第181話 第3位の新技
レイ達は。
森の侵攻を避けながら。
進んでいた。
木々が暴れる。
枝が襲う。
だが。
レイ達は止まらない。
上手く交わしながら。
一直線に進んでいた。
スカイが聞く。
「どこへ向かっているんだ?」
レイは前を見たまま答える。
「森の侵攻は」
「能力ランキング第5位ノアの仕業」
「彼女のところへ向かってるの」
スエルテが首を傾げた。
「場所、分かるのー?」
レイが地図を取り出す。
広げる。
そこには。
いくつもの印。
レイが言う。
「恐らくだけど」
一点を指した。
「彼女はここにいる」
全員が地図を見る。
レイが説明する。
「侵攻地点を全部記録したの」
「森はバラバラに侵攻している」
指を動かす。
複数の地点をなぞる。
「でも」
「一か所だけ動いていない森がある」
スカイが目を見開く。
レイが一点を叩いた。
「それがここ」
全員が息を呑む。
レイが続ける。
「なんでこの森だけ動かないのか」
スエルテが答えた。
「守ってるのかー」
レイが頷く。
「そう」
「恐らくここでノアが守られている」
三人がレイを見る。
驚いていた。
人類崩壊の危機。
世界規模の混乱。
そんな中で。
この少女は。
俯瞰していた。
冷静に。
盤面を見ていた。
その精神は。
異常だった。
スカイが思わず言う。
「なんだ、お前は……」
レイが少しだけ笑った。
冷たい笑み。
「私は最上位を殺す者」
静寂。
そうして。
辿り着く。
そこは静かだった。
周囲だけ。
森が動いていない。
不自然な静寂。
花が咲いていた。
異常なほど。
美しく。
辺りには動物の死骸。
死骸からも。
花が咲いていた。
不気味だった。
その中心。
白いワンピースの少女が立っていた。
幼い。
あまりにも幼い。
四人が止まる。
レイが目を細める。
「あなたが……ノア?」
少女が笑った。
無邪気に。
狂気的に。
「そうよ」
「私が……」
その瞬間。
ボコン!!
凄まじい音。
少女の顔面へ。
蹴りが振り抜かれていた。
だが。
直前。
木の枝が伸び。
盾になる。
蹴りを防いだ。
ノアが笑う。
楽しそうに。
「危ないじゃない」
三人が固まる。
誰が蹴ったのか。
スエルテだった。
片足を上げたまま。
お菓子を咥えたまま。
笑っている。
「やっぱり強いねぇー」
軽い声。
だが。
その一撃は。
明らかに異常だった。
スカイが固まる。
フォーサも。
レイも。
その速さを。
完全には見切れなかった。
レイが右手を構える。
光が集まる。
「やるわね、スエルテ」
静寂。
能力ランキング第5位。
ノア。
最上位に。
四人が挑む。
◇
ディオンとクロエは。
戦い続けていた。
異形。
異形。
異形。
何千体。
終わらない。
ディオンが殴る。
蹴る。
吹き飛ばす。
一撃ごとに。
異形が砕ける。
クロエは影を操る。
棘。
無数に突き刺す。
次々に貫く。
だが。
減らない。
多すぎた。
「はぁ……はぁ……」
クロエの呼吸が乱れる。
疲労。
限界が近い。
二人だけで。
この数は厳しい。
だが。
クロエは集中を切らさない。
レイ達が。
ノアを殺せば。
形勢は逆転する。
今は耐えるだけ。
ディオンが叫ぶ。
「大丈夫か、クロエ!」
クロエが苦しそうに笑う。
「大丈夫なわけないでしょ」
ディオンが笑った。
「そうか!」
「もっと頑張れ!」
クロエが思わず笑う。
呆れながら。
でも。
嫌じゃなかった。
二人には。
絆が生まれていた。
好意だけじゃない。
共に戦う者の絆。
クロエはふと思う。
アストラが死んだ時。
生きる意味を。
失いかけた。
だが。
今は違う。
ディオン。
生きたいと思える理由が。
またできた。
クロエが小さく笑う。
「私、変わったかな……」
「アス姉」
その時。
声が聞こえた。
空から。
「面倒じゃのぉ」
クロエが止まる。
ディオンも。
聞こえた。
クロノ。
その声だった。
次の瞬間。
異形達が。
空へ集まり始めた。
グチャ。
グチャグチャ。
気味の悪い音。
肉が混ざる。
骨が軋む。
異形が。
融合していく。
巨大に。
さらに巨大に。
空を覆うほどに。
「ふぉっふぉっふぉ」
クロノの笑い声。
響く。
次の瞬間。
巨大な怪物が現れた。
圧倒的だった。
ディオンとクロエを。
見下ろしていた。
「堪能せい」
「ワシの新技」
「大異形」




