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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第73話 正義のモルド

レイは自由になったことで。


監獄内を散策していた。


歩きながら気付く。


この監獄は妙に静かだった。


囚人がいる。


兵士もいる。


それなのに。


騒がしさがない。


怒鳴り声も。


笑い声も。


ほとんど聞こえない。


不気味なほど統制されている。


兵士たちは。


どういう気持ちでここにいるのだろう。


レイは気になった。


そして。


兵士たちの食堂へ向かうことにした。











食堂は至って普通だった。


木の机。


木の椅子。


食事を取る兵士たち。


どこの町にもありそうな光景。


だが。


一つだけ違う。


誰も喋っていない。


全員が黙々と食事をしていた。


レイは周囲を見渡す。


そして。


近くの男へ声をかけた。


「あなた」


男が顔を上げる。


「話しかけてもいい?」


男は少し驚いた。


そして。


「お前……」


「ランク0か?」


レイは頷く。


男は少し考える。


そして。


椅子を指差した。


「いいだろう」


「そこに座れ」


レイは素直に座った。


男が聞く。


「それで?」


「話はなんだ?」


レイは真っ直ぐ男を見る。


「あなたは」


「なんでここで兵士をしているの?」


男は少し目を閉じた。


そして。


ゆっくり話し始める。


「俺はな」


遠くを見る。


「昔」


「妻を殺されたんだ」


レイは黙って聞く。


男は続けた。


「毎日が地獄だった」


「復讐したかった」


「でも犯人は捕まらなかった」


拳を握る。


「そんな時だ」


「モルド様から手紙が届いた」


レイが目を細める。


男は笑う。


「お前の妻を殺した人間が監獄にいる」


「処刑するから見に来い」


「と書いてあった」


レイが息を呑む。


「そして処刑の日」


「モルド様は」


「妻を殺した囚人を逆さ吊りにした」


レイの表情が固まる。


「そして」


「苦しみ抜いたところで」


「頭にナイフを投げた」


「そしたら」


「頭がトマトのように破裂した」


レイは思わず口元を押さえる。


男はその反応を見て笑った。


「普通はそういう顔になるよな」


レイは何も言えない。


だが。


男は首を振る。


「でも俺は違った」


目を輝かせる。


「興奮した」


レイが驚く。


男は続ける。


「神様がいたんだって思った」


遠い目をする。


「妻を殺した奴が」


「苦しんで死んだ」


「それを見せてくれた」


男は微笑む。


「俺は救われた」


静かな声だった。


「だから」


「その日から兵士に志願した」


「モルド様のために働いている」


レイは戸惑う。


そして聞いた。


「もしかして……」


「ここの人たちも?」


男は頷く。


「大体そんな感じだ」


「家族を殺された奴」


「人生を壊された奴」


「みんなモルド様に救われた」


レイは黙る。


何も言えなかった。











レイは兵士へ頼み込み。


マッドとの面会を取り付けた。


ランク0。


その権限は想像以上だった。


全ての願いが通る。


しばらくして。


牢獄の一室へ案内される。


そして。


扉が開いた。


「レイさーーーーーーん!!」


マッドが全力で走ってくる。


そして。


抱きつこうとした。


だが。


「くさっ!!」


レイが後ろへ飛び退く。


マッドが固まる。


「え?」


レイは鼻を押さえる。


「臭い!!」


マッドの顔が真っ青になる。


「そ、そんな……」


深刻なダメージを受けていた。


レイは少し申し訳なくなる。


「ごめん……」


「大変だったんだよね……」


マッドは肩を落とした。


二人は椅子へ座る。


改めて見る。


マッドの身体は変わっていた。


肩幅が広い。


腕も太い。


胸板も厚い。


だが。


顔はそのまま。


丸眼鏡もそのまま。


違和感が凄かった。


レイは思わず笑う。


「マッド」


「あなた随分たくましくなったわね」


マッドは嬉しそうに胸を張る。


「はい!」


「ここ本当にやることがなくて!」


「ひたすら筋トレしてました!」


レイが笑う。


顔と身体のバランスがおかしかった。


だが。


少し安心した。


そして。


本題へ入る。


「マッド」


「何か分かったことはある?」


レイが聞く。


マッドは真剣な顔になる。


そして答えた。


「ある程度」


「囚人たちと仲良くなれました」


レイが頷く。


マッドは続ける。


「正直……」


少し迷う。


だが。


はっきり言った。


「どの囚人も」


「死んだ方がいいような連中です」


レイが驚く。


マッドは真っ直ぐだった。


「金のために人を殺した人」


「殺した相手をいたぶった人」


「生きたまま燃やした人」


「そんな奴ばかりです」


拳を握る。


「死んで当然です」


強い声だった。


レイは黙る。


シルヴィア。


兵士たち。


そして囚人たち。


見れば見るほど。


聞けば聞くほど。


能力ランキング第9位。


モルドは。


正義にしか見えなくなっていた。


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