第二十五話 能力検査
レイたちは国の民となった。
最初に行われたのは体力検査だった。
レイたちは広い訓練場を走っている。
周囲では他の能力者たちも走っていた。
だが。
「はひぃ……」
マッドが真っ先に脱落した。
地面に手をついて息を切らす。
さらに。
「もうだめ……」
レイも脱落した。
その場に座り込む。
二人とも顔色が悪い。
「お前らなぁ……」
ペーパーが呆れる。
その隣で。
「二人ともだめだね!」
フォーサが笑った。
レイもマッドも運動らしい運動をしてこなかった。
当然の結果だった。
「まさか……」
レイが震える。
「フォーサに負けるなんて……」
本気でショックを受けていた。
フォーサは胸を張る。
「私、王女だけど!」
「マリンと毎日鍛えてたんだ!!」
レイとマッドは悔しそうな顔をする。
フォーサは少しだけ誇らしそうだった。
◇
次は能力検査だった。
訓練場へ案内される。
そこで待っていたのは。
赤い服。
赤い髪。
燃えるような目をした男だった。
「俺が相手をする」
男が前へ出る。
「俺は能力ランキング70位」
レイたちは驚く。
またランキング者だ。
「能力『火炎球』」
「フレイムだ」
70位。
この国ではランキング者が珍しくないらしい。
まず。
フォーサが前へ出た。
フレイムが聞く。
「能力は?」
「『強制覚醒』」
フレイムは少し考えた。
そして。
「よし」
「なら俺にかけてみろ」
フォーサは頷く。
手を伸ばす。
緑色の光がフレイムを包んだ。
その瞬間。
フレイムの目が見開かれる。
「これは……!!」
何かを感じたらしい。
フレイムは火の玉を作り出す。
そして放った。
ドカン!!
爆発。
だが。
想像していたほどではない。
フレイムは腕を組む。
「うーん」
「可能性はありそうだが」
「まだそこまでではないな」
フォーサが落ち込む。
肩を落とした。
だが。
フレイムは笑う。
「大丈夫だ!」
「この国で伸ばせば強力な能力になるぞ!!」
フォーサの顔が明るくなった。
良い人だ。
「次!!」
フレイムが呼ぶ。
マッドが前へ出る。
「能力は?」
「『泥』です!」
元気よく答える。
「俺に技を放て」
マッドは頷いた。
能力を発動する。
フレイムの足元が泥へ変わる。
さらに。
泥から手が現れた。
何本もの手が。
フレイムの足を掴む。
「ほう!」
フレイムが驚く。
だが。
次の瞬間。
火球を地面へ叩き込んだ。
ドン!!
泥の手が吹き飛ぶ。
拘束が解除された。
マッドは落ち込む。
しかし。
フレイムは笑っていた。
「やるな!!」
「強いぞ君は」
フレイムが足を見る。
少し赤くなっていた。
「私の足にあざができた」
マッドの顔が上がる。
「もう100位以内に入れるんじゃないか?」
マッドが目を輝かせる。
「本当ですか!?」
「たぶんな!」
マッドは嬉しそうだった。
「いい奴だなあいつ」
ペーパーが小さく言う。
レイも同意だった。
「次!!」
レイが前へ出ようとする。
だが。
ペーパーが止めた。
「待て」
「お前が出たら、俺の番がなくなっちまうだろ」
レイは首を傾げる。
「どういう意味?」
ペーパーは笑った。
そして前へ出る。
「能力は?」
「『紙変形』だ」
フレイムが頷く。
「やってみろ!」
ペーパーは紙を宙へ放った。
何枚も。
何枚も。
紙が舞う。
そして。
一斉に形を変える。
手裏剣。
鋭い刃へ変化した。
「行け!!」
手裏剣が飛ぶ。
木の的へ突き刺さった。
フレイムが感心する。
「なるほど……」
「さすがは88位か」
ペーパーはどや顔になる。
「もっと色々できそうだな!」
フレイムが言う。
ペーパーは満足そうだった。
そして。
「次!!」
ついに。
レイの番が来た。
フォーサたちが期待の目で見ている。
フレイムが聞く。
「能力は?」
レイは答える。
「『光線』」
フレイムは木の的を指差した。
「よし」
「ではそこの的に当ててみろ」
レイは右手を前へ出す。
深呼吸。
集中する。
そして。
放った。
バシュッ。
一筋の光が走る。
次の瞬間。
フレイムの表情が固まった。
「な……!?」
木の的。
その後ろの大きな石壁。
さらに。
対能力者用に作られた頑丈な建物。
全て。
一直線に貫かれていた。
訓練場に静寂が訪れる。
誰も。
言葉を発しなかった。




