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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第88話 賭け

ネメシスが泥を吹き飛ばす。


ドゴォォン!!


泥が四方へ散る。


「君たち……」


ネメシスの顔から笑みが消える。


「腹が立つね」


空気が変わった。


殺気。


それだけで肌が痛い。


レイ達は身構える。


そして。


ネメシスが一歩前へ出た。


「じゃあ」


「本気でやるね」


次の瞬間だった。


「な……!?」


レイの目が見開く。


ネメシスの姿が消えた。


違う。


速すぎて見えない。


ネメシスは一瞬で距離を詰めていた。


自分自身に横向きの重力をかけて。


弾丸のように飛んできたのだ。


横向きもできたのか!!


レイの背筋が冷える。


ネメシスが笑う。


「はい、おしまい」


右手を向ける。


重力発動。


だが。


その瞬間。


巨大な影がレイ達を飲み込んだ。


「あー……」


「めんどくさいなぁ」


ネメシスが呟いた。











レイ達は影から這い出る。


「助かった……」


マッドが息を吐く。


クロエがフォーサを見る。


「あなたのおかげで随分距離を取れたわ」


フォーサが少し照れる。


クロエの能力が強化され。


普段よりかなり遠くの影に移動できた。


だが。


次の瞬間。


クロエの身体がふらついた。


「クロエ!」


レイが支える。


クロエの息が荒い。


顔色も悪い。


限界が近い。


それでもクロエは笑った。


「私はもう能力は使えないわ……」


レイ達が俯く。


クロエが続ける。


「あいつ」


「横向きの重力も使えるのね」


レイも頷く。


だが。


同時に思った。


「恐らく」


レイが口を開く。


「今のは隠し玉よ」


全員がレイを見る。


「逆に言えば」


「私達はネメシスを追い詰めた」


沈黙。


そして。


マッドが笑う。


「もう一息ですね!!」


フォーサも頷く。


ミントも少し表情が明るくなる。


だが。


レイだけは笑わなかった。


その一息。


それが遠い。


どうやって勝つ。


レイが考え込む。


すると。


クロエが口を開いた。


「一つだけ」


「作戦があるわ」


静寂。


クロエは続ける。


「乗るかどうかは任せる」


そして。


真っ直ぐレイを見る。


「でも」


「失敗したら死ぬわ」


全員が唾を飲み込んだ。


怖い。


当たり前だ。


相手は第6位。


だが。


レイの脳裏に浮かぶ。


ペーパー。


最後の言葉。


「俺より正義の味方に見える奴に出会った」


ネメシスは悪だ。


だから。


ここで倒す。


レイは頷いた。


マッドも。


フォーサも。


ミントも。


全員が頷いた。


クロエが小さく笑う。


「決まりね」











ネメシスは森の中を歩いていた。


「あいつら……」


不機嫌そうな顔。


「遠くまで逃げやがって」


だが焦りはない。


どうせ勝つ。


そう思っていた。


その時。


「しまった!」


クロエの声。


ネメシスが反応する。


視線の先。


木陰。


そこにいた。


クロエ。


そしてミント。


ミントは回復能力を使っている。


クロエは疲弊している。


ネメシスが笑った。


「見つけた」


勝ちだ。


そう思った。


そして。


自分へ重力をかける。


一気に接近する。


その瞬間。


「くらえ!!」


マッドとフォーサが飛び出した。


大量の泥を正面からぶつける。


視界を覆うほどの泥。


ネメシスの前へ広がる。


「チッ」


ネメシスが舌打ちする。


泥で見えない。


だが。


問題ない。


横向き重力のまま突っ切ればいい。


そう考える。


しかし。


そこで違和感を覚えた。


光線の女がいない。


あの女だけがいない。


ネメシスの眉が動く。


嫌な予感。


「あの黄色髪……」


まさか。


そう思った瞬間。


振り向いた。


だが。


「遅い!!」


レイがいた。


はるか後方。


右手を構えている。


バシュッ!


光線発射。


ネメシスが横向きの重力を維持したまま。


光線がその領域へ飛び込む。


ネメシスへ迫る。


「しまっ……」


最後まで言えなかった。


誰も反応できない。


ネメシスすら。


そして。


光線は。


ネメシスを。


貫いた。


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