表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/34

第四話 光線

右手が熱い。


まるで何かが溢れ出そうだった。


レイは震える手をブラッドへ向ける。


能力『光線』


右手から一ミリの光線を出すだけの能力。


そのはずだった。


だが。


今は違う。


手のひら全体が光に包まれていた。


力が湧いてくる。


止まらない。


「なんだ……?」


ブラッドが異変に気付く。


振り返ろうとする。


だが。


遅い。


光が放たれた。


一瞬だった。


手のひらほどの太さを持つ光線。


光速。


それは人間が反応できる速度ではない。


ブラッドの胸を貫いた。


「は……?」


ブラッドが自分の胸を見る。


心臓のあった場所に穴が開いていた。


血が溢れる。


「は……が……う……」


能力ランキング22位。


能力『黒炎』


この国で二番目の怪物。


その男は。


あっけなく倒れた。


動かない。


死んだ。


レイはしばらく立ち尽くしていた。


理解できなかった。


本当に。


死んだのか。


自分が。


殺したのか。


やがて震える声で呟く。


「お父さん……」


「お母さん……」


「やったよ」


仇は討った。


望んでいたことだ。


だが。


何も満たされなかった。


胸の穴は埋まらない。


両親は帰ってこない。


レイはその場に座り込んだ。


しばらく泣いた。


誰もいない夜道で。


ただ一人。











落ち着いた頃。


レイはブラッドの死体を見た。


どうする。


このままでは見つかる。


だが運ぶ力はない。


レイは考える。


そして。


右手を向けた。


光線が放たれる。


何度も。


何度も。


何度も。


ブラッドの体を撃ち抜く。


肉が消える。


骨が消える。


やがて何も残らなくなった。


灰すら残らなかった。


能力ランキング22位ブラッド。


その存在は完全に消えた。











後日。


レイは部屋に閉じこもっていた。


仇は討った。


だが。


人を殺した。


初めて。


頭から離れない。


眠っても。


目を閉じても。


ブラッドの死に顔が浮かぶ。


もう以前の自分には戻れない。


そんな気がした。


そこへ村長が飛び込んできた。


「レイ!!」


レイの心臓が跳ねる。


まさか。


バレたのか。


「能力ランキング22位が死んだらしい!」


レイの顔が青ざめる。


体が固まる。


バレれば確実に死刑だ。


村長は、そんなレイの様子に気付かない。


興奮したまま続ける。


「良かったなぁ!」


「お前の両親の仇を誰かが討ってくれたんだ!」


レイは息を吐く。


知られていない。


そう理解した。


同時に。


別の感情が湧き上がる。


ブラッドに家族を殺された人間は自分だけじゃない。


能力ランキング者に踏みにじられた人間は。


きっと数え切れないほどいる。


能力ランキング。


強者だけが守られる制度。


弱者が泣き寝入りする制度。


レイは拳を握る。


自分が変える。


変えてやる。


この世界を。


この能力『光線』で。











その夜。


レイは荷物をまとめた。


この国にいれば。


いつかブラッド殺害が発覚するかもしれない。


ならば行くしかない。


村を出る。


国を出る。


誰にも告げず。


誰にも見送られず。


能力ランキングを壊すために。


レイは静かに旅立った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ