第八話 反乱軍
レイとマッドは男に連れられ、路地裏の奥へ進んだ。
薄暗い空間。
そこには二十人ほどの男女が集まっていた。
剣。
槍。
弓。
様々な武器が置かれている。
誰もが警戒した目をしていた。
「頭」
男が声をかける。
「こいつら、どうやら俺たちと同じみたいです」
その言葉に。
一人の男が立ち上がった。
周囲の空気が変わる。
40代ぐらいの目つきの鋭い男。
リーダーらしい。
男はレイを睨む。
レイも見返した。
先に口を開いたのはレイだった。
「私はレイ」
「こっちはマッド」
マッドが軽く頭を下げる。
レイは続けた。
「能力ランキングを恨んでるわ」
一瞬の沈黙。
やがて。
男が笑った。
「そうか」
男は手を差し出す。
「俺は反乱軍のリーダー」
「ペーパーだ」
レイは握手に応じた。
「ペーパーね」
「かわいらしい名前」
周囲から小さな笑い声が漏れる。
ペーパーは鼻を鳴らした。
「よく言われる」
空気が少しだけ和らいだ。
レイは周囲を見渡した。
反乱軍。
能力ランキングによる支配に抵抗する者たち。
この国の実態を知るには都合がいい。
「ペーパー」
「これからどうするの?」
レイが問う。
ペーパーの表情が鋭くなる。
「王を殺す」
迷いのない声だった。
「能力ランキング73位」
「ぺブルだ」
周囲の空気も引き締まる。
だが。
ペーパーは少し目を伏せた。
「だがぺブル以上に」
「厄介な奴がいる」
「51位ゼノだ」
レイの目が細くなる。
51位。
ブラッドより上ではない。
だが。
十分すぎるほど強者だ。
あの時の勝利も。
不意打ちだったからこそ。
正面から戦えばどうなっていたか分からない。
「こちらの戦力は?」
レイが聞く。
ペーパーは周囲を見回した。
「ここにいる連中だ」
「能力者は少ない」
20人ほど。
しかも武器も装備も貧弱。
まともな戦力には見えなかった。
「ランキングの人はいる?」
レイが問う。
その瞬間。
周囲が少し静かになった。
ペーパーがため息を吐く。
「いる」
そう言って足元の紙切れを拾う。
紙が浮かぶ。
形を変える。
細長く。
鋭く。
手裏剣になった。
マッドが目を丸くする。
「俺だ」
ペーパーが言う。
「能力ランキング88位」
「能力『紙変形』」
紙の手裏剣が回転する。
やがて元の紙へ戻った。
88位。
レイは考える。
相手は73位。
そして51位。
紙では厳しい。
そう思わずにはいられなかった。
◇
バチン!!
鞭の音が響く。
「痛い!!」
「痛い!!」
女が地面を転がる。
その姿を見て男は笑っていた。
能力ランキング51位。
ゼノ。
上裸の男。
筋肉質な体。
短い金髪。
そして。
手には緑の鞭。
「おらぁ!!」
「もっと叫べ!!」
「これでも加減してんだぞ!!」
女は泣きながら許しを請う。
「許してください……」
「お願いします……」
だが。
ゼノは笑うだけだった。
「はっはっは!!」
「いい声だ!!」
その時。
後ろから声が飛ぶ。
「相変わらず悪趣味だな」
ゼノが振り返る。
ぺブルだった。
「へっ」
「お前にだけは言われたくねぇな」
ぺブルは呆れたように肩をすくめる。
「それより」
「ディバイドが動いている」
ゼノの笑みが消える。
「近くで目撃情報があった」
その瞬間。
ゼノの持つ鞭が変形した。
無数の棘が生える。
殺意が溢れ出す。
「きたか」
ゼノが笑う。
「ランキング狩りの連中」
「ぶっ殺してやる!!」
鞭が振り下ろされる。
轟音。
女の姿が消えた。
肉片だけが周囲へ飛び散る。
ゼノは満足そうに笑った。
「楽しみだぜ」
その目は狂気に満ちていた。




