第49話 第100位
最上位会議。
会議は終わろうとしていた。
その時だった。
ゴオォォォォォ。
不気味な音が響く。
モルドが顔を上げた。
「なんだ?」
天井を見る。
クロノも耳を傾ける。
「良くない音じゃのぉ」
相変わらずのんびりしている。
ネメシスが眉をひそめた。
「おいおい」
「近付いてきてないか?」
アストラも天井を見る。
「なんか明るくなってきたー」
全員の視線が上へ向く。
ただ一人。
ドルガンだけは動かない。
そして。
当たり前のように言った。
「巨大な火の玉が落ちてきてるな」
静かな声だった。
その言葉に。
ノクリアが立ち上がる。
「なんだと!?」
窓へ向かう。
空を見る。
そこには。
巨大な火球。
まるで太陽だった。
空を埋め尽くすほど巨大。
城一つ飲み込める規模。
第70位フレイムとは比較にもならない。
災害。
いや。
天災だった。
「至急避難を……」
ノクリアが叫ぼうとする。
だが。
誰も焦っていなかった。
クロノも。
ネメシスも。
モルドも。
アストラも。
動かない。
誰かが何とかする。
そう思っているわけではない。
そもそも。
脅威だと思っていなかった。
彼らにとって。
この程度は。
攻撃ですらなかった。
その時。
カイが立ち上がる。
静かに。
「俺がやろう」
全員が見る。
第7位。
カイが手を伸ばす。
「城を飲み込む火の玉なら」
「城を増やせばいい」
すると。
城の外側に城が生まれる。
巨大な石壁。
巨大な塔。
巨大な城門。
それらが一瞬で完成する。
そして。
その城を包み込むように。
さらに外側に城ができる。
もう一つ。
さらにもう一つ。
城が城を包む。
何重にも。
何重にも。
終わりなく。
巨大な城塞群が形成されていく。
そして。
空から火球が落下する。
ドゴォォォォォォォン!!
世界が揺れるような轟音。
衝撃。
熱。
爆炎。
だが。
会議室は。
ほとんど揺れなかった。
しばらくして。
音が消える。
静寂。
カイは座った。
何事もなかったかのように。
これが。
能力ランキング第7位。
カイ。
能力『城塞』
最高防御。
ノクリアが刀を取る。
「では」
静かに言う。
「私が襲撃者を始末しよう」
ドルガンが頷く。
「なら解散だな」
会議が終わる。
そして。
最後に。
ドルガンが資料へ目を向けた。
「その資料に」
「第100位も載せておけ」
それだけだった。
最上位会議は終了した。
◇
最上位会議会場の外。
タネは立ち尽くしていた。
能力ランキング第100位。
タネ。
能力『火種』
覚醒した男。
人生を賭けた一撃だった。
城を見る。
信じられない。
城。
城。
城。
城。
城。
数秒で。
何重もの城塞が形成された。
そして。
自分が作り出した巨大火球。
城を滅ぼせるほどの一撃。
それが。
防がれた。
完全に。
「なんだよ……」
タネは笑う。
乾いた笑いだった。
「城のミルフィーユってか……」
現実感がなかった。
その瞬間。
視界が反転した。
「ん?」
何が起きたのか分からない。
景色が回転する。
空。
地面。
空。
地面。
何度も入れ替わる。
そして。
自分の身体が見えた。
立ったまま。
首がない。
「あ……」
理解した。
首が落ちたのだ。
地面へ転がる。
血が噴き出す。
一人の女が刀を鞘へ納める。
ノクリアだった。
カチリ。
音が鳴る。
能力ランキング第8位。
ノクリア。
能力『超高速』
タネには。
見えなかった。
反応もできなかった。
第100位では。
姿すら捉えられない。
それが最上位だった。
タネの首は転がる。
そして。
動かなくなった。
能力ランキング第100位。
タネ。
能力『火種』
死亡。
ノクリアは死体を見る。
少し考える。
疑問が残っていた。
ドルガン。
能力ランキング第2位。
あの男は。
火球を見ることなく。
第100位だと断定した。
何故だ。
情報を知っていたのか。
それとも能力なのか。
ノクリアは小さく息を吐く。
最上位会議。
あの怪物たちは。
まだ誰も底が見えない。




