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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第63話 依頼

レイは俯いていた。


拳を強く握る。


何も言えない。


反論できない。


自分の正義が揺らいでいることを。


自分自身が一番理解していた。


その時だった。


「さーて☆」


アストラが明るく笑う。


「レイちゃんをあんまりいじめちゃダメだよー!」


クロエの頭をぐしゃぐしゃ撫でる。


「ちょっ!」


「やめてよアス姉!!」


クロエが慌てる。


レイたちは固まった。


「アス姉?」


マッドが呟く。


レイが思わず聞く。


「二人って……」


「姉妹なの?」


クロエがため息をつく。


「そうよ」


「私が妹」


親指でアストラを指す。


「こっちが姉」


全員がアストラを見る。


似ていない。


全く似ていない。


フォーサがぽつりと呟く。


「似てない……」


「よく言われるー☆」


アストラが笑った。


クロエはレイを見る。


少しだけ優しい目だった。


「だから」


「あなたの気持ちは分からなくもない」


レイが顔を上げる。


クロエは続けた。


「でもね」


「さっきも言ったけど」


「例外を作るほど正義は薄っぺらくなる」


静かな声。


だが重かった。


「現に」


「あなたは兄を殺すと言えなかった」


レイが唇を噛む。


クロエは三人を見る。


「その三人も」


「少なからず不信感を持ってるでしょ?」


レイも振り返る。


マッド。


フォーサ。


ミント。


三人とも何か言いたそうだった。


でも言えない。


そんな顔だった。


レイは目を伏せる。


胸が痛かった。


その時。


ペーパーの顔が浮かぶ。


去っていった仲間。


きっと。


あの時も。


こんな気持ちだったのかもしれない。


「まーレイちゃんはー」


アストラが笑う。


「もう少し色々頑張らないとねー☆」


レイは何も言い返せなかった。


完敗だった。


自分の正義が。


自分の覚悟が。


全く足りていなかった。


痛感する。


しばらく沈黙が流れた。


そして。


アストラが手を叩く。


パン。


「それはおいおい考えるとしてー!」


一気に空気が変わる。


「そろそろ本題いってみよー!!☆」


全員がアストラを見る。


アストラは椅子の上で立ち上がった。


「ディバイドはですねー」


「そろそろ動きづらくなってきましたー」


しょんぼりした顔。


だが演技なのは誰でも分かった。


「大合戦で仲間いっぱい死んじゃってー」


指を折る。


「最上位に目もつけられてー」


さらに折る。


「今めちゃくちゃ大変でーす」


全然困っているように見えない。


クロエが呆れた顔をする。


すると。


アストラが突然笑顔になる。


「そ・こ・で!!」


ビシッ。


レイを指差した。


「あなたたちの出番でーす!!」


レイが目を見開く。


「え?」


アストラは満面の笑み。


「ディバイドの代わりにランキング者を殺してくださーい☆」


沈黙。


数秒。


誰も理解できなかった。


「待って!!」


レイが立ち上がる。


「今対立したばかりじゃない!!」


アストラが首を傾げる。


「対立ー?」


そして手を振る。


「違う違う!!」


ケラケラ笑う。


「思想は違ってもー」


「ランキング者を殺す部分は一致してるよー☆」


レイが言葉を失う。


確かに。


完全には否定できない。


「やってほしいことは簡単!」


指を一本立てる。


「新しいグループを名乗ってー」


「第9位を殺してー☆」


その言葉に。


全員が固まる。


「第9位……?」


マッドが呟く。


レイは背筋が冷たくなる。


ここまで来て理解した。


アストラがイザベルの国へ来た理由。


最初から。


第13位を殺すためじゃない。


レイたちを誘うため。


利用するため。


そのためだけに来た。


レイはアストラを見る。


能力ランキング第4位。


ディバイドのリーダー。


圧倒的な強者。


だが。


本当に恐ろしいのは。


その力じゃない。


思考だ。


考え方だ。


世界の見方だ。


自分とは。


あまりにも違いすぎた。

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