表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
審判の実  作者: 葉月 涼
28/35

28

「・・・フゥ・・・寿命が十年は縮んだぞ・・・・・」


 赤竜殿の背に乗ったロビー殿をその姿が見えなくなるまで見送り、崩れるように椅子に腰かけ呟いた。


「心中お察しします、陛下。正直私もこの拠点ごと消し飛ばされるのではないかと肝を冷やしましたよ・・・・・」


「・・・ああ、何時そうなってもおかしくは無かったな」


 クライブの言う通りだ。ロビー殿の強大な魔力に晒されればマリア殿や赤竜殿が可愛く見えると言う物だ。大体何なのだあの魔法は?!あんな物を撃ち込まれれば我が城も一撃で崩壊しかねんぞ!


「だが、会えて、話が出来てよかった。これで聖王の、グランバート教の協議が嘘である事が確実になったのだからな」


 ロビー殿は元は人間で魔物を率いて人を滅ぼす魔王ではなかった。そして聖王こそが私利私欲のために人々を謀る悪党だと確定したのだ。


「直昼になるな・・・昼食を摂り終えた後に帝都へ戻るので準備を頼む」


「「「「「ハッ!」」」」」


 背後に控える近衛達に声を掛けて一息ついた。問題は会談の内容を聞いて大臣達が信じてくれるかどうかか・・・・・


*


*


*


「は?突然壁が現れた?何を言っておる?」


 グリム山周辺に突如巨大な壁が現れたと言う報告が周辺国の国王へと知らされると、各国国王の反応はどこも同じような物で理解出来ないと言った物だった。


 それも仕方のない事で、報告では『何処まで続いているか解らない城壁と変わらない高さの壁が突然現れた』と言った物なのだから信じろと言う方が無理がある。


 その中でノーフェスト王国だけは違っていた。聖王ウォルタード・グランバートから『魔王』の存在を聞いていたからだ。


「う~む、まさか守りに出るとは思わなんだ・・・・・こちらの動きを察知されたのであろうか・・・・・」


「その可能性も捨てきれませんが、それ以上に我々を恐れているのではと愚考します」


「恐れている?」


「はい。おそらく精鋭三十名を倒すのにかなり苦戦したのではないかと。でなければその場から逃げた理由もその後も攻めてこなかった事も説明が付きません」


 逃げたのではなくマリアの治療のために帰っただけなのだが、それを知らせる事の出来る者が一人も残らなかった事が彼等の勘違いを加速させた。


「ふむ・・・確かに一理あるか。だがこれで態勢を整える時間が稼げる。それに食糧問題も解決出来るかもしれん」


 ノーフェスト王国としては周辺五ヶ国に聖王との連名で出した『魔王討伐』の要請で集まる予定の物資で春まで繋ぐ積もりでいるが、それが発覚した時に如何なるのかこの時は誰も気付いていなかった。


*


*


*


「そう言えば地震の事詳しく聞くの忘れっちゃったな・・・マリアちゃん、マリアちゃんの住んでた所はどれ位の被害が出たの?」


 赤竜さんの背に乗ってグリム山山頂へと帰る途中にふと思い出した。そう言えばマルクスさんが大地震が起こってとか言ってたけど、どれ位の被害が出たんだろうと実際に体験しただろうマリアちゃんに聞いてみた。


「私の住んでいた所は小さな農村だったのですけど、家の殆どは倒壊して火事も起きて食べ物の倉庫が燃えちゃいました」


「え?!大事じゃない!もしかして北の森に来た兵士って食料を確保しに来たんじゃないの?!」


「そうかもしれませんが、だからと言って問答無用で攻撃してきたのは向こうですから自業自得かと」


「そ、そうか・・・そう、だね・・・赤竜さんの言う通りだ。そうそう、今作って来た門の所に誰か専属でグランバートとやり取り出来る者を数体送って貰える?」


 北の森に来た兵士達に同情してしまったけど、赤竜さんに言われて思い直した。確かに赤竜さんの言う通りだ。今の僕の立場は彼等の言う『魔物』側なのだから。


「解りました。そこそこ頭の良い者を選んでおきます」


 今僕が出来るのは北ではなく南の支援だなと赤竜さんに頼んで仲間を数体送って貰う事にした。


「宜しく頼むよ、ある程度の権限を与えて構わないからさ。一々僕の判断を仰がずに動ける方がいいでしょ?報告なんて後でいいし」


 これを切っ掛けにお互い気軽に話し掛けたり行き来出来るようになるといいな。


 グリム山山頂に到着して会談内容を皆に報告して、赤竜さんと話し合って南門の担当を決めた。


「では其方達は向こうに付き次第グランバート帝国の方に顔合わせをするように。我等の負担にならぬ程度ならば食用の獣を渡す位は其方等の判断で行って構わんからな」


「「「「「はい!」」」」」


「あ、お互いの常識が違うんだから短気は起こさないでね。解らない事はちゃんと聞くんだよ?」


「「「「「解りました!」」」」」


 この間名前を付けてあげた緑虎さんを筆頭に五体が山を下って行くのを見送り、今後他の国とも取引とか出来るようになるかもと獣の繁殖場を増やす事にした。


 先日作った四か所の繁殖場の間に改めて四か所の繁殖場を四日掛けて作り、中に入れる獣の種類を俺以外の皆で話し合って決めた。だって俺飲み食いしないし。


 話し合いは早く増える獣にするのか皆が美味いと思う獣にするかで意見が割れて、結局半々にして様子を見ようって事になった。うんうん、ちゃんとお互いの意見を尊重し合えたいい結果になったな。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ