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審判の実  作者: 葉月 涼
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 ロビー殿との会談から二日目。帰りの馬車の中で大臣達へ如何報告したら理解を得られるかを思案中に私の馬車を騎馬が追い抜いて行くとほぼ同時に馬車が停止し、何事かと近衛達に緊張が走った。


「陛下、クライブ団長殿より急報です!」


「は?たった二日で何か有ったと言うのだ?」


「解りませんが今追い抜いて行った伝令から陛下宛の文を預かりました」


 何にしても読んでみれば解かるかと御者から封書を受け取った。


「・・・ハァ・・・一体何だと言うのだ・・・・・」


 馬車が走り出すと同時に溜息を吐き、封書を開けてクライブからの報告書を読み終えると涙が溢れ出した。


「へ、陛下?如何したのですか?!」


「・・・ロビー殿がッ・・・うわああぁぁぁ!!」


 近衛に説明しようと声を出した瞬間に感情を抑え切れずに幼子のように泣き声を上げた。


 泣きながら近衛に報告書を手渡し、近衛が報告書を読むと私と同様に泣き出し、二人で肩を抱き合い落ち着くまで暫くの間泣続けた。


 クライブからの報告書には食用の大型の魔物を三十体も寄付して頂いたと書かれていた。


 ロビー殿は何と慈悲深い方だ・・・私は過去の事で恨まれていてもおかしくないと言うのに、我が臣民のために大量の支援をして下さるとは・・・・・


 更に彼等は我々を仲間と認めて下さったとも書かれていた・・・信じられない・・・・・グランバート家は裏切り者だと言うのに・・・ロビー殿は全てを許し、本当にもう過去の事だとそう思っていらっしゃるのだ・・・・・


「・・・・・一刻も早く帰るぞ・・・帰って全てを大臣達に話す!その上で大臣達に我が進退を問うのだ!」


「あ、いや・・・陛下、それは・・・・・」


「何だ!」


「その・・・ロビー殿の不興を買うのではと・・・・・」


「あ・・・そ、そうだな、では頭を下げて帝王を続けさせて貰う方向で行こう」


「その方が宜しいかと」


 確かに許して頂いたと言うのに帝王が変わったとなればロビー殿の怒りを買う可能性が高いと思い直した。


「うむ・・・にしてもだ、此度のクライブの功績は計り知れんな」


「はい。救国の英雄と言っても過言ではないかと」


「何か丁度いい褒美はないものか・・・・・」


「そうですね・・・・・あっ!陛下、北方四村周辺の領主と言うのは如何でしょう。現状彼等と最も仲が良く、信頼関係を築いておりますし、ロビー殿から頂いた門の鍵を預けるのに最も適しているかと思われます」


「おお!それはいい案だ!いっそ辺境伯か侯爵に昇爵して騎士団長の任を解き、副団長を団長にしてしまおう」


「副団長も今回の件で相当苦労しておりますし、大臣達も納得されるかと」


「うむ、その方向で行くぞ。大臣達に説明する時は其方も補足を入れて貰えると助かる」


「お任せ下さい」


 今回の件で騎士団の功績はかなり大きい。特に団長と副団長の二人が居なければ国自体が無くなっていてもおかしくはなかったのだ。ロビー殿が許して下さるならクライブに帝位を譲っても良い位だ。


 その後も帝都に着くまでの間、どのようにして彼等に恩を返して行けばよいかを近衛達から意見を貰いつつ幾つかの案を出し、後は大臣達と協議して決める事にした。


*


*


*


 北と南ははいいとして、東と西の繁殖場を含めた見回りの担当を如何するかでちょっと揉めた。


 赤竜さんと白竜さんは東と西の繁殖場をそれぞれの部下達で担当してと考えているようだけど俺はお互いの部下を半々で担当して、その担当も一定期間で入れ替えるとかして親睦を深めて欲しいんだよね。


「あのね、皆縄張り意識が強いのは良い事だけど、僕としては北生まれも南生まれも同じ仲間なんだから、担当が北だからとか南だからとか気にしないでお互い行き来して交流して欲しいんだ。それとも『俺は北生まれだから南で何が有ろうが知らねぇよ』とか思ってる?」


 特に強固な姿勢を崩さない白竜さん達北生まれの皆に少し強めに俺の考えを伝えた。


「いや、そう言う訳では・・・・・」

「でもなぁ・・・・・」

「ロビー殿の言う事は解ってるんですけど・・・・・」


 普段なら俺の意見にここまで反対しないんだけど如何も北生まれは南生まれに対して強いライバル意識を持ってるみたいなんだよなぁ。


「はぁ・・・あのね、僕は生まれが如何とか、功績を上げたからとかで優遇はしないし差別もしないよ。赤竜さんと白竜さんは皆が代表だって言うし、皆を纏める役は必要だから任せているだけで他の皆を下に見ている訳じゃないししたくも無いんだ。確かに個々の能力に優劣は有るけど、皆同じ仲間で特別とか上下なんて皆の心の中にしか存在しないんだよ」


「「「「「・・・・・」」」」」


 なんか全員が黙ってしまったので難しかったのかなと例を挙げて言い直す事にした。


「解かり難かった?僕が皆に名前を付けたいって言うのも名前が有る者と無い者が居るのって不公平でしょ?それに名前が有った方がお互い声を掛けやすいと思うんだけど・・・・・」


「「「「「いえ!よく解りました!」」」」」

「「「「「東と西は半々にします!」」」」」

「「「「「でも名前は勘弁して下さい!」」」」」


「うん、まぁ解ってくれたならいいかな?」


 取り敢えず理解はしてくれたみたいで良かったのかな?


 まぁ嫌がってるし、名前を付けるのはもう少し後になるかなぁ・・・・・

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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