第二十八話 紙の剣
ペーパーはランキング下位訓練場にいた。
目の前にはフレイム。
能力ランキング70位。
能力『火炎球』
相性は最悪だった。
「行くぞ!!」
フレイムが叫ぶ。
大量の火の玉が空へ放たれる。
次の瞬間。
雨のように降り注いだ。
「くっ!!」
ペーパーが飛び退く。
紙をばらまく。
手裏剣へ変形。
そして放つ。
だが。
シュゥゥゥ……
火に触れた瞬間。
燃え尽きる。
全く届かない。
「ちっ!!」
ペーパーはさらに紙を飛ばす。
槍。
刃。
様々な形へ変える。
しかし。
全て燃える。
相手に届く前に。
焼かれて終わる。
「ここまでにするか」
フレイムが言った。
ペーパーは肩で息をする。
完全敗北だった。
◇
休憩室。
ペーパーは椅子へ座る。
そして。
そのまま後ろへ倒れた。
「だめだぁ……」
「全然かなわねぇ……」
天井を見上げる。
フレイムが豪快に笑った。
「はっはっはっ!!」
「能力の相性が悪いから仕方ない!」
だが。
ペーパーは首を振る。
「能力のせいにしてらんねぇよ」
フレイムが黙る。
ペーパーは続けた。
「それじゃ水にも火にも勝てねぇじゃねぇか」
正論だった。
相性だけを理由にしていたら。
強くなれない。
そこへ。
一人の男が歩いてくる。
頭には奇妙な箱。
透明なプラスチックの箱だった。
「相変わらずだな」
男が言う。
ペーパーは顔を上げる。
「スパーク」
能力ランキング96位。
能力『光電』
周囲一帯へ電気を放出する能力。
威力だけなら上位クラス。
だが。
制御できない。
だから96位。
能力に振り回されている男だった。
「お前はいいよな」
ペーパーが言う。
「能力制御だけだろ?」
スパークが苦笑する。
「それができないから96位なんだよ」
事実だった。
フレイムも笑う。
「それにしても不思議な能力だな」
フレイムがペーパーを見る。
「紙を変形できるなら」
「もっと大きなものを作ればいいのに」
ペーパーは即答した。
「無茶言うな」
「でかい紙なんか持ち歩けねぇ」
「だから小さい紙で戦うしか……」
そこで。
言葉が止まる。
頭の中に。
一人の男が浮かんだ。
ギル。
能力ランキング30位。
能力『金属融合』
あの巨大な兵器。
あの巨人。
奴は。
大量の金属を合体させていた。
なら。
俺も。
できるんじゃないか?
ペーパーの目が変わる。
「おい」
フレイムを見る。
そして。
どや顔で言った。
「お前」
「次は俺に負けるかもな」
フレイムが笑う。
「ほう!!」
「面白い!!」
◇
再び訓練場。
ペーパーとフレイムが向かい合う。
「見せてやる!!」
ペーパーが叫ぶ。
「俺の新技を!!」
大量の紙を空へ放り投げた。
一枚。
二枚。
十枚。
二十枚。
数十枚の紙。
それぞれが形を変える。
刃。
柄。
装甲。
別々の形になる。
そして。
合体。
ガシャン!!
一つになる。
巨大な剣。
紙で作られた大剣だった。
フレイムが目を見開く。
「なるほど!!」
ペーパーが笑う。
「これなら一瞬で焼かれねぇ!!」
巨大な剣が飛ぶ。
一直線。
フレイムへ向かう。
「やるな!!」
フレイムも笑った。
次の瞬間。
火の玉が現れる。
一つ。
二つ。
三つ。
十。
二十。
三十。
大量。
そして。
全てが合体する。
巨大な火球。
ペーパーの剣を上回る大きさだった。
「なっ!?」
ペーパーが固まる。
ドォォォォン!!
巨大火球が紙の剣へ直撃する。
紙の剣は燃える。
焼かれる。
崩れる。
そして。
消えた。
完全敗北だった。
「そんな……」
ペーパーが膝をつく。
まさか。
相手も同じ発想をするなんて。
フレイムが歩いてくる。
そして。
ペーパーの肩を叩いた。
「落ち込むな!!」
大きな声だった。
ペーパーが顔を上げる。
「お前はその技に」
「もっといろんな可能性を試すべきだ!!」
フレイムが笑う。
「今のが記念すべき一つの成果だ!!!」
ペーパーは言葉を失った。
負けた。
だが。
確かに成長した。
それは間違いない。
ペーパーは立ち上がる。
まだだ。
まだ強くなれる。
レイだけに頼ってはいられない。
自分も。
強くならなければならない。
「もう一回だ!!」
ペーパーが叫ぶ。
フレイムが笑う。
「来い!!」
こうして。
ペーパーは何度も。
何度も。
フレイムと戦い続けた。




