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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第二十七話 可能性

レイは必死で避けていた。


雷が落ちる。


ドォォォン!!


地面が砕ける。


水弾が飛んでくる。


壁に大穴が開く。


死ぬ。


本当に死んでしまう。


訓練とは思えなかった。


「打つしかない!」


レイは覚悟を決める。


右手を構えた。


狙いはアクア。


巨大なイカの姿。


あれだけ大きければ当てやすい。


照準を合わせる。


だが。


「アクア!!」


ライゼンが叫んだ。


「それを受けたら死ぬぞ!!」


レイは目を見開く。


15位が。


そんなことを言うのか。


私の『光線』はそこまでの威力が……


アクアは笑った。


「えぇ」


「大丈夫よ」


次の瞬間。


巨大なイカの姿が消える。


身体が元に戻った。


そして。


大量の水流がアクアを包み込む。


高速で移動する。


右へ。


左へ。


上へ。


下へ。


まるで照準を付けさせない。


「くっ……!」


レイは追えない。


なんて器用な動きだ。


その時だった。


「相手は一人じゃないぞ!!」


ライゼンの声。


振り向く。


巨大な鬼。


雷を纏った拳。


目の前だった。


「あ……」


死んだ。


そう思った。


ガンッ!!


轟音が響く。


だが。


拳は止まっていた。


レイの目の前。


透明な壁がある。


ガラス。


ミラーだった。


両手を前へ突き出している。


「はぁ……」


「はぁ……」


苦しそうだった。


「私が守ります……」


震える声。


そして。


「あまり持ちませんよ……」


ガラスにひびが入る。


一本。


二本。


三本。


どんどん増える。


レイは急いで飛び退いた。


次の瞬間。


バリンッ!!


ガラスが粉々に砕け散る。


ライゼンの拳が地面を破壊した。


ドォォォォン!!


爆風が吹き荒れる。


レイは歯を食いしばる。


これが。


上位者たちの戦い。


私に何ができる。


照準を合わせるだけ?


違う。


もっとあるはずだ。


この能力には。


まだ見えていない可能性が。


レイは右手をライゼンへ向けた。


ライゼンが笑う。


「来い!!」


挑発だった。


レイは光線を放つ。


バシュッ!!


一筋の光。


だが。


ライゼンは避けた。


手の動きで読んでいた。


雷の速度。


そして。


レイは気付く。


光線が消えていない。


「……!」


今まで無意識に消していたんだ。


光線は一瞬で消えているわけじゃない。


レイは右手を動かす。


光線も動いた。


ライゼンを追う。


「何!?」


ライゼンの表情が変わる。


光線が迫る。


ライゼンは雷となって回避する。


「まずい……!!」


レイはさらに右手を動かす。


光線が追いかける。


まるで巨大な刃だった。


壁を切る。


柱を切る。


訓練場が崩れ始める。


ドガァァァン!!


建物の一部が崩壊した。


レイは息を呑む。


こんなことができるのか。


その時だった。


「すごいわね、あなた」


後ろから声。


アクア。


気付いた時には遅かった。


大量の水がレイを包み込む。


球体になる。


「かっ……!」


息ができない。


苦しい。


もがく。


暴れる。


だが。


水は壊れない。


視界が暗くなる。


意識が遠のく。


そして。


レイは失神した。











レイが目を覚ます。


柔らかい感触。


ベッドだった。


「ここは……?」


レイが身体を起こす。


すると。


「お目覚めかしら」


女性の声。


アクアだった。


豪華な部屋。


きらびやかな装飾。


大きな鏡。


大きなベッド。


どう見ても王族の部屋だ。


「ここは私の寝室よ」


アクアは鏡の前で髪をとかしていた。


レイは思い出す。


負けた。


完全に。


「悔しそうね」


アクアが笑う。


レイは俯いた。


「あなたすごいわよ」


「私があの技を使ったのは初めて」


褒められる。


だが。


嬉しくなかった。


勝てなかったから。


それでも。


一つだけ収穫があった。


光線。


あの時。


消えなかった。


維持できた。


動かせた。


追えた。


能力はまだ成長する。


まだ可能性がある。


レイはそう確信した。


そして。


改めて思う。


15位。


25位。


あまりにも強い。


別世界だった。


ふと疑問が浮かぶ。


「そういえば」


「なんで王が二人いるの?」


アクアが笑った。


「あぁ、その話?」


櫛を置く。


「私とライゼンは元々別の国の王だったの」


レイは驚く。


アクアは続けた。


「でもね」


「お互いの強さに惹かれたのよ」


「それで国を統合したの」


この国らしい話だった。


「だから今でも二人とも王を名乗ってるわ」


そうだったのか。


レイは納得する。


すると。


アクアが話題を変えた。


「あなたと歳の近い息子がいるのよ」


「えっ!?」


レイが驚く。


15位と25位の息子。


絶対強い。


そう思った。


だが。


アクアは苦笑する。


「残念だけど無能力よ」


「そうなの?」


レイも意外だった。


しかし。


アクアは続ける。


「でも59位」


「え!?」


レイが立ち上がる。


「能力ランキングって無能力でも入れるの!?」


てっきり能力者だけの世界だと思っていた。


アクアは頷く。


「昔はそうだったわ」


「でもね」


「無能力なのに強すぎる人が現れたの」


「だから今は無能力者もランキングに入るのよ」


レイは驚く。


無能力で59位。


どんな人なんだろう。


アクアは立ち上がった。


「さて」


嫌な予感がする。


「話は終わり」


予感が当たった。


「訓練に行くわよ」


「は!?」


レイが叫ぶ。


だが。


アクアは楽しそうだった。


休む暇などない。


こうして。


レイは再び地獄の訓練へ向かうのだった。


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