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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第二十一話 酒場

レイたちは歩いていた。


王の国を離れてから数時間。


皆口数が少ない。


フォーサも黙ったままだった。


レイは歩きながら状況を整理する。


恐らく。


この先追ってくるのは。


30位ギル。


62位ナギ。


66位イヤーズ。


99位ミスト。


そして。


ステップがディバイドだった以上。


ディバイドも動くはずだ。


敵が多すぎる。


レイは隣を歩くペーパーを見る。


「ペーパー」


「ディバイドについて詳しく教えて」


ペーパーは少し考えてから答えた。


「ディバイドは」


「最近でてきたランキング者狩りを名乗る集団だ」


「リーダーもメンバーも不明」


「特徴は黒いフードを被ってることくらいだな」


レイは黙って聞く。


「これまでに93位」


「84位」


「68位」


「三人のランキング者が殺されてる」


「しかも全員ほぼ即死らしい」


三人。


68位ですら即死……


レイは息を吐いた。


思った以上だ。


「許せませんね」


マッドが拳を握る。


マリンを思い出しているのだろう。


「僕が壊滅させますよ」


自信に満ちた声だった。


レイは少し違和感を覚える。


覚醒してから。


マッドが少し変わった気がする。


前方に建物が見えてくる。


酒場だった。


「一度休もう」


ペーパーが言う。


「特にお嬢ちゃんが疲れてる」


フォーサを見る。


確かに顔色が悪い。


無理もない。


父と別れたばかりなのだ。


「私のことはフォーサって呼んで」


フォーサが強がる。


レイたちは顔を見合わせた。


そして。


酒場へ入っていった。











酒場の中は賑わっていた。


笑い声。


酒の匂い。


歌声。


戦争など存在しないかのような空間。


レイたちは目立たないようにカウンターへ座った。


「羨ましいなぁ、マッド!」


ペーパーが酒を飲みながら絡む。


少し顔が赤い。


「覚醒するなんて!」


「僕も覚醒してぇ!」


マッドが離れる。


「近寄らないでください」


「酒臭いです」


「冷てぇなぁ!」


ペーパーが騒ぐ。


少しだけ。


空気が和らいだ。


フォーサはまだ元気がない。


視線はずっと下を向いていた。


レイは少し考える。


そして。


口を開いた。


「ねぇフォーサ」


フォーサが顔を上げる。


「私ね」


「両親を殺されたんだ」


フォーサの目が大きくなる。


レイを見る。


レイは続けた。


「マッドは家族全員」


「ペーパーは妹と仲間を失った」


フォーサは二人を見る。


マッドは静かにうなずく。


ペーパーも苦笑した。


「あなたの気持ちが分かるなんて言えない」


レイは言う。


「でもね」


「この世界は変えるべきだと思ってる」


フォーサが真剣な顔になる。


レイを見つめる。


「あなたのお父さんが守ったあなたを」


「私たちは必ず守るわ」


しばらく沈黙が続いた。


フォーサは考える。


そして。


ゆっくりと。


レイとマッドの手を握った。


優しく。


震えながら。


レイは笑う。


マッドも笑った。


「俺の手は!?」


ペーパーが突っ込む。


その時だった。


「こんばんは」


女の声。


全員が固まる。


レイの隣の席。


いつの間にか。


一人の女性が座っていた。


グラスを片手に持っている。


こちらを見ていない。


なのに。


全員が警戒した。


レイが立ち上がる。


身構える。


「あら?」


女性が笑う。


「お酒の席よ?」


「そんな物騒な空気出さないでくれる?」


レイたちは動けない。


いつからいた?


誰も気付かなかった。


女性がゆっくりこちらを向く。


レイの背筋が凍った。


黒髪。


長い髪を高い位置で一つに束ねている。


美しい女性だった。


だが。


レイが感じたのは美しさではない。


恐怖。


ブラッドと同じ感覚。


いや。


それ以上かもしれない。


圧倒的な強者。


レイの身体が震える。


それを見て。


フォーサとマッドが焦る。


ペーパーは黙っていた。


右手に紙の手裏剣を仕込む。


だが。


「……!?」


動かない。


手が動かない。


何かに手を掴まれている。


女性はグラスを傾ける。


そして。


優しく微笑んだ。


「ねぇ」


「座って?」


その一言だけで。


誰も動けなかった。


女性は続ける。


「お話しましょ」


そして。


静かに告げた。


「私達ディバイドについて」


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