第41話 ギル
ギルは迫りくる光を見ていた。
大きな光線。
避けられない。
分かっていた。
それでも。
不思議と恐怖はなかった。
代わりに。
懐かしい景色が浮かぶ。
◇
まだ兵士だった頃。
戦争も少なく。
平和だった時代。
訓練場。
「ギル!」
呆れた声。
マリンだった。
能力ランキング第47位。
能力『深海王』
隣にはナギもいる。
能力ランキング第62位。
能力『水流操作』
「あなた、もう少し手加減できないの?」
マリンが言う。
ナギも頷いた。
「私達二人でやっと成り立つわよ」
ギルは笑う。
「ふん」
肩を回す。
「俺は第30位だから仕方ないだろ?」
二人が顔をしかめる。
ギルは大笑いした。
平和だった。
本当に。
平和な日々だった。
◇
そんなある日。
国に報告が入った。
近隣の国が一つ消滅した。
その国は。
能力ランキング第45位が治める国だった。
ギルは王城へ呼ばれる。
王アニマがいた。
能力ランキング95位。
能力『動物会話』
顔色が悪い。
震えている。
ギルは初めて見た。
王がここまで怯える姿を。
「ギル……」
アニマが言う。
「すまんが頼む」
ギルは首を傾げる。
「大丈夫ですよ王」
胸を叩く。
「俺が見てきます」
アニマは何も言わなかった。
ただ。
苦しそうだった。
◇
ギルは現地へ向かった。
そして。
絶句する。
人がいない。
誰もいない。
死体すらない。
建物だけが壊れている。
大地は抉られている。
まるで。
神でも暴れた後のようだった。
「なんだよ……」
思わず唾を飲む。
その時だった。
ゾクリ。
全身に寒気が走る。
本能が叫ぶ。
逃げろ。
逃げろ。
逃げろ。
「おやおや」
後ろから声がした。
老人。
長い髭。
だが。
背筋は真っ直ぐだった。
そこに立っているだけで。
世界が支配されているような錯覚。
ギルは息を呑む。
「なんだ……」
「なんだよその圧は」
老人は笑った。
「ふぉっふぉっふぉ」
穏やかな笑み。
「何者だ」
ギルが聞く。
老人は答える。
「わしはクロノじゃ」
ギルが固まる。
聞き間違いかと思った。
「は……?」
老人は笑う。
能力ランキング第3位。
クロノ。
能力『空中都市』
世界最強格。
「何の冗談だそりゃ……」
ギルの声が掠れる。
クロノは空を指差した。
「冗談ではないぞ」
ギルは空を見る。
そして。
凍り付いた。
都市。
空に。
巨大な都市が浮いていた。
雲の上。
それでも分かる。
圧倒的な大きさ。
国。
いや。
それ以上。
ギルの国など比較にならない。
「なんだよ……」
足が震える。
立っていられない。
クロノはギルを見る。
「おぬし」
「この国の者ではないな?」
ギルは頷く。
すると。
クロノは手を振った。
「ならば帰るがよい」
追い払うように。
まるで虫を払うように。
シッシッ。
その仕草。
その態度。
ギルの中で何かが切れた。
この俺が。
第30位の俺が。
こんな扱い?
拳を握る。
震える。
怒りか。
恐怖か。
もう分からない。
「ふざけんじゃねぇ!!」
叫ぶ。
その声は。
自分自身を奮い立たせるためだった。
震えを誤魔化すためだった。
「ぶっ殺してやる!!」
ギルは突っ込む。
能力ランキング第3位。
クロノへ。
◇
地面に転がる大男。
ギル。
負けた。
何一つ届かなかった。
圧倒的だった。
クロノは最後まで。
本気すら出さなかった。
◇
それからだった。
ギルが力を求め始めたのは。
強く。
もっと強く。
さらに強く。
あの老人を殺すために。
空中都市を破壊するために。
そして。
数年後。
アニマ王の娘フォーサの能力が開花した。
能力『強制覚醒』
その報告を聞いた時。
ギルは確信した。
これだ。
これがあれば。
届く。
第3位へ。
クロノへ。
もう負けない。
絶対に。
◇
光が迫る。
全てを消し飛ばす光。
ギルは静かに笑った。
結局。
届かなかった。
だが。
一つだけ。
分かったことがある。
ギルは呟く。
「ランキングなんて……」
血を吐く。
そして。
笑う。
「くそくらえだ」
光が身体を貫く。
能力ランキング第30位。
ギル。
能力『金属融合』
死亡。
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能力至上主義の国
15位 ライゼン 『雷神化』
25位 アクア 『海王化』
49位 ストーム 『槍』 死亡
59位 スエルテ 『無能力』
70位 フレイム 『火炎球』 死亡
81位 ミント 『軽度治癒』
88位 ペーパー 『紙変形』
96位 スパーク 『光電』 死亡
ディバイド陣営
19位 クロエ 『影喰い』
27位 ロア 『地殻操作』 死亡
36位 ファング 『獣王化』 死亡
37位 ミラー 『反射障壁』 死亡
67位 トレイル 『嗅覚追跡』 死亡
ギル陣営
30位 ギル 『金属融合』 死亡
62位 ナギ 『水流操作』 死亡
99位 ミスト 『湿度操作』




