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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第69話 第9位との対面

レイは部屋へ案内された。


小さな部屋だった。


ベッドが二つ。


机が一つ。


窓には鉄格子。


レイが部屋を見回していると。


「あなた……」


後ろから声がした。


振り返る。


二十歳くらいの赤い髪の女性だった。


「さっき質問してた人?」


レイは頷く。


女性は少し笑った。


「すごいね」


「私は震えてるだけだったのに」


レイは肩をすくめる。


「別にすごくないわ」


女性は手を差し出した。


「私、アン」


「よろしくね」


レイも手を握る。


「……よろしく」


短い挨拶だった。











それから数日。


レイたちは働かされた。


掃除。


洗濯。


食事の準備。


雑用ばかり。


モルドを見ることはない。


男たちを見ることもない。


ただ働く。


それだけだった。


これがランク6の生活。


レイはそう理解する。


だが。


ある日。


女たちが急に騒がしくなった。


走り回る。


慌てる。


空気が変わる。


アンが首を傾げる。


「何があったんだろう」


その時。


ランク1の女が現れる。


「みんな!」


鋭い声。


「整列して!」


全員が慌てて並ぶ。


そして。


「モルド様がお見えになるわ!」


レイの目が見開く。


モルド。


能力ランキング第9位。


能力『無傷』


ついに会える。


レイは背筋を伸ばした。


緊張が走る。


静寂。


カツ。


カツ。


足音が近付く。


女たちが息を呑む。


そして。


姿を現した。


レイは固まる。


あれ……?


普通だった。


本当に。


どこにでもいそうな青年。


特別大きいわけでもない。


特別怖いわけでもない。


周囲の女たちも少しだけ力が抜ける。


モルドは周囲を見る。


そして言った。


「新しい女はどれだ?」


ランク1の女が答える。


「こちらです」


モルドが歩いてくる。


レイたちの前へ。


一人ずつ見る。


品定めするように。


「そうかそうか」


軽い口調だった。


そして。


レイの前で止まる。


レイの心臓が跳ねる。


モルドがじっと見る。


「お前……」


レイの額に汗が浮かぶ。


狙いがばれたのか。


能力者だと気付いたのか。


だが。


モルドは首を傾げた。


「まぁいいか」


それだけだった。


そして。


そのまま歩き去る。


去り際。


振り返りもせず言った。


「どうか」


「良い子でいてくれ」


優しい声だった。


それだけ残して。


モルドは去っていく。


レイは呆然と立っていた。


正直。


第9位には見えなかった。











マッドは毎日牢屋で過ごしていた。


特に何かをさせられるわけではない。


食事。


睡眠。


それだけ。


だから。


マッドは筋トレを続けていた。


腕立て伏せ。


腹筋。


スクワット。


少しでも強くなるために。


だが。


一つだけ。


恐ろしい時間があった。


定期時間外に。


兵士が来る時だ。


カツ。


カツ。


足音。


その瞬間。


囚人たちの顔色が変わる。


皆震える。


奥で足音が止まった。


兵士が言う。


「おい」


牢屋を見回す。


「今日はお前たちだ」


鉄格子が開く。


ガチャン。


すると。


一人の囚人が叫ぶ。


「やめてくれぇぇぇ!!」


必死だった。


だが。


兵士は不思議そうな顔をする。


「何故拒否をする?」


囚人たちが震える。


兵士は続ける。


「モルド様は」


「逃がすチャンスを与えてくださるのだぞ?」


嘘ではない。


モルドは逃亡の機会を与える。


だが。


誰一人逃げられない。


逃げ切る前に死ぬ。


それが現実だった。


それが。


この監獄のルールだった。


だが。


一人の囚人が飛び出した。


「ふざけんじゃねぇ!!」


全力で走る。


その瞬間。


シュッ。


何かが飛んだ。


「が……」


囚人の頭にナイフが突き刺さる。


そのまま倒れた。


沈黙。


兵士たちが慌てる。


「モルド様!!」


マッドは思わず鉄格子へ近付いた。


隙間から覗く。


そこにいた。


先ほどレイが見た男。


普通の青年。


モルドだった。


モルドは死体を見る。


そして。


少しだけ笑った。


「ちょうどよかった」


兵士たちが黙る。


モルドは言う。


「動く的を当てたかったんだ」


続けて兵に言う。


「今日はもういい」


「また暇になったら連れてこい」


兵士たちが頭を下げる。


「ははっ!」


モルドはそのまま去っていく。


マッドの背筋が冷える。


圧倒的な威圧感はない。


ネメシスのような恐怖もない。


アストラのような異質さもない。


だが。


確信した。


こいつは危険だ。


能力ランキング第9位。


モルド。


マッドは静かに待つ。


レイが動く時を。


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