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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第90話 毒血とグリッチ

能力ランキング第40位。


ヴァイス。


ディバイドの幹部の男。


彼は泣いていた。


能力ランキング第78位。


ヴァイン。


同じディバイドの幹部であり。


自分の弟。


その死を知ったからだ。


静かに。


ただ静かに。


涙を流していた。


だが……


「みーっけ!」


女の声。


ヴァイスが顔を上げる。


そこには二人の女が立っていた。


能力ランキング第72位。


アイス。


能力『冷気』


能力ランキング第52位。


スモーク。


能力『煙幕』


アイスが笑う。


「私たちが殺してあげるわ」


スモークも笑う。


「ディバイドは処刑でしょ!」


次の瞬間。


アイスがガスマスクを装着した。


同時に。


スモークが能力を発動する。


白い煙。


大量の煙。


辺り一帯を覆い尽くす。


視界は完全にゼロ。


何も見えない。


スモークの煙幕は普通の煙ではない。


吸えば毒が回る。


少しずつ身体を蝕み。


最後には絶命する。


二人は煙の中を見ていた。


ヴァイスの影を。


だが。


動かない。


まったく動かない。


「え?」


スモークが首を傾げる。


「終わり?」


アイスも眉をひそめる。


第40位。


ディバイド幹部。


もっと抵抗すると思っていた。


だが。


何もしてこない。


スモークが笑う。


「あっけな!!」


アイスも肩をすくめる。


「観念したんじゃない?」


その瞬間だった。


ガシ。


「かはっ!?」


アイスが目を見開く。


スモークも同じだった。


二人の首を。


紫色の手が掴んでいた。


目の前には全身紫色の男。


ヴァイス。


異様な色。


異様な存在感。


二人は必死に暴れる。


だが。


動かない。


とんでもない握力。


振りほどけない。


「うぐっ……」


アイスが能力を使う。


冷気。


紫色の手を凍らせようとする。


だが。


次の瞬間。


「あぁぁぁぁぁぁ!!」


アイスが絶叫する。


紫色が。


腕を伝って侵食していた。


毒。


冷気より早く。


身体を蝕む。


スモークも同じだった。


紫が広がる。


首。


腕。


胸。


全身。


そして。


二人は動かなくなった。


能力ランキング第72位。


アイス。


死亡。


能力ランキング第52位。


スモーク。


死亡。


ドサッ。


二つの死体が倒れる。


煙が晴れる。


その中心に。


ヴァイスが立っていた。


「舐めるなよ」


「小娘共が」


ヴァイスの能力。


『毒血』


自らの血液を猛毒へ変える能力。


危険度だけなら。


上位クラス。


だが。


本気を出せば。


周囲まで毒で崩壊する。


だから。


普段は隠していた。


それでも第40位。


ヴァイスは弟のことを思い出す。


ヴァイン。


唯一の家族。


もういない。


「俺が」


ヴァイスが呟く。


「逆に殺してやる」


そう言って。


闇の中へ消えていった。











別空間。


全てが水色で構成された奇妙な世界。


床も。


壁も。


空も。


全て水色。


そこに五人が座っていた。


モルドが腕を組む。


「これで分かっただろ?」


不機嫌そうな顔。


「俺は味方だ」


モルドはグリッチに試されていた。


仲間としてふさわしいのか。


だから第89位の元へ行き。


宣戦布告をした。


そして。


グリッチの面々を見る。


「だからお前らのことを教えろ」


リーダーが頷いた。


「いいだろう」


そう言って。


仲間たちへ視線を向ける。


最初に口を開いたのは。


雑音混じりの男だった。


「私はネロ」


不快なノイズ。


耳障りな声。


「能力『音支配』」


モルドが眉をひそめる。


声が。


不快だ。


次に。


大男が立ち上がった。


「俺はポール!!」


声がでかい。


やたらでかい。


「能力『超爆撃』だ!!」


モルドが顔をしかめる。


別の意味で不快だった。


そして。


最後の男。


軽い笑みを浮かべる青年。


「俺はクリア」


ニコッと笑う。


「知らない?」


モルドが即答する。


「全く知らん」


クリアが固まった。


「え?」


数秒停止。


「マジ?」


モルドは真顔。


「マジだ」


クリアが肩を落とした。


「能力ランキング第54位」


「能力『透明化』」


クリアが落ち込みながら言う。


モルドが少し驚く。


ランキング者……?


ネロが補足する。


「モルドとは別に」


「最近勧誘した」


モルドは納得する。


そして。


最後に。


リーダーが口を開いた。


「俺はアベル」


「能力『別空間』」


モルドの目が細くなる。


別空間。


とんでもない能力だ。


下手をすれば。


最上位にいてもおかしくない。


モルドが聞く。


「お前ら」


「なんで能力ランキングに入っていない?」


さらに続ける。


「目的はなんだ?」


空気が変わった。


ポールも。


ネロも。


クリアも。


静かになる。


アベルがゆっくり立ち上がる。


「では」


「目的から話そう」


静かな声だった。


だが。


どこか狂気を感じる。


ディバイド。


ノーランク。


そして。


グリッチ。


世界を混沌へ叩き込んだ。


第三の組織。


その全容が。


明かされようとしていた。


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