表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/185

第59話 仲間との別れ

レイとアストラは一晩待った。


そして朝。


アストラが三人へ触れる。


その瞬間。


「っ……!」


マッドが頭を押さえる。


フォーサも膝をついた。


そして。


ペーパーも目を閉じる。


失われていた記憶。


曖昧になっていた感情。


全てが戻ってくる。


「はぁ……」


「はぁ……」


三人とも荒い息を吐く。


レイは静かに見ていた。


やがて。


三人が顔を上げる。


レイは昨日の出来事を説明した。


精神侵食。


イザベル。


ミント。


アストラ。


全て。


話し終えた後。


マッドが呆然と呟く。


「まさか……」


「そんな能力に精神をやられてるとは……」


フォーサも信じられない顔をしている。


「全然気付かなかった……」


二人とも震えていた。


だが。


ペーパーだけは黙っていた。


何も言わない。


ただ俯いている。


その時だった。


ガチャ。


扉が開く。


全員が振り向く。


そこには屈強な男が立っていた。


そして。


肩には。


ぐったりしたミント。


男は無言でミントを床へ寝かせる。


そして口を開いた。


「イザベル様からの伝言だ」


全員が聞く。


「ミントは精神が疲弊しているだけだ」


「一晩で目を覚ますだろう」


レイたちが安堵する。


そして。


最後に言った。


「だから」


「明日出ていくように」


それだけだった。


男は振り返る。


そして去っていった。


静寂。


レイはミントを見つめる。


眠っているだけだ。


生きている。


助かった。


レイは皆を見る。


「というわけで」


深呼吸する。


「この国を出るわ」


そして。


アストラを見る。


「アストラのお願いを聞く」


アストラは照れていた。


「えへへー☆」


その時だった。


ペーパーが口を開く。


「なぁ」


全員が見る。


ペーパーは窓の外を見ていた。


「本当にこの国を出るのか?」


レイたちが驚く。


ペーパーは続けた。


「確かに第13位の能力は恐ろしい」


誰も否定しない。


「でもな」


外を見る。


笑顔の人々。


平和な街。


「この国が平和なのは事実だろ?」


静かな声だった。


「それに」


「ミレアを見てみろ」


レイが黙る。


「あいつは本当に深い傷を負ってた」


「家族を失った」


「絶望してた」


そして。


「今は笑ってる」


ペーパーは言う。


「あいつは救われたんだ」


「俺はそれを見た」


静寂。


ペーパーは拳を握る。


「俺たちも」


「幸せに暮らしていいんじゃないか?」


レイたちは言葉を失う。


ペーパーは精神侵食にやられているわけではない。


全部知った上で。


それでも言っている。


マッドが立ち上がる。


「どうしたんですか!?」


珍しく声を荒げる。


「あなたは!」


「自分みたいな人をこれ以上作らないって!」


「そう決意したから、僕たちと一緒にいるんじゃないんですか!?」


ペーパーは頷く。


「あぁ」


「そうだ」


そして。


叫んだ。


「でもな!」


全員が固まる。


「もう充分じゃねぇか!!」


ペーパーの声が響く。


「なぁレイ!」


レイを見る。


「俺たちはもう踏み込んじゃいけねぇ気がするんだ!」


「第6位を見ただろ!!」


ネメシス。


あの怪物。


ペーパーはアストラを指差す。


「こいつもそうだ!!」


アストラがにこにこしている。


「次元が違うんだ!!」


ペーパーの拳が震える。


「誰かがきっと世界を変えてくれる!!」


「俺たちはここでそれを信じて待とう!!」


沈黙。


誰も答えられない。


その時だった。


「そんな未来は」


「待ってても絶対来ない」


低い声。


全員が凍る。


アストラだった。


笑っていない。


圧倒的な威圧。


マッドも。


フォーサも。


レイも動けない。


アストラは静かに言う。


「だからディバイドを作った」


重い言葉だった。


だが。


次の瞬間。


いつもの笑顔へ戻る。


「レイちゃん!」


手を挙げる。


「こんな腰抜けはこの国に置いていきなー?☆」


レイが目を見開く。


「な……」


言葉が出ない。


マッドも。


フォーサも。


何も言えない。


ペーパーは三人を見る。


そして悟る。


「そうだな……」


小さく笑う。


「俺はここまでだ」


そして。


少しだけ寂しそうだった。


「レイ」


「お前は立派だ」


レイの瞳が揺れる。


「どうかそのままでいてくれ」


そして。


マッドを見る。


「強くなったな、マッド」


マッドがペーパーを見つめる。


フォーサを見る。


「お父さんとマリンを救えなくて悪かった」


フォーサも唇を噛む。


その時。


アストラがレイピアを抜いた。


「じゃあレイちゃんの仲間じゃなくなったからー」


笑顔。


「死んでもらいまーす☆」


ペーパーが固まる。


「は?」


レイが慌てる。


「なんで!?」


アストラが当然のように答えた。


「だってー」


「ランキング者じゃん!!」


ペーパーが呆然とする。


だが。


レイが前へ出た。


「待って!!」


アストラが止まる。


「ペーパーは一時離脱するだけ!」


レイは必死だった。


「まだ仲間だから!」


それが。


今できる唯一の優しさだった。


アストラは少し考える。


そして。


武器をしまった。


「あらー」


「それは仕方ないなー」


「お願い聞いてもらいたいしー☆」


ペーパーは少しだけ笑う。


「恩に着る」


荷物を持つ。


扉へ向かう。


そして。


振り返らないまま言った。


「今までありがとう」


扉が閉まる。


静寂。


レイは動けなかった。


遠ざかる足音。


少しずつ。


少しずつ小さくなる。


レイは俯く。


胸が痛い。


仲間だった。


ずっと一緒に戦った。


笑った。


怒った。


助けられた。


その仲間が。


去っていった。


初めてだった。


仲間を失うのは。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
まさかペーパーが、、、
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ