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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第66話 獄長

レイたちは地図を頼りに進んでいた。


目指す先は。


能力ランキング第9位。


モルド。


目的地へ辿り着く前に。


一つの村へ到着した。


そこで一晩休むことにした。


村は暗かった。


活気がない。


人はいる。


だが。


誰も笑っていない。


重い空気が漂っていた。


レイは近くを歩いていた老婆へ声をかける。


「すみません」


老婆が振り向く。


「第9位の国はこの近くにありますか?」


すると。


老婆は不思議そうな顔をした。


「国?」


レイが頷く。


だが。


老婆は首を振った。


「モルド様は国なんて持っとらんよ」


レイたちが顔を見合わせる。


違うのか。


老婆は続けた。


「モルド様は獄長じゃ」


「獄長?」


マッドが聞き返す。


老婆が頷く。


「そうさ」


「重罪人管理を一任されておるお方じゃ」


「この村はその輸送の中継地点」


「罪人を運ぶための村なんじゃよ」


レイは考える。


獄長。


重罪人管理。


少なくとも。


聞こえは悪くない。











宿へ戻る。


レイたちはテーブルを囲んでいた。


マッドが口を開く。


「重罪人を管理しているなら」


少し考える。


「そこまで悪い人じゃないようにも思えますね」


たしかに。


平和を守る側なのかもしれない。


だが。


レイは首を振る。


「アストラは私たちが迷うような相手を」


「狙わせない」


ミントも頷く。


フォーサが腕を組む。


「何か裏がありそう」


レイが立ち上がる。


「情報を集めましょう」


全員が頷いた。











その日の夜。


レイは酒場へ来ていた。


騒がしい。


酒の匂い。


怒鳴り声。


笑い声。


様々な人間がいる。


レイは周囲を見回す。


そして。


一人の荒くれ男を見つけた。


かなり酒を飲んでいる。


レイは隣へ座った。


男が見る。


「ん?」


レイは笑顔を作る。


「一杯おごるから」


コインを置く。


「少し話を聞かせてもらえない?」


男は酒を受け取る。


そして。


レイを見た。


「お嬢ちゃん」


ニヤリと笑う。


「黄色の髪、似合ってるぜ」


どうやら話す気になったらしい。


レイは本題へ入る。


「第9位のモルド様って」


「重罪人を管理してる立派な人なんでしょ?」


男の目付きが変わる。


鋭い。


少し疑われた。


だが。


レイは続ける。


「私ね」


頬を赤らめたふりをする。


「すごく憧れてるの」


男が眉を上げる。


「ぜひモルド様におめかけしてもらいたいの」


「方法を教えてほしいわ」


しばらく沈黙。


そして。


男は大きなため息を吐いた。


「やめとけ」


低い声だった。


レイが聞く。


「なぜ?」


男は酒を飲む。


そして。


周囲を確認した。


誰も聞いていない。


そう確認してから口を開く。


「モルド様はな」


「表向きは立派な獄長だ」


レイは黙って聞く。


「だが」


男の表情が曇る。


「重罪人を人間と思っちゃいねぇ」


空気が変わる。


「噂で聞いたが」


「あらゆる方法で罪人をいたぶるらしい」


レイの顔が強張る。


男は続けた。


「しかも」


さらに声を落とす。


「定期的に周辺の国から女を連れていかせてる」


レイの目が細くなる。


「連れていかれた女は」


男が酒を置く。


「誰一人帰ってこねぇ」


静寂。


レイは理解する。


これが。


モルドの裏の顔か。


レイが聞こうとする。


「つまりモルド様は……」


だが。


男は首を振った。


「悪いな」


空になった酒瓶を見せる。


「これ以上はなしだ」


それだけ言って。


男は去っていった。










宿へ戻る。


レイは全員へ話した。


マッドが険しい顔をする。


フォーサも黙る。


ミントが聞いた。


「どうする?」


レイは少し考える。


そして答えた。


「ネメシスみたいに」


「罪をでっちあげるようなことはしていない」


三人が見る。


「でも」


レイは続ける。


「女性を好き勝手に扱っている」


「重罪人の命も弄んでいる」


「少なくとも」


「私には許せない」


レイは立ち上がる。


決意した顔だった。


「まずは自分の目で確かめる」


「潜入しましょう」


三人が頷く。


そして。


フォーサが小さく言った。


「どうやって?」


レイは少し考える。


そして。


酒場で聞いた話を思い出した。


定期的に連れていかれる女。


おめかけ。


その瞬間。


全員がレイを見る。


レイも気付く。


方法は一つだった。


能力ランキング第9位。


モルド。


ノーランクは。


ついにその男へ近付こうとしていた。


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