第182話 止まらないガーデン
道場。
空が赤かった。
燃えている。
そう錯覚するほどに。
巨大な隕石が。
迫っていた。
圧倒的。
絶望。
道場ごと。
全てを消し飛ばす一撃。
ボムが前へ出た。
覚悟の顔。
「くらえ!!」
地面を蹴る。
飛ぶ。
一直線。
隕石へ。
そして。
刀を振り抜いた。
ドゴン!!
凄まじい爆音。
能力。
『爆発刃』
斬撃と同時に。
超爆発が起こる。
「うおおおおおおぉぉぉぉ!!!!!」
ボムが叫ぶ。
全力だった。
爆発が隕石を揺らす。
ヒビが入る。
広がる。
そして。
バコン!!
隕石が割れた。
成功。
だが。
終わらない。
まだ大きい。
巨大な岩塊が。
無数に落ちてくる。
ボムが体中血を流しながら。
地面へ落ちる。
限界だった。
フェルが前へ出る。
剣を構える。
「行きますよぉぉぉ!!!!」
叫ぶ。
次の瞬間。
見えない。
速すぎた。
能力。
『音速斬撃』
斬る。
斬る。
斬る。
音速の斬撃が。
無数に飛ぶ。
「うららららららららら!!!!!」
フェルが叫ぶ。
岩塊が。
さらに細かく砕けていく。
だが。
代償は大きい。
腕が裂ける。
血が噴き出す。
それでも。
止まらない。
止めない。
全てを。
砕くまで。
やがて。
フェルが膝をつく。
限界だった。
残ったのは。
フレア。
赤い剣を握る。
静かに言った。
「あとは任せろ」
飛ぶ。
能力。
『高熱刃』
赤い剣が燃える。
細かく砕かれた岩へ。
突っ込む。
斬る。
焼く。
斬る。
焼く。
何度も。
何度も。
焼き切る。
そして。
ドゴン!!
周囲に細かい隕石が落ちる。
だが。
道場周辺だけは無事だった。
三人が勝った。
フェル。
フレア。
ボム。
レギウス直属の剣士達が。
隕石に勝利した。
「はぁ……」
「はぁ……」
「はぁ……」
全員が肩で息をする。
限界だった。
だが。
守った。
道場を。
その遠く。
森の奥。
ガクッ。
男が膝をつく。
能力ランキング第20位。
ゼクト。
汗が流れる。
口から血が流れる。
呼吸が乱れる。
「くそ……」
「なんだあの三人は……」
隕石を落とした男。
彼もまた限界だった。
大量の力を使った。
ゼクトが息を吐く。
「仕方ない」
悔しそうに呟く。
「あとは」
「森に任せよう」
そう。
三人は気づいていなかった。
隕石に意識を奪われていた。
その間に。
また脅威が。
迫っていた。
ズズズズズ……
新たな森が。
道場へ迫っていた。
◇
マッド。
スライム。
兵士達。
戦況は。
ひっくり返っていた。
押されている。
完全に。
リペアが現れてから。
全てが変わった。
兵士が叫ぶ。
「このままじゃやばいぞ!!」
焦り。
恐怖。
何度破壊しても。
森が蘇る。
終わらない。
スライムが苦悶の表情を浮かべる。
まずい。
かなり。
まずい。
マッドが泥を広げる。
能力。
『泥』
広範囲。
森を沈める。
だが。
時間稼ぎにしかならない。
殺すべきは森じゃない。
あの女。
リペア。
スライムが決断する。
一気に距離を詰めた。
速い。
一瞬。
リペアが反応できない。
「はや……」
ドゴッ。
拳が入る。
直撃。
頭部粉砕。
リペアの頭が吹き飛んだ。
静寂。
兵士達が息を呑む。
決まった。
そう思った。
だが。
ぐちゃ。
肉が蠢く。
骨が戻る。
皮膚が再生する。
数秒。
頭が戻った。
完全に。
リペアが笑う。
「痛いわよ……」
スライムの顔が歪む。
異常すぎる。
回復速度が。
速すぎる。
「まずいなぁぁぁぁ」
手詰まりだった。
その時。
リペアが笑う。
「お返しよ」
ナイフを振る。
シュッ。
速い。
スライムの胸へ。
突き刺さる。
グサッ。
心臓。
直撃。
兵士達が叫ぶ。
「スライム!!」
だが。
スライムは笑った。
「無駄だよぉぉぉ」
能力。
『粘液』
身体を液状化させる。
致命傷を回避する。
そのはずだった。
だが。
激痛。
スライムが固まる。
心臓を見る。
刺さっている。
ナイフが。
能力が発動していない。
「な……」
理解した。
能力が。
使えない。
リペアが微笑む。
冷たく。
「じゃあね」
「第60位」
スライムの目が揺れる。
その遠く。
森の奥。
一人の男が笑っていた。
能力ランキング第33位。
リンク。
狂気の笑み。
「やはり」
「この能力は最強だ!!」
能力。
『魂接続』
死者の能力を一つ使える。
そして。
彼が選んだ能力。
能力ランキング第4位。
アストラ。
能力。
『能力無効』
最悪の能力。
リンクが笑う。
「止まらないぞ」
「ガーデンは!!」




