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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第149話 兄の最期

カイは。


レイから放たれるまばゆい光を見ていた。


迫ってくる光速の一撃。


避けられない。


防げない。


その瞬間。


時間がゆっくりになった。


カイの脳裏に。


過去が流れる。


走馬灯。


レイが生まれた日。


小さかった。


泣いていた。


でも。


自分が抱くと。


不思議と泣き止んだ。


レイと暮らした五年間。


笑った日々。


短かった。


でも。


あの頃だけは幸せだった。


母に捨てられた日。


寒かった。


暗かった。


あの日から。


全てが変わった。


兵士として生きた二年間。


殴られた。


蹴られた。


罵倒された。


流刑島で暮らした五年間。


殺し合い。


孤独。


ただ一人で鍛える日々。


ブラッドと出会った。


ブラッドと鍛えた五年間。


強くなった。


生き残るために。


復讐するために。


そして。


ノーランクの城災。


多くを壊した。


多くを殺した。


静寂。


カイは思う。


確かに。


前半の人生は。


ひどいものだった。


救いなんてなかった。


だが。


後半は。


違ったかもしれない。


変えられたかもしれない。


変える力もあった。


両親。


ブラッド。


彼らは悪だった。


許される存在ではない。


だが。


話が全くできない相手ではなかった。


もっと。


歩み寄れば。


もっと。


向き合えば。


違う未来があったかもしれない。


カイが静かに笑う。


気付けば。


俺も……。


悪だった。


理不尽を嫌っていたくせに。


理不尽そのものになっていた。


そして。


その報いが来た。


唯一愛した妹に。


殺される。


なんて。


滑稽なんだろう。


カイが笑った。


その時だった。


ドクン。


心臓が鳴る。


身体の奥。


深い場所から。


力が溢れ出した。


覚醒。


命の危機。


その極限が。


カイの能力を押し上げた。


パキパキパキ……。


周囲の鉄壁が変化する。


銀色。


鈍く輝く壁。


レイ達が目を見開く。


「な……」


フォーサが固まる。


マッドも息を呑む。


銀。


反射。


カイの脳裏に答えが浮かぶ。


銀は。


光を反射する。


つまり。


この壁は。


光線を跳ね返せる。


守れる。


だが。


同時に。


跳ね返った光線は。


レイ自身を貫く。


死ぬ。


確実に。


カイの瞳が揺れる。


銀壁。


発動すれば。


レイは死ぬ。


妹が死ぬ。


カイは小さく呟く。


「だめだ……」


震える声。


能力発動を。


しなかった。


次の瞬間。


「かは……」


光線が。


カイの心臓を。


正確に撃ち抜いた。


血が舞う。


カイの身体が揺れた。











レイは。


立ち尽くしていた。


右手を上げたまま。


呼吸が止まる。


目の前の光景。


信じられなかった。


カイの周囲の鉄壁が。


銀に変わった。


あれは。


覚醒。


間違いない。


そして。


理解した。


もし。


あれを発動していたら。


光線は反射されていた。


自分は死んでいた。


レイの瞳が揺れる。


カイは。


最後の最後。


レイを守った。


唯一の家族である妹を。


レイの唇が震える。


信じられない。


胸が苦しい。


息ができない。


涙が溢れる。


「カイ兄……」


声が震える。


カイが崩れ落ちる。


レイの思考が真っ白になる。


次の瞬間。


走っていた。


全力で。


泣きながら。


「カイ兄!!」


叫ぶ。


涙が止まらない。


その姿は。


もう。


世界を壊す存在ではなかった。


ノーランクのリーダーでもない。


光線の少女でもない。


ただ。


兄を失おうとしている。


一人の少女だった。


十七歳の。


ただの妹だった。


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