起こるべくして起こった
事件は、起こるべくして起こった。
そう、僕が設定した、とんでもないコース。当初から気になっている場所があった。雨が降り、夜間に通過すれば、一つ間違えれば即、滑落し、大事故につながる——そんな場所だ。そこをコースにすること自体、そもそも間違っている。だが当初の僕は、その認識すら甘かった。それは経験のない僕が犯したミスであり、同時に、その失敗から多くを学ぶことにもなった。(実際、その場所は翌年にはコースから外して大会を続けていくことになるのだが、その話はまた後にしよう。)
金曜日の夜、雨風が強くなってきた。もう僕の頭の中には、あの場所の状況が明確にイメージできていた。このままレースを続行したら、本当に大変なことになる。そう考えざるを得なかった。
普段の僕は、基本的にアクセルしかない男だ。ブレーキ役は、いつも妻の松永かな子さん。僕はどちらかというと楽天的で、ピーターパンのように、できない理由をあまり考えず、どうすればできるかを考えるタイプの人間だ。やらない理由を探すことは、まずしない。そんな僕が、これは絶対にやばい、中断すべきだと思ったのだ。どれほどそのコースが危険だったか、想像していただけるだろう。
そこで支えとなってくれたのが、例の経験豊富な運営メンバーだった。この大会を何とか成立させるために、緊急会議を行う。そして、危険箇所を通過する前に一度レースを中断し、その区間を過ぎたところまで全ての選手を運んで、再スタートさせる——その決断をすることができた。
これも、運営メンバーの優しさと、心の大きさがあったからだと思う。僕が作ったコースがとんでもないことは、みんな分かっていて、それでも何とかしてあげたいと思ってくれた。そう信じたい。僕のわがままを、聞いてくれたのだ。
このおかげで、多くの選手が、一時中断の後、またゴールへ戻ってきてくれた。




