45/89
諦めの境地
別人のようにむくんだ顔、象のように膨れ上がった足で帰国。
走れないのか、走りたくないのか。
理由は、体ではなかった。もちろん、筋肉が破壊され痛みはあった。しかし一番大きなダメージを負ったのはメンタル、心だった。ハセツネで何度もぺっしゃんこになってきたこの心。今度はUTMBでも同じ傷を負った。
そんな中、傷をえぐるように東京ゴールドウィン本社でUTMB報告会が行われた。
スポットライトを浴びる栄光3名の横、公開処刑のように置かれた。恥ずかしい。悔しい。ただそれだけ。ゴールでのあの感覚が再び、鮮明に蘇る。
一種の諦めが心を占めた。
再び、走りだす気持ちになったのは雪が降り始める頃だった。




