第179話 隕石落下
レイとフォーサは。
二人で動いていた。
森が暴れている。
国が崩壊している。
だが。
レイにとって重要なのは一つ。
最上位。
能力ランキング第5位。
ノアを殺すこと。
それだけだった。
静かに歩く。
殺意を纏いながら。
フォーサが隣を見る。
「レイ……」
思わず声が漏れる。
レイの目。
冷たすぎた。
怒り。
悲しみ。
全部通り越している。
フォーサは何も言えなかった。
その時。
「おーい、ひさしぶりー」
気の抜けた声。
レイとフォーサが振り向く。
そして。
フォーサが嫌そうな顔をした。
「げ……」
そこにいたのは。
能力ランキング第59位。
スエルテ。
能力なし。
かつて。
大合戦で。
助けてもらった男。
ライゼンとアクアの息子でもある。
だが。
あまりにもやる気がない。
そのため。
レイ達は苦手だった。
しかも。
さらに太っていた。
スエルテが笑う。
手には相変わらずお菓子。
その隣。
銀髪の青年がいた。
レイ達を見る。
警戒していた。
「この二人は知り合いなのか?」
スエルテが頷く。
「そうだよー」
レイが聞く。
「どうしてこんなところに?」
スエルテが気楽に答える。
「ノーランクの城災から逃げてたらー」
「今度は森に追われてねー」
「大変だったよー」
「僕はいつも運が悪いんだ」
他人事みたいな口調。
フォーサが呆れる。
「いや、逆に運良すぎじゃない?」
大合戦。
ディバイド。
ノーランクの城災。
ガーデンの侵攻。
全てから生き残っているスエルテは。
逆に運が良いように見えた。
スエルテが笑った。
「そうかなー?」
レイが銀髪の青年を見る。
「彼は?」
青年が答えた。
「俺は能力ランキング第76位」
「スカイ」
「能力は『空中浮遊』だ」
レイが考える。
空中浮遊。
悪くない。
使い道はある。
だが。
スカイは不信感を隠さない。
「おい、スエルテ」
レイ達を見る。
「まさか、この少女二人と」
「行動する気じゃないだろうな?」
フォーサがムッとする。
レイも目を細めた。
スエルテが笑う。
「行動しようよー」
軽い声。
だが。
次の言葉は真剣だった。
「彼女らは僕たちより圧倒的に強いよ」
スカイが固まる。
驚いてレイを見る。
レイは少しイラついた。
だが。
役に立つならいい。
今は戦力が欲しい。
レイが前を向く。
「好きにしなさい」
こうして。
四人で動くことになった。
◇
道場前。
森が崩れていた。
少しずつ。
確実に。
三人の剣士によって。
木々が切り裂かれる。
燃える。
吹き飛ぶ。
フェルの斬撃。
フレアの炎。
ボムの爆発。
森は押されていた。
やがて。
森が後退し始める。
ズズズズズ……
離れていく。
フェルが息を吐く。
「終わりましたね」
フレアも頷く。
「ああ」
ボムが笑う。
豪快に。
「なんだ?」
剣を肩に担ぐ。
「物足りねぇな!!」
その時だった。
ゴゴゴゴゴゴゴ。
異音。
低い。
重い。
空気が震える。
三人が止まる。
フェルが眉をひそめる。
「……何の音です?」
上を見る。
フレアも。
ボムも。
そして。
固まった。
「……は?」
空。
そこにあった。
巨大な影。
隕石。
空を埋めるほどの。
絶望だった。
落ちてくる。
真っ直ぐ。
道場へ。
遠く。
森の奥。
男が笑っていた。
能力ランキング第20位。
ゼクト。
冷たい笑み。
「さぁ、思い知れ」
「我々ガーデンの」
口角が上がる。
「本気を」
彼の能力は。
『物体落下』
だが。
覚醒の果てに。
その能力は。
隕石すら落とす。
『隕石落下』
クロノの空中都市墜落。
それに匹敵する。
最上位級の力だった。
フェルの額に汗が流れる。
フレアが歯を食いしばる。
ボムの笑みが消えた。
隕石が。
落ちる。
絶望と共に。




