第二十三話 能力至上主義
酒場の外。
ディバイドたちは夜道を歩いていた。
その中の一人の男がクロエへ話しかける。
「よろしかったのですか?」
クロエは振り返らない。
「何が?」
男は続けた。
「88位が目の前にいたのに殺さず」
「しかもディバイドのことも知られました」
クロエは小さく笑う。
「そうね」
男はさらに言う。
「放置していい相手ではないかと」
クロエは立ち止まる。
そして。
静かに答えた。
「さっき88位を殺そうとしたら」
「私以外は彼女に殺されてたわ」
男の表情が固まる。
「な……」
言葉を失った。
クロエはレイを思い出す。
あの瞳。
得体の知れない能力。
さらに隣の少女。
フォーサ。
能力『強制覚醒』
「もしかしたら私も……」
そこまで言って。
クロエは言葉を止めた。
フードを深く被る。
「今はいいわ」
そして歩き出す。
「あの子たちは餌になってくれた」
男が顔を上げる。
クロエは冷たく笑った。
「狩るわよ」
ディバイドたちが身構える。
その時だった。
暗闇の奥から足音が響く。
重い足音。
一歩。
また一歩。
巨大な影が現れる。
「てめぇら」
大男が口を開く。
「フォーサってガキを知らねぇか?」
能力ランキング30位。
ギル。
その後ろには。
62位ナギ。
66位イヤーズ。
99位ミスト。
四人が立っていた。
ディバイドとランキング者。
人知れず。
大きな戦いが始まろうとしていた。
◇
一方その頃。
レイたちは酒場を離れていた。
夜道を歩く。
誰も喋らない。
ディバイド。
クロエ。
19位。
頭の中を何度もよぎる。
レイは仲間たちを見る。
マッド。
ペーパー。
フォーサ。
そして思う。
これじゃ勝てない。
クロエだけじゃない。
きっとディバイドには、他にも強い者がいる。
ギルもいる。
ランキング者もたくさんいる。
私なんか。
自分の能力の強さすら理解できていない。
レイはうつむく。
その時だった。
「レイたちは強くなりたいの?」
フォーサが聞いた。
全員が足を止める。
強くなりたい。
そんなの。
答えは決まっている。
「なりたいです!!!」
真っ先に答えたのはマッドだった。
拳を握りしめる。
レイも頷く。
ペーパーも真面目な顔になる。
フォーサは少し安心したように笑った。
「だったら」
「能力者を鍛える国に行こ!!」
レイたちは顔を見合わせる。
能力者を鍛える国。
聞いたことがない。
「そんな国があるの?」
レイが聞く。
フォーサは元気よく頷いた。
「あるよ!」
「能力者しか入れない国!」
能力者しか。
入れない。
レイたちはさらに驚く。
「よく分からないけど」
ペーパーが肩をすくめる。
「行ってみるか!」
マッドも笑った。
「行きましょう!」
こうして。
レイたちは新たな目的地へ向かうことになった。
◇
数日後。
レイたちは国へ辿り着いた。
遠くからでも分かる。
普通の国ではない。
煙が上がっている。
轟音が響いている。
ドォォォン!!
爆発音。
何かが壊れる音。
戦っている。
「あの国が……?」
レイが呟く。
フォーサが頷く。
「そうだよ」
そして。
誇らしそうに言った。
「能力者のみが入れる国」
「能力至上主義の国!!」
レイたちは巨大な門を見上げた。
新たな舞台が。
目の前に広がっていた。




