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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第192話 マッドとクロエ

クロエが動いた。


一瞬だった。


マッドと自分を。


影へ落とす。


その瞬間。


ドゴォン。


二人がいた場所が。


崩れ落ちた。


地面ごと。


空間ごと。


消滅。


静寂。


アルディオがその光景を見る。


そして。


小さく笑った。


「なるほどな」


「最上位を名乗るだけはある」


その遠く。


影が揺れる。


二人が現れた。


クロエとマッド。


何とか逃げ切った。


だが。


クロエの怒りは別だった。


クロエが振り向く。


そして。


マッドに怒鳴った。


「あなた!!」


マッドがビクッと震える。


クロエが叫ぶ。


「戦場で大声出す馬鹿がどこにいるの!!」


ごもっともだった。


マッドが小さくなる。


肩を縮こませる。


「ご、ごめんなさい……」


クロエが大きくため息をつく。


呆れ顔。


だが。


少しだけ安堵もあった。


幸い。


アルディオには。


まだ今の位置がバレていない。


クロエが真剣な顔になる。


「二人で奴を倒すわよ」


静寂。


だが。


マッドは激しく首を振った。


「いけません!!」


焦り。


恐怖。


顔に出ていた。


「勝てる相手じゃない!!」


震える声。


当然だった。


兵士達。


屈強な戦士達が。


一瞬で消えた。


敵幹部のリペアですら。


一瞬。


能力。


『高速再生』


そんなチート能力を。


まるでなかったのように。


無視して殺した。


ありえない。


勝てるわけがない。


だが。


クロエは目を逸らさない。


「でも」


「放置したら」


「それこそ世界の終わりよ」


静寂。


そう。


アルディオは。


もはや一国を滅ぼすとか。


そんなレベルじゃない。


世界崩壊級。


災害そのものだった。


マッドが下を向く。


拳が震える。


「無理です……」


絞り出すような声。


「みんな死んでしまいました……」


スライム。


兵士達。


次々と死んだ。


心が。


折れていた。


完全に。


その時だった。


パチン。


乾いた音。


マッドが目を見開く。


頬が熱い。


クロエが。


平手打ちしていた。


マッドが固まる。


クロエが睨む。


涙を浮かべながら。


叫んだ。


「この意気地なし!!」


鋭い声。


突き刺さる。


「あなたは!!」


クロエがマッドの胸ぐらを掴む。


「レイのことを」


「ずっと見てきたんじゃないの!?」


マッドの瞳が揺れる。


レイ。


脳裏に映る。


初めて会った日。


助けられた日。


あれからずっと。


誰よりも苦しみながら。


誰よりも恐怖を抱えながら。


前を向いた。


進み続けた。


憎しみに呑まれそうでも。


恐怖に負けそうでも。


立ち上がった。


そして。


結果を出してきた。


能力ランキング第8位。


第7位。


第6位。


最上位を。


本当に殺してきた。


レイは。


本当に。


すごい人だった。


マッドの拳が握られる。


震えが止まる。


目が変わる。


覚悟が宿る。


マッドが顔を上げた。


「……やりましょう」


「二人で」


立ち上がった。


クロエが微笑む。


その時。


マッドが真剣な顔で言う。


「僕」


クロエを見る。


真っ直ぐに。


「クロエさんが好きです」


静寂。


空気が止まる。


クロエが目を丸くする。


予想外だった。


まさかの告白。


こんなタイミングで。


クロエは少し驚き。


そして答えた。


「ごめんなさい」


即答だった。


マッドが固まる。


「え!?」


「この流れで断られるんですか!?」


クロエが思わず笑った。


少しだけ。


久しぶりに。


自然に笑った。


「私」


小さく言う。


「もう一生恋愛できないの」


ディオン。


この感情はあなたにだけ。


マッドが露骨に落ち込む。


肩が落ちる。


クロエが少し笑う。


そして。


優しく言った。


「でも」


マッドが顔を上げる。


クロエが微笑む。


「気持ちは嬉しいわ」


その瞬間。


クロエが近づく。


マッドが固まる。


そして。


そっと。


頬にキスした。


マッドの顔が真っ赤になる。


湯気が出そうだった。


クロエが前を見る。


瞳に殺意が宿る。


「やるわよ!」


マッドも前を見る。


覚悟を決めた。


相手は。


世界の災害。


能力ランキング第14位。


アルディオ。


こうして。


二人は挑む。


絶望そのものに。


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