第198話 怒りの光
大広間。
重い空気。
静寂。
その静寂を。
壊したのは。
レイだった。
顔を上げる。
赤く腫れた目。
怒りで震えていた。
レイが叫ぶ。
「なぜそいつがまだ生きてるの!?」
怒声。
ドルガンを睨む。
「あなたなら」
「さっき殺せたでしょ!?」
怒り。
悲しみ。
憎しみ。
全てが混ざっていた。
フォーサも。
ドルガンを睨む。
強い怒りを込めて。
静寂。
ドルガンが答える。
「あぁ」
「俺ならすぐに殺せる」
当然のように。
言った。
だが。
続ける。
「けどな」
ドルガンが。
まっすぐレイを見る。
「お前が殺せ」
静寂。
そして。
冷たく言い放つ。
「そして、強くなれ」
その言葉。
レイの中で。
何かが切れた。
ふざけている。
この男。
人の死を。
人の心を。
何だと思っている。
全て。
自分の目的のため。
許せない。
レイが右手を構える。
光が集まる。
スエルテの顔が変わる。
「やめろ!!」
叫ぶ。
だが。
遅い。
レイが放つ。
光線。
バシュッ!!
白い閃光。
一直線。
ドルガンの心臓へ。
直撃。
シュゥゥゥゥ……。
煙が上がる。
焦げる音。
レイが息を呑む。
だが。
おかしい。
貫いていない。
光線が。
止まっている。
レイの顔が凍る。
「な……」
ありえない。
ドルガンの心臓部。
そこから煙が立つ。
だが。
傷は浅い。
致命傷どころか。
貫通すらしていない。
皮膚が少し焦げた程度。
ドルガンが笑う。
「満足か?」
レイが固まる。
理解できない。
自分の能力。
『光線』
これまで。
どんな敵にも通じた。
強敵。
最上位。
全部。
貫いてきた。
だが。
目の前の男には。
効かない。
モルドのような。
特殊能力じゃない。
純粋な。
身体能力。
それだけで。
耐えた。
レイの声が震える。
「あなた……」
「なんなの……」
ドルガンがまっすぐ見る。
そして言う。
「俺は」
「第2位」
圧倒的な声。
「レギウス以外には」
「絶対に負けない男だ」
空気が凍った。
全てが。
規格外だった。
◇
部屋。
レイ。
フォーサ。
スエルテ。
三人だけだった。
静寂。
重い空気。
誰もすぐには話せない。
ドルガンの実力。
圧倒的すぎた。
今まで見た最上位。
クロノ。
アストラ。
ノア。
ネメシス。
カイ。
ノクリア。
モルド。
そんな存在ですら。
ドルガンから見れば。
下位なのかもしれない。
それほど。
差があった。
しばらくして。
スエルテが口を開く。
「アルディオどうする?」
静かな声。
レイが考える。
マッドの仇。
本来なら。
今すぐにでも。
討ちに行きたい。
だが。
ドルガンの思惑通り。
動かされている。
そんな感覚だった。
その時。
フォーサが口を開く。
小さな声。
「レイ……」
レイが見る。
フォーサの目には。
涙が浮かんでいた。
「もうやめよう?」
静寂。
レイの目が見開く。
フォーサが続ける。
声を震わせながら。
「もう充分だよ……」
涙が落ちる。
「ランキング制度も」
「これだけ人が死ねば」
「意味をなさない」
静寂。
フォーサが言う。
「私達はもう」
「静かに暮らそう」
その言葉。
レイの胸に刺さる。
やめる。
ここで。
全部。
終わりにする。
平穏に生きる。
それも。
一つの答え。
レイが考える。
もし。
ここでやめたら。
それは。
今までの自分を。
否定することになる。
ここまで来た。
ここまで。
レイが立ち上がる。
静かに。
だが。
目には強い意志。
レイが言う。
「私は」
「最後までやり遂げる!!」
強い声。
フォーサが息を呑む。
レイが続ける。
「あと三人」
「レギウス」
「ドルガン」
「そして」
怒り。
殺意。
「マッドの仇」
「アルディオ」
右手を握る。
光が宿る。
レイが言い放つ。
「殺してやる!!」
少女の瞳に。
再び。
光が宿った。




