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世界の舞台にふさわしい山々
思い返せば、ある知人にこう言われたことがあった。
"松永さん、海外へ行ってレースを走った方がいいんじゃないですか。その方が、選手としてのキャリアにつながるんじゃないですかね"
その一言を、その瞬間に本気で捉えたというわけでは、正直なかった。ただ、どこかでアンテナが立ったのかもしれない。それから一年も経たないうちに、結局、海外レースに行くことになった。
最初の国は、ニュージーランド。ウルトラトレイル・ワールドツアーが始まってからは、そのポイントを稼ぐために走った。世界中の舞台で走ってみたい。プロとしてのキャリアを重ねたい。入賞したい、優勝したい。その思いのままに、北米、アジア、ヨーロッパ、アフリカ——世界中を走ってきた。
そうして走り続けた末に、たどり着いた考えがある。
世界の舞台となっている山々は、僕が今トレーニングで走っている、この山々と何ら変わりはない。いや、この僕がいつも走っている山々は、すでにこのままで、世界の舞台にふさわしいのではないか。
日本に閉じ込められた日々の中で、改めてこの思いが強くなった。海外を走り回っていたあの頃を思い出し、そのときの景色と、今、目の前にある景色とを重ね合わせる。そんな日々が、しばらく続いた。




