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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第55話 安らぎ

ミレアと共に宿屋へ向かった。


案内された部屋は広かった。


五人で泊まっても十分な広さがある。


レイたちは椅子へ座る。


そして。


ミレアへ視線を向けた。


レイが口を開く。


「単刀直入に聞くけど」


真っ直ぐミレアを見る。


「この国には何位がいるの?」


空気が少し張り詰める。


ミレアは驚かなかった。


むしろ当然の質問だと言わんばかりに頷く。


そして答えた。


「この国にはお一人だけです」


少し誇らしそうに微笑む。


「能力ランキング第13位」


「イザベル様です」


「第13位!?」


マッドが思わず立ち上がる。


レイたちの表情も固まる。


第13位。


あのライゼンよりも上。


最上位ではない。


だが。


十分すぎるほどの怪物だった。


だが。


ミレアは不思議そうな顔をした。


「安心してください」


穏やかな声。


「イザベル様はこの国を守ってくださっています」


「国民はみんな平和です」


レイたちは思い出す。


笑う人々。


走る子供たち。


談笑する老人たち。


誰も怯えていなかった。


誰も武器を持っていなかった。


たしかに。


平和だった。


レイは少しだけ肩の力を抜く。


第13位。


もしかしたら。


良い人なのかもしれない。


そう思った。


ペーパーが頷く。


「たしかに平和だな」


窓の外を見る。


「俺たちもなんだか心が穏やかになった気分だ」


フォーサも手を挙げる。


「私も!」


嬉しそうだった。


「久しぶりに平和にいる気がする!!」


マッドも笑う。


レイも少し笑った。


不思議だった。


最上位会議を見てからずっと張り詰めていた心が。


軽くなった気がした。


その日は。


久しぶりに安心して眠った。











翌日。


ミレアに案内されながら国を歩く。


相変わらず。


平和だった。


争いがない。


怒鳴り声もない。


喧嘩もない。


人々は笑顔だった。


どこを見ても。


幸せそうだった。


レイは周囲を見ながら言う。


「ここにいると」


「外のことを忘れそうね」


マッドも頷く。


「分かります」


「なんだか落ち着きますね」


ミレアは嬉しそうだった。


そして。


静かに語り始める。


「私は」


空を見上げる。


「ペーパー様に助けていただいた後」


「この国の存在を知りました」


レイたちが耳を傾ける。


「家族を失って」


「生きる意味も分からなくなって」


「毎日苦しかったです」


少しだけ寂しそうに笑う。


「だから」


「救われるかもしれないと思って」


「この国へ来ました」


レイたちは黙って聞いていた。


ミレアは続ける。


「ここには」


「私と同じような人がたくさんいました」


家族を失った人。


国を失った人。


仲間を失った人。


傷ついた人たち。


たくさんいた。


ミレアは微笑む。


「みんな優しく迎えてくれたんです」


その笑顔に嘘はなかった。


ペーパーが頷く。


「そうか」


穏やかな顔だった。


「それは良かったな」


「本当に」


優しい声だった。











夕方。


宿へ戻る。


すると。


ミレアが少し真面目な顔になった。


「もしよろしければ」


全員を見る。


「皆さん」


「この国に住みませんか?」


全員が驚いた。


ミレアは続ける。


「私は」


「ペーパー様がいてくださると本当に嬉しいです」


「きっと皆さまも良い人です」


「だから」


「この国で平和に暮らしませんか?」


静寂。


レイは考える。


平和。


安全。


仲間。


ここには全てがある。


だが。


自分には目的がある。


最上位を倒す。


世界を変える。


そのために旅をしている。


でも。


ふと。


頭によぎる。


アストラ。


ネメシス。


空中都市。


あの怪物たち。


勝てるのだろうか。


本当に。


その時だった。


「僕は賛成です!!」


マッドが立ち上がる。


全員が見る。


マッドの表情は真剣だった。


「僕は家族を失いました」


「一人になりました」


少し俯く。


「でも今は違います」


顔を上げる。


「皆さんがいます」


レイを見る。


ペーパーを見る。


フォーサを見る。


ミントを見る。


「僕にとって」


「新しい家族です」


その声は震えていた。


「だから」


「もう失いたくない!!」


本心だった。


レイは何も言えない。


フォーサも黙る。


ペーパーも黙る。


皆。


同じことを考えていた。


ミレアが優しく微笑む。


「もちろん」


「今すぐ決めなくても大丈夫です」


「ゆっくり考えてください」


そう言って頭を下げる。


そして部屋を出ていった。


残された五人。


その夜。


それぞれが考えることになった。











深夜。


誰もいない場所。


ミントは一人うずくまっていた。


「うっ……」


口元を押さえる。


そして。


吐いた。


額には汗。


顔色も悪い。


呼吸も荒い。


だが。


体調が悪いわけではない。


ミントは回復能力者だった。


能力『軽度治癒』


その力は。


傷を癒やすだけではない。


心も癒やす。


精神にも作用する。


だからこそ。


ミントだけが気付いていた。


この国に入った瞬間から。


ずっと。


感じている。


とてつもない精神干渉。


まるで。


心そのものを書き換えられているような感覚。


「まずい……」


ミントが壁へ手をつく。


レイ。


マッド。


フォーサ。


ペーパー。


皆。


少しずつ影響を受けている。


このままでは。


おかしくなる。


ミントは必死に考える。


どうすればいい。


どうすれば仲間を守れる。


どうすればこの異常を止められる。


答えは見つからなかった。


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