表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/185

第72話 評価

レイは拳を握り締めながら。


モルドと向き合っていた。


緊張感だけが張り詰めている。


レイが口を開いた。


「なんで私が第7位の妹だと分かったの?」


鋭い目つきだった。


モルドは肩をすくめる。


「黄色の髪」


「その目つき」


そして笑う。


「兄を知る人間からしたら」


「気付かない方がおかしいだろ」


レイは目を伏せた。


そうだったのか。


兄とは。


もう十二年会っていない。


容姿が似ていることも。


髪の色が同じことも。


忘れていた。


沈黙。


すると。


モルドがレイを見る。


「それで?」


椅子へ深く腰掛ける。


「この監獄に何の用だ?」


鋭い視線だった。


レイは考える。


嘘は通じない。


そんな気がした。


だから。


正直に言う。


「あなたが正義か悪か」


「確かめに来たの」


数秒の沈黙。


そして。


「はっはっはっは!!」


爆笑。


モルドが腹を抱える。


「正義!?」


「悪!?」


「面白いことを言うな!!」


机を叩く。


「兄よりずっとユーモアがある!!」


レイは不快そうな顔をする。


モルドは涙を拭きながら続けた。


「じゃあ聞こう」


身を乗り出す。


「俺が悪だったらどうする?」


レイは迷わなかった。


「あなたを殺す」


即答だった。


一瞬。


静寂。


そして。


「ぶっ!!」


モルドが吹き出す。


「はっはっはっはっは!!」


また笑い出した。


「お前!!」


指を差す。


「俺の能力知ってるんだろ!?」


「えぇ」


レイは頷く。


モルドはさらに笑う。


「『無傷』の俺を殺すって!?」


涙が出るほど笑っていた。


だが。


レイは笑わない。


ただ。


真っ直ぐ見ている。


その視線を見て。


モルドの笑いが止まった。


そして。


口元を吊り上げる。


「気に入った」


レイが眉をひそめる。


「真顔でそんなことを言える奴は初めてだ」


モルドは立ち上がる。


そして。


窓際まで歩いた。


「良いだろう」


振り返る。


「俺を評価しろ」


レイが驚く。


「評価?」


モルドは頷いた。


「ただし」


「俺が正義だった場合」


嫌な予感がした。


そして。


それは当たる。


「お前は俺の妻になれ」


「なっ!?」


レイが動揺する。


モルドは楽しそうだった。


「お前は面白い」


両手を広げる。


「あの根暗な第7位の妹でありながら」


「奇想天外だ」


「俺の妻として相応しい」


レイは顔をしかめる。


「断ったら?」


モルドは即答した。


「お前が思う最悪なことをしよう」


レイの背筋が凍る。


脅し。


だが。


冗談ではない。


この男は本気だ。


モルドは満足そうに笑う。


「それじゃあ」


窓の外を見る。


「楽しませてもらおう」


こうして。


奇妙な約束だけを残し。


その日は終わった。











翌朝。


「全員起きて整列しなさい!」


シルヴィアの声が響く。


女たちが慌てて並ぶ。


レイも列へ加わった。


シルヴィアが周囲を見る。


「モルド様がお見えになるわ」


空気が張り詰める。


だが。


以前とは違った。


女達は。


期待。


欲望。


選ばれたい。


認められたい。


そんな感情だった。


そして。


カツ。


カツ。


足音が響く。


モルドが現れた。


シルヴィアが一歩前へ出る。


「モルド様」


頭を下げる。


「いかがされましたか?」


だが。


モルドは答えない。


真っ直ぐ歩く。


そして。


レイの前で止まった。


全員が固まる。


モルドが言う。


「この女は」


レイを指差す。


「今日からランク0だ」


ざわっ。


部屋中が騒然となる。


「ランク……0?」


レイは首を傾げる。


聞いたことがない。


モルドは説明する。


「そうだ」


当然のように言う。


「ランク0は一切の業務をしなくていい」


周囲が騒ぐ。


「この監獄を自由に歩いていい」


さらにざわめく。


そして。


最後に言った。


「外出も自由だ」


全員が絶句した。


シルヴィアが顔色を変える。


「どういうことですか!?」


思わず前へ出る。


「モルド様!!」


だが。


モルドはゆっくりと視線を向ける。


鋭い目。


「おい」


低い声。


「文句でもあるのか?」


シルヴィアの身体が震える。


数秒。


そして。


頭を下げた。


「……いえ」


唇を噛む。


「失礼いたしました」


モルドは興味を失ったように視線を外す。


そして。


手を振った。


「それじゃあな」


そのまま去っていく。


静寂。


レイは立ち尽くしていた。


ランク0。


自由。


監獄を歩ける。


外にも出られる。


能力ランキング第9位。


モルド。


正義か。


悪か。


見極めろということか。


レイは考えていた。


だから。


気付かなかった。


背後から向けられる視線。


シルヴィアの視線に。


その目は。


嫉妬。


憎悪。


そして殺意に。


染まっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ