表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

165/193

第165話 第4位

静寂。


風だけが吹いていた。


セレスの死。


一年間。


共に過ごした女。


師匠。


狂人。


猟奇殺人鬼。


最低な女だった。


悲しみはなかった。


お互い。


利用していただけ。


それだけの関係。


……のはずだった。


でも。


少しだけ。


ほんの少しだけ。


思い出す。


「やったわね」


褒められた時。


嬉しかった。


あの笑顔が。


脳裏をよぎる。


アストラの拳がわずかに震えた。


ドルガンが口を開く。


「お前はどうする?」


アストラが我に返る。


目の前には。


ドルガン。


怪物。


セレスの能力『加速世界』で。


高速で動く男。


アストラの最大の武器。


速度。


それすら。


この男には通じない。


圧倒的だった。


アストラが震える声で言う。


「わ……私は……」


言葉が詰まる。


だが。


絞り出す。


「妹を助けたい」


静寂。


ドルガンが笑った。


「そうか」


短い返答。


そして。


ドルガンが歩く。


アストラの前まで。


立つ。


近い。


圧が重い。


アストラは動けない。


ドルガンがアストラの目を見る。


覚悟を測るように。


数秒。


沈黙。


そして。


言った。


「お前は今日から第4位だ」


静寂。


アストラが固まる。


理解できない。


「……は?」


声が漏れる。


ドルガンが淡々と続ける。


「最上位の穴埋めは大変なんだ」


事務的だった。


まるで人事異動。


「お前の能力なら問題ない」


アストラは呆然とする。


第4位。


自分が。


いきなり。


ドルガンがさらに言う。


「最上位になる覚悟があるか?」


重い問いだった。


アストラの思考が混乱する。


いきなりすぎる。


頭が追いつかない。


だが。


考える。


最上位。


第4位。


正直。


何も分からない。


だが。


一つだけ。


分かることがある。


今のままじゃだめだ。


弱いままでは。


クロエを救えない。


たとえ救えても。


守れない。


自分を変えなければ。


もっと。


強く。


もっと。


狂わなければ。


アストラがゆっくり頷く。


ドルガンが口角を上げる。


「名前は?」


今までの自分。


捨てる時だ。


覚悟を決める。


そして。


笑った。


作り笑いじゃない。


もう。


自分のものになった笑顔。


「アストラちゃんでーす☆」


静寂。


ドルガンが少しだけ笑った。


こうして。


もう。


これまでのアストラではなくなった。


妹を守るため。


狂気を纏う。


猟奇の革命家。


能力ランキング第4位。


アストラ。


誕生。











アストラは故郷へ戻っていた。


レイピアを片手に。


静かに。


一人で。


町並みは変わらない。


だが。


自分は変わった。


別人のように。


情報を集める。


酒場。


路地裏。


裏社会。


あらゆる場所で。


そして。


宿屋へ入る。


一室。


静かな夜。


ベッドに座る。


クロエの情報は掴めた。


相変わらず。


大臣の妻として生活している。


表向きは。


幸せな妻。


だが。


実態は違う。


殺しは続いていた。


今も。


影姫クロエとして。


賞金首を殺し続けている。


さらに。


大臣。


あの男は。


次期王になるため。


裏で動いていた。


汚い手を。


いくらでも使って。


買収。


脅迫。


暗殺。


その中には。


クロエに命じて殺した。


王側の有権者もいた。


アストラが目を閉じる。


それだけで分かる。


クロエは。


一人だ。


ずっと。


誰にも助けられず。


利用され続けている。


アストラが小さく呟く。


「すぐ助けるよ」


「クロエ」


静かな声。


優しい声。


妹に向けて。


そして目を閉じる。


明日。


全てを変える。


革命の日。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ