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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第56話 安住の裏

翌日。


レイたちはミレアに案内されながら街を歩いていた。


今日も変わらない。


平和な光景。


笑顔の人々。


走り回る子供たち。


穏やかな空気。


まるで別世界だった。


その時。


ミントが突然口を開く。


「第13位の能力は何なの?」


全員が少し驚く。


ミレアはすぐに答えた。


「イザベル様の能力は『精神回復』です」


レイたちが顔を見合わせる。


珍しい能力だ。


ペーパーが納得したように頷く。


「なるほどな」


ミレアを見る。


「それでお前の精神も回復したんだな」


ミレアは嬉しそうに笑う。


「はい」


「イザベル様には本当に感謝しています」


そして。


少し誇らしそうに言う。


「イザベル様は本当に優しい方なんです」


「皆さんにも会っていただきたいです」


レイたちも自然と笑顔になっていた。


本当に。


良い人なのかもしれない。


そう思ってしまうほどだった。


その時。


ミレアが別の住民に呼ばれる。


少し離れた。


すると。


ミントがレイへ近付く。


「レイ」


小さな声。


「どうしたの?」


レイが振り向く。


そして。


口を開く。


「この国……少し変だと思わない?」


レイがきょとんとする。


「変?」


ミントは周囲を見る。


笑顔の人々。


争いのない街。


誰もが幸せそうだった。


だからこそ。


違和感がある。


「うまく言えないけど」


「みんな幸せすぎる気がするの」


レイは少し考える。


そして。


笑った。


「ミント、考えすぎじゃない?」


ミントの表情が固まる。


レイは続ける。


「私は良い国だと思う」


「もちろん第13位だから警戒はしてるけど」


「少なくとも今まで見た国の中で一番平和よ」


ミントは何か言おうとした。


だが。


言葉が出ない。


「そう……」


小さく呟く。


レイが首を傾げる。


「ミント?」


「ううん」


無理やり笑う。


「何でもない」


だが。


ミントは確信していた。


もう。


みんな影響を受け始めている。


その時だった。


「よう、ミレア!」


男の声が響く。


全員が振り向く。


一人の男性が笑いながら近付いてきた。


そして。


ペーパーを見る。


「その人がいつも話してた命の恩人か?」


ミレアが真っ赤になる。


「ちょっと!!」


「あんた何言ってるのよ!!」


男はニヤニヤする。


「ちゃんと責任取れよー?」


ミレアが怒る。


「もう!!」


「いい加減にして!!」


顔が真っ赤だった。


ペーパーは頭を掻く。


「責任?」


「どういうことだ?」


フォーサが呆れた顔をする。


そして。


ペーパーの足を蹴った。


「いてっ!!」


「ペーパーの鈍感」


フォーサが言う。


周囲が笑う。


ミレアは顔を隠す。


マッドも笑う。


レイも笑った。


幸せだった。


こんな日々が続けばいい。


自然とそう思ってしまう。


ただ一人。


ミントだけを除いて。











宿へ戻る。


夜。


レイとフォーサは風呂へ入っていた。


湯気が立ち上る。


静かな時間だった。


その時。


フォーサが口を開く。


「ねぇ、レイ」


「どうしたの?」


フォーサは少し恥ずかしそうに言う。


「私」


少し俯く。


「この国に住みたい」


レイが驚く。


フォーサは続けた。


「私、お父さんを失った」


「マリンも失った」


悲しそうな目。


だが。


すぐに笑う。


「でも」


「レイたちに会えた」


「今はすっごく幸せ」


レイは黙って聞いていた。


「マッドの言葉」


「すごく心に残ったの」


新しい家族。


もう失いたくない。


その言葉。


レイの胸にも刺さっていた。


そうか。


私だけじゃない。


みんな同じなんだ。


目の前の幸せを。


掴みたいんだ。


レイは小さく笑う。


そして。


フォーサを見る。


「みんなでここで暮らそうか」


フォーサの顔が輝いた。


「うん!!」


嬉しそうな声だった。











深夜。


誰もいない場所。


ミントは一人うずくまっていた。


「うっ……」


口元を押さえる。


「まずい……」


ミントは自分自身へ能力をかける。


精神を保つ。


それだけで精一杯だった。


レイ。


マッド。


フォーサ。


ペーパー。


皆。


少しずつ侵されている。


もう遅いかもしれない。


それでも。


諦めるわけにはいかなかった。


早く。


この国から出なければ。


その時だった。


「おぬしか」


「耐えておる人間は」


突然声が響く。


ミントが振り向く。


そこには。


一人の老婆が立っていた。


杖を突いている。


その後ろには。


屈強な男たち。


ミントの背筋が凍る。


老婆は細い目でミントを見る。


ミントが後退る。


だが。


遅かった。


老婆が杖を鳴らす。


「捕らえよ」


男たちが動く。


ミントは動けない。


捕まる。


そして。


闇の中へ。


ミントの姿が消えていく。


誰にも。


気付かれぬまま。


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