第178話 各戦場
植物に囲まれた部屋。
壁も。
床も。
天井すら。
植物に侵食されていた。
異様な空間。
その中心で。
四人が肉を食べていた。
静かだった。
だが。
空気は重い。
一人の男が口を開く。
「俺たちは行かなくていいのか?」
肉を頬張りながら聞く。
能力ランキング第20位。
ゼクト。
その隣。
優雅に髪をかき分ける女。
能力ランキング第64位。
リペアが言う。
「1位も2位もしばらく戻らないから」
「まずは体力を消費させましょ」
冷静だった。
すでに全体が見えている。
盤上の駒を見るように。
隣。
拳を握る男。
能力ランキング第33位。
リンク。
低い声で言った。
「早く全てを終わらせたい」
強い執念。
ノアが立ち上がる。
小さな身体。
わずか七歳。
だが。
この場で最も危険だった。
ノアが言う。
「強いのが結構いる」
三人が顔を上げる。
ノアの瞳は冷たい。
「予定より早いけど」
「みんな計画通りに」
三人が同時に頭を下げた。
絶対的な信頼。
いや。
絶対的な狂気。
誰よりも幼い少女が。
リーダーだった。
ノアが思い出したように言う。
「あと」
静寂。
「クロノにも連絡しておくわ」
三人が目を細める。
能力ランキング第3位。
クロノ。
最上位の怪物。
彼もまた。
この計画に乗っていた。
◇
「なんで僕はいつもあなたなんですか……」
マッドが肩を落とす。
心底嫌そうだった。
隣でスライムが膨れる。
「相変わらず失礼だねぇぇぇ」
笑いながら言う。
マッドとスライム。
そして兵士達。
部隊として。
別の森へ向かっていた。
マッドが言う。
「僕たちだけで勝てますかね?」
不安だった。
当然だ。
スライムは60位。
マッドはランク外。
戦力的には心許ない。
だが。
スライムが笑った。
「大丈夫さぁぁぁ」
軽い声。
「僕も君も強いからぁぁぁ」
マッドは苦笑する。
自信はない。
だが。
やるしかない。
その時。
前方。
森が動いていた。
ズズズズズ……
木々が迫る。
マッドが大きく息を吐く。
「はぁ……」
そして。
目が変わる。
真剣だった。
覚悟を決める。
「やりましょうか!」
スライムが頷く。
「うんんんん!!」
◇
ディオンとクロエは。
二人で空を見上げていた。
そこにあった。
巨大な影。
空中都市。
クロエが目を細める。
「また見ることになるとはね……」
重い声。
ディオンが睨む。
「クロノめ……」
「こんな時に敵になるとは……」
森を破壊しに来たわけじゃない。
明らかに。
自分達の邪魔。
その証拠に。
空から。
無数の異形が降り立ち。
二人へ迫る。
殺意むき出しで。
クロエが口を開く。
「ねぇ、ディオン」
ディオンが横を見る。
「なんだ?」
クロエが笑った。
不意に。
柔らかく。
「好きよ」
静寂。
ディオンが固まる。
「は?」
間抜けな声。
クロエは笑ったまま。
前へ出る。
影が揺れる。
殺気が溢れる。
クロエが言う。
「さぁ」
「やるわよ」
能力ランキング第3位。
クロノ。
能力『空中都市』。
国を簡単に滅ぼす怪物に。
影姫クロエと。
最強の無能力者ディオンが挑む。




