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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第172話 姉の最期

アストラは走っていた。


長い旅。


長い戦い。


そしてついに。


ドルガンの国へ辿り着いた。


門が見える。


兵士達が気付く。


「何者だ!?」


鋭い声。


兵士が武器を構える。


だが。


遅い。


シュッ。


血が舞う。


兵士が崩れ落ちる。


アストラは止まらない。


前へ。


ただ前へ。


胸が高鳴る。


クロエ。


大切な妹。


やっと会える。


アストラが小さく呟く。


「クロエ……」


「お姉ちゃんが守るからね」


その時だった。


前方。


見間違えるはずがない。


クロエ。


アストラの目が見開かれる。


「クロエ!!」


声が響く。


クロエが振り向く。


目を見開く。


驚愕。


「アス姉……?」


その瞬間。


バン。


乾いた音。


静寂。


アストラの身体が止まる。


「え……?」


何が起きたか。


分からなかった。


次の瞬間。


胸に激痛。


アストラがゆっくり下を見る。


心臓。


貫かれていた。


赤く染まる。


血が溢れる。


膝が崩れる。


ドサッ。


倒れた。


クロエの顔が青ざめる。


「アス姉!!」


叫ぶ。


走る。


全力で。


倒れたアストラを抱き起こす。


震える手。


クロエの瞳に涙が溢れる。


「いや……」


すぐに周囲を見る。


弾道を読む。


はるか遠く。


建物。


あそこだ。


あの距離から。


撃った。


クロエの呼吸が乱れる。


「いや……いやだよ……」


「アス姉!!」


泣き叫ぶ。


その騒ぎに。


ディオンが駆けつけた。


「どうなってる……」


状況を見て固まる。


アストラが血を吐く。


「ゴホッ……」


苦しい。


肺に血が溜まる。


呼吸が浅い。


それでも。


クロエを見る。


優しく。


「クロエ……」


かすれた声。


「迎えに来たよ……」


クロエが叫ぶ。


「しゃべらないで!!」


涙が止まらない。


クロエがディオンを見る。


必死だった。


「お願い!!」


「アス姉を助けて!!」


ディオンが黙る。


そして。


ゆっくり首を振った。


「心臓を貫通している……」


「もう……無理だ……」


クロエの顔が凍る。


「そんな……」


アストラが微笑む。


もう時間がない。


自分でも分かっていた。


アストラが小さく言う。


「クロエ……」


「私……」


呼吸が苦しい。


言葉が途切れる。


それでも。


伝えたかった。


「ディバイド作ってよかった」


クロエの瞳が揺れる。


アストラが笑う。


弱々しく。


でも優しく。


「本当はね……」


「私は自由なんてどうでもよかったの」


クロエが涙を流す。


止まらない。


アストラが言う。


「ただ……」


声が小さくなる。


「クロエと一緒に過ごせれば……」


クロエが首を振る。


嫌だ。


聞きたくない。


「待って!!」


「死なないで!!」


「アス姉!!」


泣き叫ぶ。


ディオンは黙っていた。


何もできない。


アストラが最後に口を開く。


「クロエ……」


「自由になってね☆」


優しい笑顔だった。


昔と同じ。


姉の笑顔。


そして。


静かに。


目を閉じた。


動かない。


静寂。


数秒。


クロエの思考が止まる。


理解できない。


認めたくない。


そして。


次の瞬間。


「アス姉!!!!!!!!」


絶叫が響いた。


世界が震えるほどの。


悲痛な叫び。


能力ランキング第4位。


アストラ。


ディバイドのリーダー。


死亡。











遠く離れた建物。


男が静かに立っていた。


右手を下ろす。


銃の形をしていた指が。


元の手へ戻る。


能力ランキング第24位。


ガン。


能力。


『狙撃』


右手を銃の形にして撃つ能力。


一見。


地味だった。


弱そうにも見える。


だが。


その精度は異常。


一つ隣の町の蚊ですら撃ち抜く。


ガンはこれまで多くの上位能力者を仕留めた。


最高の暗殺者。


ガンはずっと見ていた。


アストラを。


監視していた。


能力ランキング第4位。


隙がない。


速い。


強い。


まともに戦えば勝てない。


だから待った。


ずっと。


機会を。


そして。


やっと生まれた。


唯一の隙。


それは皮肉だった。


アストラ最大の隙。


クロエを見つけた瞬間。


安堵した瞬間。


第4位ではなく。


ただの姉に戻った瞬間だった。


ガンはクロエを見る。


ディバイドの副リーダー。


だが。


警戒されていては殺せない。


静かに建物を降りていった。

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