第92話 狙われるランキング者
モルドが言う。
「これからどうする?」
アベルが答える。
「まずは、危機感のない奴らを一蹴する」
アベルが不敵な笑みを浮かべる。
モルドは思った。
最高に面白い。
◇
とある泉。
一人の女性が噴水の上で瞑想していた。
能力ランキング第86位。
ミズ。
能力『水滴射出』
水滴を高速で発射する能力。
彼女は亡命を断った。
第8位の国にも。
第7位の元にも行かなかった。
自分はどこの国にも属さない。
それが彼女の信条だった。
静かな時間。
水の音だけが響く。
だが。
ブワァン
空間に裂け目が生まれる。
ミズの目が開く。
敵。
瞬時に判断した。
無数の水滴が放たれる。
バシュバシュバシュ!!
「なんだ?」
「水遊びか?」
裂け目から現れた男が言う。
モルドだった。
水滴が全身に直撃する。
ドドド!!
モルドが吹き飛ぶ。
だが。
すぐに立ち上がった。
傷一つない。
「弱い奴がプライドを持つのは」
「滑稽だぞ」
ミズの顔が青ざめる。
「まさか……」
「第9位モルドか?」
だが。
次の瞬間。
「ぐふっ」
ミズの身体が震えた。
心臓。
そこに穴が開いていた。
彼女の背後には誰もいない。
だが。
声だけが聞こえる。
「一丁あがり!!」
陽気な声。
クリアだった。
透明化したまま。
ミズの心臓を貫いたのだ。
能力ランキング第86位。
ミズ。
死亡。
クリアが透明化を解き。
モルドの横へやってくる。
「見た見た?」
「今の見た?」
嬉しそうに聞く。
モルドは即答した。
「何も見えないな」
クリアが固まる。
「えぇ……」
「上手くやったのに……」
肩を落とす。
ネロがため息を吐く。
ポールは大笑いしていた。
グリッチは止まらない。
ランキング者狩りが始まる。
◇
砂漠。
熱風が吹き荒れる。
二人の男が向かい合っていた。
能力ランキング第61位。
サンドラ。
能力『砂嵐』
砂を操り。
巨大な嵐を発生させる能力。
そして。
能力ランキング第40位。
ヴァイス。
ディバイド幹部。
サンドラが言う。
「俺はディバイドなんぞ興味はない」
「失せろ」
ヴァイスは静かだった。
そして。
口を開く。
「残念だったな」
低い声。
「近くのランキング者から殺していくことに決めたんだ」
サンドラが眉をひそめる。
「面倒な考えだ」
両手を広げる。
能力発動。
ゴゴゴゴゴ。
ヴァイスの足元の砂が動く。
回転する。
勢いを増す。
そして。
巨大な砂嵐となった。
視界が消える。
轟音が響く。
「チッ」
ヴァイスが巻き込まれる。
砂が身体を削る。
サンドラは笑った。
「なんだ」
「そんなものか?」
その瞬間。
バキュン!
何かが飛んできた。
速い。
サンドラが反射的に腕で防ぐ。
だが。
次の瞬間。
「ぐわぁぁぁぁ!!」
絶叫。
腕が紫色に染まる。
侵食。
毒。
止まらない。
腕から肩へ。
肩から胸へ。
全身へ。
サンドラが膝をつく。
「なんだ……これは……」
泡を吹く。
呼吸ができない。
身体が動かない。
そして。
倒れた。
能力ランキング第61位。
サンドラ。
死亡。
砂嵐が消える。
その中心から。
ヴァイスが現れる。
傷はない。
服が少し汚れただけ。
ヴァイスは死体を見下ろした。
「弱いな」
小さく呟く。
毒を飛ばし、侵食させる能力。
超人的な身体能力。
そして。
躊躇なく人を殺せる精神。
本当の実力は。
クロエすら上回る。
ディバイド最強の戦闘員。
ヴァイスは砂漠を歩き出す。
「一人残らず殺してやる」
グリッチとヴァイスが。
ランキング者を襲う。




