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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第183話 スライムの最期

「かはっ」


スライムが吐血した。


大量の血。


止まらない。


胸には。


ナイフ。


深く。


心臓に刺さっていた。


「スライムさん!!!」


マッドが叫ぶ。


声が震えていた。


兵士達も叫ぶ。


「スライム!!」


焦り。


恐怖。


絶望。


この戦場の支柱。


それがスライムだった。


スライムが死ぬ。


それは。


敗北を意味する。


誰よりも。


スライム自身が理解していた。


意識が薄れる。


だが。


思考は止まらない。


ガイア。


ボルト。


ディオン。


仲間達の顔が浮かぶ。


自分にできること。


最後に。


何を残せるか。


何ができる。


思考が加速する。


その時。


気づいた。


能力を無効化された。


リペアじゃない。


違う。


犯人は別にいる。


思考が走る。


遠くじゃない。


近く。


能力範囲内。


そして。


安全な場所。


森の中。


スライムの目が鋭くなる。


手前は泥で沈んでいる。


つまり。


泥の届かない位置。


隠れられる場所。


スライムが睨む。


あそこか。


ガイアの死。


ディオンから聞いていた。


最後に。


回復役フィオナごと。


自爆したこと。


今後の脅威を排除するために。


命を使った。


スライムが血を吐く。


それでも。


笑った。


「僕にもぉぉぉぉ……」


苦しそうに。


それでも叫ぶ。


「できるかなぁぁぁぁ!!!」


次の瞬間。


突っ込んだ。


心臓にナイフを刺したまま。


一直線。


兵士達が目を見開く。


速い。


死に際とは思えない。


リペアも固まる。


「な……」


スライムの視線の先。


森の奥。


見えた。


男。


能力ランキング第33位。


リンク。


こいつだ。


スライムが拳を握る。


最後の一撃。


渾身。


全てを込める。


ドゴン!!


鈍い音。


拳が届く。


そう思った。


だが。


止まる。


木々が。


盾になっていた。


スライムの拳を防ぐ。


リンクは無傷。


リンクが笑う。


「惜しかったな」


スライムの目から光が薄れる。


限界だった。


「だめかぁぁぁ……」


その時。


声が響いた。


「だめじゃない!!」


叫び声。


マッドだった。


涙を流しながら。


能力。


『泥』


次の瞬間。


グサッ。


泥の棘が。


地面から突き出た。


リンクの身体を。


貫いた。


「かはっ」


リンクが血を吐く。


目を見開く。


信じられない。


身体が崩れる。


ドサッ。


倒れた。


動かない。


能力ランキング第33位。


リンク。


死亡。


スライムが笑った。


優しく。


満足そうに。


マッドを見る。


「ありがとう……」


かすれた声。


最後に。


小さく言った。


「マッド」


静寂。


スライムの身体が崩れる。


力が抜けた。


ドサッ。


倒れる。


動かない。


能力ランキング第60位。


スライム。


死亡。


静寂。


リペアが固まる。


兵士達も固まる。


誰も動けない。


理解が追いつかない。


互いの。


最重要人物が死んだ。


リンク。


スライム。


同時に失った。


マッドがその場に膝をつく。


涙が止まらない。


「スライムさん……」


震える声。


地獄の特訓から。


ずっと一緒だった。


最初は嫌だった。


変な喋り方。


うるさい。


そう思っていた。


でも。


違った。


気づけば。


相棒みたいな存在だった。


スライムが最後に示した場所。


それがあったから。


マッドは。


リンクを倒せた。


ガーデンで最も危険な男。


能力無効の使い手。


その男を。


二人で倒した。


大功績だった。


だが。


本人達は。


そんなことどうでも良かった。


戦場の片隅で。


一人の男が死に。


一人の少年が泣いていた。


それだけだった。


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