第83話 暴かれたディバイド
「なんだと……?」
ノクリアが動揺する。
鉄壁の向こう。
モルドの姿は見えない。
だが。
分かる。
あいつは今。
笑っている。
不気味に。
楽しそうに。
「ついでに教えてやる!!」
モルドの声が響く。
「第19位!!」
「第40位!!」
「第78位もディバイドだ!!」
その言葉に。
ノクリア達の表情が変わる。
マグは混乱していた。
何が起きているのか。
理解が追いつかない。
モルドは続ける。
「これはディバイドからの宣戦布告だ!!」
「俺たちを止めてみろ!!!」
その瞬間。
ブワァン
鉄壁の向こうで。
不気味な音が響いた。
「じゃあな」
そして。
気配が消えた。
カイが鉄壁を解除する。
だが。
そこには誰もいなかった。
◇
アストラは宿屋のベッドに寝転がっていた。
ディバイドの部下達は身を隠している。
だが。
自分だけは違う。
第4位。
最上位。
だから。
追う側を演じなければならない。
ディバイドのリーダーなのに。
「めんどくさーい☆」
ベッドでごろごろする。
その時だった。
「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
アストラの顔が変わる。
思わず耳を塞ぐ。
直後。
ドゴォォォォォォォン!!
宿屋ごと吹き飛んだ。
木片が舞う。
壁が崩れる。
地面が割れる。
宿屋の前。
一人の男が立っていた。
能力ランキング第43位。
クライ。
能力『絶叫衝撃』
叫びによって衝撃波を発生させる能力。
クライが瓦礫を見る。
「やったか?」
次の瞬間。
「残念☆」
後ろから声。
クライが振り返る。
だが遅い。
グサッ。
レイピアが喉を貫く。
「がっ……」
クライが血を吐く。
アストラは笑顔だった。
「乙女の就寝をー」
「邪魔しちゃだめだぞ☆」
レイピアを何度も刺す。
クライが倒れる。
能力ランキング第43位。
クライ。
死亡。
アストラはしゃがみ込む。
そして。
クライの服から紙が落ちていることに気付いた。
「んー?」
紙を拾う。
読む。
その瞬間。
アストラの表情から笑顔が消えた。
そこに書かれていたのは。
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指名手配
第4位アストラ
第9位モルド
第19位クロエ
第40位ヴァイス
第78位ヴァイン
※殺した場合、三代まで一生困らない富を与える
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沈黙。
アストラが呟く。
「まずい……」
ディバイドの正体が。
完全に割れている。
◇
レイ達はミレアの家にいた。
誰も喋らない。
誰も動かない。
ペーパーの死。
その重さが。
全員の心を押し潰していた。
その時。
ミレアがお茶を持ってきた。
「皆さん、お茶をどうぞ」
返事はない。
誰も顔を上げない。
すると。
ミレアが机を叩いた。
バン!!
全員が顔を上げる。
ミレアは泣いていた。
「皆さんいい加減にしてください!!」
怒鳴る。
レイ達が驚く。
ミレアは続けた。
「ペーパー様の言葉を忘れたんですか!?」
涙を流しながら。
叫ぶ。
「彼は幸せだったと言ってくれたんです!!」
静寂。
誰も反論できない。
ミレアはレイを見る。
「レイ様!!」
「あなたは私の正義の味方のペーパー様が認めた!!」
「正義の味方なんでしょ!?」
涙が零れる。
「だったら!!」
「こんなところで、いつまでもくよくよしてないで!!」
拳を握る。
そして。
魂の底から叫んだ。
「次の犠牲者を出さないようにしなさいよ!!!」
静寂。
誰も喋れない。
ミレアは本当に強い。
ペーパーに惚れていた。
やっと一緒に暮らせるようになった。
その矢先の死。
誰よりも苦しいはずだ。
それなのに。
前を向いている。
レイはゆっくり立ち上がった。
「ごめん」
小さく言う。
「ごめん、ミレア」
顔を上げる。
「私達が間違ってた」
マッドも立つ。
フォーサも立つ。
ミントも立つ。
レイは拳を握った。
「ペーパーの想いは無駄にしない」
前を見る。
三人も頷く。
ミレアは涙をぬぐった。
そして。
少しだけ笑った。
レイ達は家を出る。
その時だった。
「やっほー☆」
「ノーランクのみんなー☆」
全員が振り向く。
派手な化粧。
長いツインテール。
短パン。
オフショルダー。
そこには。
アストラが立っていた。




