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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第二十九話 涙

マッドとフォーサは基礎訓練場にいた。


「うぅ……」


「もう限界です……」


マッドが地面へ倒れ込む。


汗だくだった。


息も切れている。


能力訓練ではない。


ひたすら走る。


走る。


また走る。


それが毎日続いていた。


理由は単純。


体力不足。


能力以前の問題だった。


「大丈夫?」


女性が駆け寄ってくる。


優しい声。


ピンク色の髪。


ペーパーより少し若そうな女性だった。


彼女はマッドへ手を当てる。


すると。


温かい光が身体を包んだ。


疲労が消えていく。


呼吸も楽になる。


「ありがとうございます」


マッドが頭を下げた。


「ミントさん」


女性は笑う。


能力ランキング81位。


能力『軽度治癒』


ミント。


この国では日々の訓練で負傷者が出る。


そのため。


彼女は非常に重要な存在だった。


ミントが立ち上がる。


そして。


マッドへ言った。


「あなたも早く能力訓練に行けるといいわね」


マッドの表情が曇る。


言葉が刺さった。


フォーサは能力訓練。


レイも能力訓練。


ペーパーも能力訓練。


なのに。


自分だけ走り込み。


「なぜ僕が……」


小さく呟く。


「フォーサよりも……」


悔しかった。


強くなりたい。


誰よりも。


なのに。


現実は厳しい。


マッドは拳を握り締めた。











一方その頃。


フォーサは能力訓練場にいた。


『強制覚醒』


自分の能力。


今までは使ってこなかった。


使えば狙われる。


だから隠していた。


だが。


今は違う。


レイたちのために。


みんなを守るために。


使いこなせるようにする。


フォーサはそう決めていた。


緑色の光が能力者を包む。


一人。


また一人。


能力者たちが驚く。


「すごいなこれは!!」


「本当に強くなってるぞ!!」


周囲から歓声が上がる。


フォーサは照れくさそうに笑った。


すると。


能力者の一人が言う。


「なぁ」


「みんなにかけてくれよ」


フォーサが首を傾げる。


「みんなに?」


男は頷く。


「そうすれば、もっとレベルの高い集団訓練ができる」


フォーサは考えた。


そういえば。


一度に複数へ使ったことはない。


試してみよう。


フォーサは深呼吸する。


そして。


両手を前へ出した。


緑色の光が広がる。


一人。


二人。


三人。


五人。


さらに広がる。


十人。


能力者たち全員を包み込んだ。


「おぉぉぉ!!」


歓声が上がる。


「すごいぞ!!」


「ありがとう!!」


能力者たちが喜ぶ。


フォーサは驚いていた。


できた。


十人同時。


こんな力があったなんて。


だが。


次の瞬間だった。


視界が揺れる。


身体から力が抜けた。


「あ……」


立っていられない。


そのまま。


フォーサは倒れた。











フォーサが目を開ける。


見慣れない天井。


ベッドだった。


「フォーサ!」


聞き慣れた声。


マッドが顔を覗き込んでいた。


「大丈夫ですか!?」


心配そうだった。


フォーサは無意識に拳を振る。


ゴッ!!


「なんで!?」


マッドが吹き飛んだ。


フォーサも驚く。


その様子を見て。


隣から笑い声が聞こえた。


「あら」


「面白い二人ね」


ミントだった。


マッドが頬を押さえながら立ち上がる。


「ミントさんが回復してくれたんですよ」


フォーサはミントを見る。


温かい笑顔。


優しい目。


そして。


ふと思った。


マリンと同じくらいの年齢だ。


マリン。


その名前が頭をよぎる。


守ってくれた人。


優しかった人。


もういない人。


気付けば。


涙が溢れていた。


止まらない。


「えっ!?」


マッドが慌てる。


どうしていいか分からない。


その時だった。


ミントが優しくフォーサを抱きしめる。


「大丈夫よ」


たった一言だった。


だが。


それだけで十分だった。


フォーサは顔を埋める。


そして。


大声で泣いた。


今まで我慢していたもの。


全部。


吐き出すように。


泣いた。


泣き続けた。


マッドはその姿を見つめる。


そして。


少しだけ笑った。


フォーサはやっと。


マリンの死と向き合えた。


マッドは静かに立ち上がる。


そっと部屋を出た。


そして。


再び訓練場へ向かった。


強くなるために。


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