじゃないがドラゴンの相手が出来るような代物ではないため、私に出来る最低限の加工をするためだ。
鎧には魔法、物理攻撃耐性の魔法陣を、ブーツには筋力上昇の魔法陣を刻んで行くのだが・・・・・正直私はこの手の細かい作業が苦手だ。
だがそうも言っていられない。この手の魔法陣を他の者に知られたくないし知られる訳にもいかないからだ。
私の身に起こる全ての奇跡は全能神様から賜った加護と言う事になっているのだから。
もしこれが唯の魔導具の類だとばれてしまえば私の権威は地に落ち、詐欺師として囚虜の身となりおそらくは処刑されるだろう。
まぁ普通に処刑される分には問題無いが、権威を失う事だけは避けなければならない。グランバート帝国と同様に手配されれば行き場を、居場所を失ってしまうのだから。
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「何で俺が繁殖場の警備なんですか兄貴!俺を外壁担当にして下さいよ!」
北の見回り担当を白竜さんが告げたとたん黒狼さんが白竜さんに嚙みついた。あ、物理的にじゃないよ。
白竜さんが決めた黒狼さんの担当は北中央の繁殖場だけど黒狼さんは外壁担当になりたかったみたいだ。
普段は代表の赤竜さんと白竜さんの言う事に逆らうなんて滅多にない。白竜さんが黒狼さんの不満を如何抑えるのか、それとも引いちゃうのか見守る事にした。
「お前の言いたい事は解る。マリアの一件で北側が攻めて来るのはほぼ確実だからな」
「北じゃ俺が兄貴の次位に強いのは皆が認めてくれた!だったら俺が一番前に出るのは当然じゃねぇか!」
「ほー、強いから一番前に出るってんなら俺が防壁担当になるわ。で、残りの全員はここの担当な。お前等俺より弱いんだからここで大人しくしてろや」
お、力で抑え込むのかな?
「そ、そんな・・・・・」
「はぁ・・・いいか、俺が何でお前を北中央の繁殖場の担当にしたのか、何で今までと違う奴を手下に付けたのかを良く考えろ」
「え?」
「あのな、お前が焦る気持ちはよく解る。俺だって南と、赤竜との差を見せ付けられて色々考えてんだ。もし、俺に何か有ってここを離れるなんて時のために俺の代わりになる奴を育てておきてぇんだよ・・・解るか?その役は他の奴よりも頭一つ抜け出たお前しか居ねぇんだ」
「え?お、俺が兄貴の代わりに?」
「北で何か有ったら先ずお前に報告をする、お前は足の早い奴にここへ報告をさせて現地に急ぐ。北側の繁殖場を含めた防壁全てを纏めるのがお前の役割のつもりだったんだが・・・不満か?」
「そ、そんな訳ない、です・・・寧ろ荷が勝ち過ぎてるって言うか、そんな大任が俺に務まるのかなって・・・・・」
「さっき言ったろ、育てときたいって。だから今からなんだ。いいか、他の連中は些細な事でもこいつの所に報告に行くんだぞ!それでお前は指示を出した後ここに報告を送るのが当面の役目だ」
「は、はい!」
「「「「「解りました!」」」」」
あのまま力で抑え込むようなら口を挟もうかと思ったけど白竜さんは対話で黒狼さんを説き伏せた。彼は彼で赤竜さんに追い付くために自分なりに考えているんだな。
「うんうん、いいね。それじゃ、黒狼さんは北部守備隊隊長って事で頑張ってね」
「「「「「えっ?!」」」」」
「いや、何で皆驚くの?で、白竜さんが北部守備隊総隊長だね。南は赤竜さんが南部守備隊総隊長で緑虎さんが南部守備隊隊長かな?まぁ南の殆どはグランバート帝国みたいだし、南東と南西位しか警戒する所は無いけど」
「あ、あの、マリア殿を差し置いて我等に役職を与えると言うのは如何なものかと・・・・・」
そう言えばマリアちゃんは赤竜さん達の中では僕の次に偉いんだっけ?でもそれは僕的には出来ないんだよね。
「ああ、マリアちゃんはまだ子供~・・・ええっと、皆の感覚で言うと幼体になるのかな?だから後最低五回は季節が巡った後でないとだめかな?」
「よ、幼体・・・・・」
「マリア殿が幼体?」
「し、信じられねぇ・・・・・」
「僕が皆に嘘を吐くと思う?僕の個人的な感情で言うとマリアちゃんには何処かを任せるとか、戦闘に関わらせるとかしたくないんだよね」
「あの、ロビー様、私の事でしたらご心配無く。いざ戦闘となれば相手が何者であろうとも―――」
「そんな心配はしてないよ。君を関わらせたくない一番の理由は僕が君を信用しきれていないからなんだ」
「な、何故―――」
「だって君は僕に隠し事してるでしょ?」
「なっ?!」
「ほら、この程度で動揺してる。誰にだって隠し事位あるでしょ?君には経験が圧倒的に足りなていないんだ。そうだね、最低でも動揺を顔に出さないようでないと何処かの担当者として交渉事は任せられないかな」
「はい・・・・・」
しゅんと俯くマリアちゃんから視線を外し、配置の決まった皆に声を掛けた。
「それじゃ各部隊の隊長さん達に名前を付けるから―――」
「「「「「済みません!それはまた後日に!」」」」」
ら、皆逃げてしまった・・・そこまで嫌がらなくてもいいじゃん・・・・・
ここまで読んで頂き有難う御座います。




