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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第68話 監獄

中へ入る。


錆びた鉄の通路。


高い天井。


重苦しい空気。


ガタガタ。


荷車の揺れる音だけが響いていた。


その時だった。


「ご苦労様」


一人の女が現れる。


綺麗な服。


派手な化粧。


手には大きい宝石が付いた指輪が六個。


まるで貴族のような見た目だった。


女は荷車を見る。


そして言う。


「女はこちらへ」


「囚人は奥へ」


兵士たちが動く。


レイはマッドを見る。


マッドもレイを見る。


言葉はない。


だが。


マッドは小さく頷いた。


覚悟を決めた目だった。


レイも頷き返す。


そして。


二人は別れた。











レイは長い廊下を歩かされる。


やがて。


一つの大部屋へ案内された。


中には多くの女性たち。


皆。


暗い顔をしている。


すると。


先ほどの女が前へ出る。


「あなたたちはこれから」


「モルド様へ全てを捧げてもらうわ」


女たちがざわつく。


不安の声。


すすり泣き。


その瞬間。


女がナイフを取り出した。


そして。


一番騒いでいた女の首を刺す。


「ひっ……!」


悲鳴。


血が流れる。


全員が凍りつく。


女は真顔で言う。


「黙って聞きなさい」


誰も声を出せない。


女は続ける。


「モルド様の気分を害せば」


「その場で死ぬことになる」


静寂。


「逆に」


「気に入られれば」


自分の両手の指を見せる。


そこには指輪。


紫。


青。


赤。


黄。


白。


黒。


六色の宝石が埋め込まれていた。


どれも高級品だった。


女は誇らしげに言う。


「私のように権限を与えられます」


そして。


指輪を掲げる。


「ランクは六段階」


「あなたたちはランク6からスタートよ!」


ランク。


その言葉に。


レイは眉をひそめる。


ここでも。


ランキング。


順位。


世界のどこへ行っても。


同じだった。


女は続ける。


「ランク1を目指しなさい」


その時。


レイが手を挙げた。


周囲が驚く。


この空気で質問するのか。


そんな目だった。


女も少し驚いた。


だが。


興味深そうに笑う。


「なにかしら?」


レイは聞く。


「ランク1になれば」


「外へ出られるの?」


数秒の沈黙。


そして。


女は楽しそうに笑った。


「あなた」


「良いわねぇ」


レイを見る。


「でも残念」


笑顔のまま言う。


「ランク1になっても出られないわ」


レイの表情が変わる。


女は振り返る。


「頑張ってね」


そう言って去っていった。


部屋には沈黙だけが残る。


ランク1でも出られない。


つまり。


ここへ来た女は。


二度と外へ戻れない。


レイは静かに拳を握った。











マッドは荷車の中で揺られていた。


怖くないわけじゃない。


だが。


周囲の屈強な男たちを見ても。


以前ほど恐怖を感じない。


当然だった。


この男たちは。


所詮見た目だけだ。


自分は本物と会った。


ギル。


クロエ。


ライゼン。


ネメシス。


アストラ。


本当の怪物を知っている。


だから。


少しだけ分かった。


自分は強くなっている。


精神的に。


そう思えた。


その時。


「降りろ!!」


兵士が怒鳴る。


囚人たちは次々と降ろされる。


マッドも続いた。


そこにあったのは。


巨大な牢獄。


鉄格子。


薄暗い通路。


異臭。


衛生管理などされていない。


汚かった。


兵士が言う。


「お前たちはこれから」


「この監獄で生きる」


兵士たちが笑う。


「そして」


「モルド様の気分で死ぬ」


「それだけだ」


囚人たちの顔色が変わる。


あまりにも理不尽な言葉。


つまり。


人権はない。


生死すら。


モルド次第。


その瞬間だった。


「いやだああああああ!!」


奥から悲鳴が響く。


マッドが振り向く。


誰かが叫んでいる。


だが。


兵士たちは誰も反応しない。


囚人たちも俯いたまま。


まるで。


当たり前のことのように。


悲鳴はしばらく続き。


そして。


突然止まった。


監獄には。


再び静寂だけが残った。


マッドは拳を握る。


この場所は。


想像以上に異常だった。


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