第十六話 ランキング者の戦場
レイたちは客室に案内され、話し合うことにした。
「話を聞いてる限り、味方してやりてぇけど」
「相手が30位となるとな……」
ペーパーが頭を抱える。
「僕は味方したいです」
レイとペーパーは驚く。
マッドの発言が意外だった。
「僕にはあの子と年の近い妹がいました」
「だから次こそは守ってあげたい」
マッドは強く言う。
「……私も、味方したい」
レイが言う。
ペーパーは笑いながらうなずいた。
「決まりだな」
「どうせ放っといても寝覚めが悪ぃ」
三人は王の間へ向かった。
◇
「私たちが援護するわ」
レイが告げる。
マリンとフォーサは顔を明るくした。
だが。
「すまんのぉ、仲間になってくれるのはうれしいのじゃが……」
王が困ったように頭をかく。
「おぬしら強いのか?」
無理もない。
ペーパーはともかく、レイとマッドはただの少年少女にしか見えない。
だが。
「問題ありません、王様」
マリンが静かに言った。
「この子はきっと私より強いですよ」
王の目が見開かれる。
「な、なんじゃと!?」
「その娘が47位以上じゃと!?」
レイも少し驚いていた。
マリンはレイを見つめる。
強者は強者を感じ取る。
レイが持つ異質な強さを、マリンも感じていた。
◇
レイたちは内乱の最前線へ向かった。
まさに激戦だった。
剣戟。
悲鳴。
炎。
両軍がぶつかり合っている。
「私が先陣を切ります」
「皆さんは援護をお願いします」
マリンが前へ出る。
63位の仮面の男も後ろで構えた。
マリンが能力を発動する。
地面が揺れる。
巨大な影が現れた。
「あれは……」
レイが見上げる。
巨大なアンコウだった。
体長は十メートルを超えている。
さらに。
アンコウの周囲に巨大な水球が出現した。
「マリンだ!!」
「やべぇ!!」
敵兵たちが叫ぶ。
「ひけ!!」
「ひけぇぇぇ!!」
だが遅い。
アンコウが口を開く。
次の瞬間。
大量の水が吐き出された。
更に、巨大な水球が割れる。
轟音。
津波だった。
街を飲み込むほどの水量が敵軍へ襲い掛かる。
「なんだこの量は……」
ペーパーが固まる。
レイも言葉を失っていた。
これが。
能力ランキング47位。
能力『深海魚』
そこへ。
「来たわね、マリン」
女の声が響く。
津波の前に一人の女が立っていた。
長い髪。
鋭い目。
余裕の笑み。
マリンの表情が険しくなる。
「ナギ……!」
津波が女へ迫る。
だが。
異変が起きた。
津波の流れが変わる。
まるで見えない手に掴まれたように。
大量の水が反転する。
そして。
こちらへ向かって戻ってきた。
「なっ!?」
マッドが叫ぶ。
「アンコウ、飲みなさい」
マリンが命令する。
巨大アンコウが口を開く。
逆流してきた津波を次々と飲み込んでいく。
レイは唖然とした。
「彼女は一体……」
ペーパーも険しい顔をする。
マリンはナギから目を離さない。
「能力ランキング62位」
「ナギ」
「能力は『水流操作』」
そして。
苦々しく続けた。
「私の天敵です」
ランキング者同士が向かい合う。
戦場の空気が変わった。
本当の戦いが始まろうとしていた。




