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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第155話 狂気の蒐集家

国はアストラの起こした事件を隠した。


徹底的に。


理由は二つ。


一つ目。


大臣の妻の姉が起こした事件だから。


もし世間に知られれば。


国の信用は大きく揺らぐ。


大臣の面子も潰れる。


都合が悪い。


二つ目。


クロエに知られること。


それが最も困ることだった。


クロエは今や国にとって重要な存在。


影姫クロエ。


賞金首を狩る。


最強の兵器。


国を豊かにする。


金のなる木。


余計な情報を入れて。


心が揺らげば困る。


だから。


全て隠された。


兵士達にアストラを探させた。


だが。


大っぴらにはできない。


表向きには何も起きていないことになっている。


結果。


アストラを見つけ出すことはできなかった。











アストラは生きていた。


事件が表に出なかったことで。


いつも通りだった。


橋の下。


路地裏。


酒場。


あらゆる場所で情報を集める。


欲しい情報は一つ。


クロエ。


妹の情報。


少しずつ分かってきた。


クロエは大臣の妻。


だが。


幸せに暮らしてはいなかった。


豪華な家。


金。


贅沢。


それは与えられていた。


だが。


代償があった。


賞金首狩り。


ひたすら殺す。


世界を飛び回る。


危険と隣り合わせ。


血まみれの日々。


しかも。


ずっと一人。


アストラが拳を握る。


震えていた。


怒りで。


悔しさで。


クロエ。


ずっと。


一人だったのか。


アストラの目が変わる。


決意。


私が。


クロエを助ける。


絶対に。


そのために。


強くなる。


誰よりも。


そして。


アストラはある人物の元へ向かった。











遠い町。


静かな町だった。


人気は少ない。


風だけが吹いている。


町外れ。


古い家。


そこに。


一人の女性が住んでいた。


半隠居状態。


だが。


その名を知らぬ者はいない。


能力ランキング第4位。


セレス。


アストラは扉の前に立つ。


深呼吸。


そして。


扉を開けた。


ギィ。


中にいたのは。


三十歳ほどの女性。


長い髪。


落ち着いた顔。


静かな目。


だが。


異様な威圧感があった。


セレスがゆっくりアストラを見る。


「こんな町まで」


「何の用かしら」


その瞬間。


気付けば。


セレスの手には武器があった。


アストラが目を見開く。


速い。


全く見えなかった。


握られていたのは。


メイス。


金属製の頭部。


木製の柄。


鈍器。


重く。


殺傷力が高い武器。


セレスは構えない。


ただ持っているだけ。


それなのに。


今すぐ殺される。


アストラはそう確信した。


アストラが息を吸う。


そして言った。


「私を強くして」


セレスの目が細くなる。


アストラは続けた。


真っ直ぐに。


「国を潰せるくらいに」


静寂。


セレスが驚いた。


わずかに。


そして。


アストラを見る。


じっと。


目を見つめる。


沈黙。


長かった。


やがて。


セレスが口を開く。


「あなた」


「身内を殺したことがあるのね」


アストラが固まる。


見抜かれた。


一瞬で。


アストラは小さく頷く。


セレスの表情は変わらない。


「そう」


短く言う。


そして。


踵を返した。


「話を聞きましょう」


アストラは中へ入った。











紅茶が置かれる。


湯気が立つ。


静かな部屋。


アストラは全て話した。


クロエのこと。


両親のこと。


国のこと。


自分が殺したこと。


全部。


何も隠さず。


セレスは黙って聞いていた。


一言も挟まない。


ただ聞く。


話し終える。


長い沈黙。


やがて。


セレスが紅茶を置いた。


カップの音が響く。


「あなたを強くすることはできるわ」


アストラの顔が明るくなる。


希望。


初めて見えた光。


だが。


セレスは続ける。


「でも」


一拍。


空気が変わる。


「条件があるわ」


アストラの顔が強張る。


条件。


何だ。


セレスが立ち上がる。


ゆっくり歩く。


部屋の奥へ。


壁一面。


巨大な布がかかっていた。


セレスが布を掴む。


そして。


引いた。


バサッ。


「な……」


アストラが息を呑む。


そこにあったのは。


棚。


巨大な棚。


何段もある。


だが。


並んでいたのは。


本ではない。


瓶。


無数。


異様だった。


そして。


瓶の中。


液体。


浮かんでいる。


目。


人の目。


無数の目。


何十。


何百。


こちらを見ているようだった。


アストラの呼吸が止まる。


セレスが静かに振り向く。


微笑んでいた。


「私の目の採集に協力して」


静かな声。


穏やかだった。


だからこそ。


恐ろしかった。


アストラは理解した。


自分は。


とんでもない場所へ。


足を踏み入れてしまった。


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